手のひらや甲には、末梢神経が集まった「反射区」が、左右合わせて80以上あります。反射区は対応する器官の状態を映す鏡であり、「背骨」の反射区の皮膚の色や状態、シワの寄り方などがいつもと違っていたりしたら、脊柱管周辺の血流やリンパの流れが滞っているサインです。【解説】足利仁(一般社団法人手のひらデトックス協会代表理事)

解説者のプロフィール

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足利仁(あしかが・めぐみ)

一般社団法人手のひらデトックス協会代表理事。手のひらの反射区を利用し、西洋医学と東洋医学を融合した体質改善のためのメソッドを確立。これまで6000人以上の手を押して診断してきた。「手のひらセラピスト」養成のセミナーなども行っている。著書に『全身の不調が消える! 最強の手もみ』(マキノ出版)、『7秒押すだけで体温が上がる手もみ健康法』(日東書院)などがある。

「手もみ」は脊柱管狭窄症に対して効果が出やすい

私が提唱している「手もみ」は、多彩な症状の改善に役立ちますが、中でも効果が出やすいのが、腰部脊柱管狭窄症(以下、脊柱管狭窄症)です。

例をご紹介しましょう。Aさん(60代女性)が最初に感じた症状は、歩行時の疲労感で、趣味のヨガ教室に通えなくなってしまいました。やがて、下半身の痛み、しびれ、重苦しさが交互に襲うようになり、立つのも大変になってきました。

ある日、手で体を支えながらガス台の前で調理していて、腕に大ヤケドを負ってしまいました。すぐに病院に行ったところ、検査が行われ、重度の脊柱管狭窄症と診断されました。

その頃には長く歩けず、痛みの強いときは、はいつくばって移動していました。「日常生活に戻るには手術しかない」と医師に言われたそうです。

どうしても手術をしたくないAさんに、ご主人が教えてくれたのが、手もみでした。ご主人は以前手もみで、自身の腰痛を治した経験があったのです。

ところが、Aさんの脊柱管狭窄症の反射区(後述)は触っただけで飛び上がるほど痛く、最初はさするだけでした。

1週間さすり、次の1週間は力を入れずに押し、ようやくしっかり押せるようになって2週間後には、ヨガ教室まで一度も休まずに歩けるようになりました。痛みもしびれも軽くなっていて、1ヵ月でほぼ日常生活を取り戻せたのです。

痛いところやシワが多いところを重点的に押す

手のひらには、脊髄を介して体の各器官や臓器につながる末梢神経が、約1万7000本も走っています。この末梢神経が集まった場所を「反射区」といい、手のひらや甲には、左右合わせて80以上の反射区があります。

反射区は対応する器官の状態を映す鏡で、手のひらの状態を見れば、その方の健康状態がひと目でわかります。同時に、反射区は治療点でもあり、押せば対応する器官の血液やリンパ(体内の老廃物や毒素、余分な水分を運び出す体液)の流れがよくなり、器官そのものが活性化されます。

脊柱管狭窄症に対応する背骨の反射区と、押し方は下項の通りです。押して痛かったり、反射区の皮膚の色や状態、シワの寄り方などがいつもと違っていたりしたら、脊柱管周辺の血流やリンパの流れが滞っているサインです。

そこを刺激すると、流れがよくなって、脊柱管の周辺組織が柔軟になり、圧迫されていた神経が解放されて、痛みやしびれが取れていくのです。

まずは両手の反射区をまんべんなく押し、その中で一番痛いところ、赤い、白い、張っている、シワが多いなど、サインの出ているところを重点的に3回押します。これを1日3~5セット行います。

ポイントは、7秒間ギューッと押しパッと離すことです。7秒押してリンパや血液の流れを一時的にせき止めてから一気に流し、老廃物を流しやすくするのです。ギュウギュウ押すと老廃物が流れず、効果がほとんどありません。

人にもよりますが、2週間を目安に続けると、歩きやすくなったり、しびれや痛みが軽くなったりなどの効果を実感できるようになります。同時に、手のひらも健康的な状態に戻り、押したときの痛みも和らぎます。

行うタイミングはいつでも構いませんが、入浴中に行うと、老廃物が排出されやすく、痛みを感じにくくなります。反射区を押した後は、老廃物の排出を促すため、コップ1杯の水(できれば白湯)を飲むことをお勧めします。

脊柱管狭窄症に効く手もみのやり方

背骨上部の反射区

画像1: 脊柱管狭窄症に効く手もみのやり方

反射区の見つけ方
手のひらの際にある骨の内側で、親指と手のひらの境目のシワのすぐ下
もみ方
手のひらの際にある骨の内側に、逆の手の親指の先を入れ込むようにして、グーッと7秒間押し、パッと離す。両手に行う。

背骨中部の反射区

画像2: 脊柱管狭窄症に効く手もみのやり方

反射区の見つけ方
手のひらの際にある骨の内側で、親指と手のひらの境目のシワから親指1本分下
もみ方
手のひらの際にある骨の内側に逆の手の親指の先を入れ込むようにして、グーッと7秒間押し、パッと離す。両手に行う。

背骨下部の反射区

画像3: 脊柱管狭窄症に効く手もみのやり方

反射区の見つけ方
親指と手のひらの境目のシワから親指2本分下。関節の内側
もみ方
関節の内側の際に、逆の手の親指の先を入れ込むようにして、グーッと7秒間押し、パッと離す。両手に行う。

画像: この記事は『安心』2021年11月号に掲載されています。 www.makino-g.jp

この記事は『安心』2021年11月号に掲載されています。

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