脊柱管狭窄症と診断されていても、明らかなマヒがなく、「お尻から足にかけて痛い、しびれる、歩くと痛くなる」といった症状が中心なら、まずは自分の足指を見てみましょう。第4指が曲がっていれば、「足の骨際はがし」で改善するケースがあります。【解説】平野 薫(ひらの整形外科クリニック前院長・(株)ホリスティックメディカル研究所Auwa代表)

解説者のプロフィール

画像: 解説者のプロフィール

平野 薫(ひらの・かおる)

日本整形外科学会認定専門医。日本整形外科学会認定スポーツ医。天城流湯治法師範。天城流医学会理事。九州大学医学部卒業。ひらの整形外科クリニック前院長。(株)ホリスティックメディカル研究所Auwa(アウワ)代表取締役。天城流湯治法師範 武学志体術マスター(認定コンサルタント)。豊富な治療経験・手術経験をもとに的確な診断と治療を行う。近年は「天城流湯治法」を主とした、病院や薬に依存せず自分の身体は自分で治す」医療を提供し、患者から絶大な支持を得ている。著書に『ひざ痛を治したければ筋肉をはがしなさい』(マキノ出版)がある。

脊柱管狭窄症の9割は足指の変形が原因

「足がしびれる」
「太ももの外側からお尻にかけてが痛む」
「歩き続けると足や腰にしびれが出るが、しゃがんでしばらく休むと治まる」

こうした症状で病院に行くと、だいたい「脊柱管狭窄症」と診断されます。

脊柱管狭窄症とは、一般的には、腰椎(背骨の腰の部分)の中を通る神経の空間(脊柱管)が狭くなり、神経が圧迫されて、痛みやしびれ、筋力低下などの症状が出る病気です。

しかし私は、整形外科で脊柱管狭窄症と診断される人の9割以上は、腰での神経の圧迫が原因ではないと考えています。

MRI(磁気共鳴画像)で神経の圧迫が確認できて、画像と一致する部位にマヒ症状が起こっていたり、頻尿や便秘、肛門のしびれなどの膀胱直腸障害があったりする場合は、確かにそれが原因かもしれません。

ところが、多くの患者さんはそうした症状は少なく、足腰の痛みやしびれだけの場合が、ほとんどなのです。

私も以前は、脊柱管狭窄症の原因は腰にあると考えていたので、一般的な治療を行っていました。血流を改善する薬の投与や、局所麻酔剤で痛みを抑えるブロック注射などです。

しかし、ブロック注射を何本打っても、効かない人がいました。また、なかなか症状が改善しない場合、狭窄している部分を広げる手術を行うこともありますが、手術をしてもしびれが残ったり、逆に悪化したりすることもありました。

「腰に問題があるなら、腰を治療すればよくなるはずなのに、なぜよくならないのか」。ずっと疑問に思っていたのです。

そんなとき、健康プロデューサーの杉本錬堂氏が考案された独自のメソッド(天城流湯治法という手当て法)と出合い、謎が解けました。

画像: 脊柱管狭窄症の9割は足指の変形が原因

錬堂氏によると、脊柱管狭窄症の症状は、足の第4指が縮んだり、変形したりすることによって起こるというのです。

日本人は、足に合わない靴をはく人が多く、その影響で、第4指の指先が靴に当たって圧迫され、縮んでいる人が多くいます。ひどい場合は、第4指が第3指に踏まれて、さらに縮んでしまっていることもあります。

第4指が縮むと、足の甲にある腱が引っ張られて硬くなります。すると、そこからつながるすねや太ももの外側、お尻の横までの腱も引っ張られます。そのせいで、お尻や足の筋肉が硬くなって、血流も滞り、痛みやしびれが起こるのです。

そこで、診察時に患者さんの足を見るようにしたところ、お尻から足に痛みやしびれを訴える人の、9割以上の第4指が、縮んで曲がっていたのです。

そうした患者さんに、天城流湯治法のメソッドを行うと、痛みやしびれが軽減しました。MRIで神経の圧迫が認められた人や、筋力の低下があった人でさえも、改善するケースがあったのです。

脊柱管狭窄症と診断されていても、明らかなマヒがなく、「お尻から足にかけて痛い、しびれる、歩くと痛くなる」といった症状が中心なら、まずは自分の足指を見てみましょう。第4指が曲がっていれば、それが原因と考えていいでしょう。

ではここで、そのメソッドをご紹介しましょう。「足の骨際はがし」という方法です。

「足の骨際はがし」のやり方

硬くなった腱や筋肉は、骨に癒着しているので、骨からはがすようにしてゆるめるのがポイントです。下から上へ、1cmぐらいずつずらしながら、ほぐしていきましょう。太ももまでゆるめれば、そこに引っ張られていたお尻の筋肉も自然にゆるみます。

両方の足に行います。1日3回以上を目安に行ってください。

画像1: 「足の骨際はがし」のやり方

足の第4指の先を、手の親指と人さし指でしっかりつかみ、前方に引っ張って伸ばす。数回くり返す。

画像2: 「足の骨際はがし」のやり方

第4指の足の甲側の表面に、すじ状の腱がある。その腱の際に手の親指を立てて当て、骨からはがすように横に引く。指のまたの下から始め、第5指の腱とぶつかる手前まで、少しずつ位置をずらしながら、同様に行う。

画像3: 「足の骨際はがし」のやり方

すねの骨の外側の際に同じ側の手の親指を立てて当て、骨から筋肉をはがすように横に引く。反対の手の親指を骨に当てて行うとやりやすい。外くるぶしの少し上から始め、1cmずつずらしながらひざ下まで行う。

画像4: 「足の骨際はがし」のやり方

太ももの横外側の筋肉に両手の親指を立てて当て、太ももの中央にある骨からはがすイメージで外側にはがす。ひざの少し上から始め、1cmずつずらしながら、股間の高さまで行う。

「自分の体は自分で調整する」のが基本

では、実際によくなった人の例をご紹介しましょう。

●Aさん(81歳・女性)
10年ほど前から、お尻の右側の痛みと右足のしびれに悩まされ、検査を受けたところ、脊柱管狭窄症と診断されました。

手術を勧められましたが、受けたくないと伝えると、痛み止めや血流をよくする薬を処方してくれたそうです。しかし、薬を飲んでも症状は改善せず、歩くのも難しくなってきたので、私のところを受診されました。

Aさんは大きなマヒもなく、筋力も正常だったので、お尻の痛みや足のしびれは、足指の変形から来ていると判断。足の骨際はがしを教えたところ、2週間で右足のしびれが消え、お尻の痛みも軽くなりました。

●Bさん(75歳・男性)
2016年3月、右足の外側と裏側に激痛が走り、歩けなくなりました。救急車で運ばれた病院で、脊柱管狭窄症と診断され、3日間入院。薬を処方してもらいましたが、痛みは引かず、つえなしでは歩けませんでした。

そこで、4月に私のところを受診。足の第4指が曲がっていたため、足の骨際はがしを指導しました。すると、1週間で足の痛みが軽減し、つえを使わずに歩けるようになりました。7月には、痛みも完全に消えたそうです。

なお、天城流湯治法は、「自分の体は自分で調整する」という考えが基本になっています。人にやってもらうだけでなく、自分でも足の骨際はがしを熱心にやっている人ほど、効果がきちんと現れています。

ですから、脊柱管狭窄症の症状に悩んでいる方は、ぜひご自身でも取り組んでみてください。

画像: この記事は『安心』2021年11月号に掲載されています。 www.makino-g.jp

この記事は『安心』2021年11月号に掲載されています。

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