指巻きテープは、巻く場所によってさまざまな症状の改善につながりますが、今回は肥満を改善するポイントを中心にご紹介しましょう。上腹部の横行結腸が下垂すると、胃まで下がってきます。すると胃が広がりやすくなり、食べ過ぎてしまうのです。この横行結腸に対応するのが、手の中指です。【解説】石橋輝美(大津接骨院院長)

解説者のプロフィール

石橋輝美(いしばし・てるみ)

柔道整復師。ペインシフト研究会主宰。手の甲を刺激し、痛みを瞬時に消す「ペインシフト療法」を考案。

弛緩した大腸を引き締め食欲を抑えて排泄を促す

手の甲にある、頭や首、背中、腰、ひざなど体の各部位と関連するポイントを刺激することで、関連部位の痛みや不快症状を一瞬のうちに消し去る。それが、私が40年にわたり研究してきた「ペインシフト理論」に基づく治療法です。

不調が現れているポイントには、サインとして皮膚の盛り上がりなどが現れます。その部分を、ボールペンの先などで押してみると、明らかに他の場所と違う特異な痛み(ペイン)が感じられます。このポイントを刺激して、痛みのない状態に変換(シフト)するのが、ペインシフト療法です。

ペインシフト療法は、刺激した瞬間に痛みが減衰する即効性があります。しかし、効果の持続時間に限りがあり、また症状が完全に消えるまでには一定の時間、継続して刺激する必要のあるケースがあります。

そこで、ポイントに継続的に刺激を与える方法が、医療用の布テープ(サージカルテープやばんそうこう)を指に巻きつける「指巻きテープ」なのです。

6mmほどの幅に細く切ったテープを、指の側面から手の甲側はきつめに、手のひら側はゆるめに巻くことで、血行を妨げることなく、効果的にポイントを刺激し続けることができます。

指巻きテープは、巻く場所によって、さまざまな症状の改善につながりますが、今回は肥満を改善するポイントを中心にご紹介しましょう。

肥満は、メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)の大きな要因で、糖尿病や高血圧を悪化させ、動脈硬化を進めて脳や心臓の血管を傷めます。また、重過ぎる体重は、ひざや腰などの関節に負担をかけ、関節痛にもつながります。まさに万病の元といってよいでしょう。

肥満の原因は、簡単に言えば、「入」と「出」のバランスの悪さです。食べたものから得たエネルギーが、消費したエネルギーと排泄したエネルギーよりも上回っているから、脂肪として蓄積されていきます。

つまり、必要以上に食べ過ぎているうえに、不要分をしっかり便として排泄することができていないということです。

食べたものは、胃で消化されて、小腸で栄養を吸収され、残りが大腸で便となります。

小腸は十二指腸、空腸、回腸、大腸は盲腸、上行結腸、横行結腸、下行結腸、S字結腸、直腸から構成されていて、小腸と大腸が接する場所を「回盲部」といいます。

この回盲部は、体の「冷え」がたまりやすい場所です。そして、回盲部に冷えがたまると、大腸が弛緩して、排泄機能が低下します。特に、重力に逆らって便を上に押し上げる必要がある上行結腸に、その影響が現れやすいことがわかっています。

また、上腹部を右から左に渡る横行結腸がたるんで下垂すると、その上に位置する胃まで下がってきます。

すると、正常な位置にあるときよりも胃が広がりやすくなり、さらに満腹を感知するセンサーの働きが鈍くなります。そのため、食欲が適切にコントロールできずに、食べ過ぎてしまうのです。

この横行結腸に対応するのが、手の中指です。

食欲を抑える中指を基本に、ウエスト周りが気になる人は、上行結腸に対応する右手の薬指と左手の人さし指、下半身太りが気になる人は、両手の小指にテープを巻きましょう(詳しい巻き方は下項参照)。

指巻きテープのやり方

【使用するテープ】

12mm幅の布製サージカルテープ、または布ばんそうこう。

画像1: 【使用するテープ】

テープ先端の中心に切込みを入れ、片側だけを持って引くと、実際に指に巻く6mm幅のテープが取れる。

画像2: 【使用するテープ】

指の側面の中央(手の甲と手のひらの皮膚の境目)から巻き始め、逆側の側面まで1周半巻く。

画像3: 【使用するテープ】

指の血管を圧迫せず、ポイントを効果的に刺激するために、強弱をつけて巻くとよい。

画像: 手の甲側は引きながら強く巻く

手の甲側は引きながら強く巻く

画像: 手のひら側はゆるく巻く

手のひら側はゆるく巻く

【食欲を抑制するテープの巻き方】

両手中指の第一関節と第二関節の中間に巻く

画像: 基本の巻き方

基本の巻き方

【ウエストにくびれを作る巻き方】

右手
中指の第一関節と第二関節の中間
薬指の第一関節の下
薬指の第二関節の上

画像1: 【ウエストにくびれを作る巻き方】

左手
中指の第一関節と第二関節の中間
人さし指の第一関節の下
人さし指の第二関節の上

画像2: 【ウエストにくびれを作る巻き方】

【ベルトに乗るはみ出し肉を引き締める巻き方】

右手
中指の第一関節と第二関節の中間
薬指の第二関節の下
薬指の付け根

画像1: 【ベルトに乗るはみ出し肉を引き締める巻き方】

左手
中指の第一関節と第二関節の中間
人さし指の第二関節の下
人さし指の付け根

画像2: 【ベルトに乗るはみ出し肉を引き締める巻き方】

【垂れ尻を引き締める巻き方】

右手左手とも
中指の第一関節と第二関節の中間
小指の第二関節の下
小指の付け根

画像1: 【垂れ尻を引き締める巻き方】
画像2: 【垂れ尻を引き締める巻き方】

それでは実際に、指巻きテープを肥満改善に役立てた方の例をご紹介します。

自然と食欲が抑えられ減量効果も

Aさん(60代男性)は、身長162cmで体重95kg、ウエストは110cmで、血糖値が700mg/dl(120mg/dl以上で糖尿病)もあり、緊急入院するほどの重度の糖尿病でした。医師から食事制限をきつく指示されるものの、どうしても甘いものが食べたくて、とてもつらい思いをしていたそうです。

そこで私はAさんに、両手の中指と右手薬指、左手人さし指にテープを巻くように指導しました。すると、Aさんは、自然と食欲が抑えられ、7ヵ月後には体重74kg、ウエスト90cmになり、血糖値も正常化するという劇的な変化を遂げたのです。

Bさん(60代女性)は、手足は細いのですが、下腹から腰回りに肉がのりやすく、ズボンのウエストがパツパツになることを気にされていました。そこで、私がBさんの中指にテープを巻くと、その場ではいていたズボンのウエストがブカブカになり、非常に驚いていました。

ただし、この引き締める効果は一時的なもので、効果を定着させるためには、しばらく継続してテープを巻いておく必要があります。

Bさんはその後、ご自宅で両手の中指と小指、右手薬指、左手人さし指にテープを巻きました。すると、パツパツだったズボンのウエスト部分に、3週間ほどで握りこぶしがすっと入るほどの余裕ができたそうです。

続けるうちに、一時的だった体形の変化が引き締まった形で定着し、その後に体重も落ちてきます。ですから、できれば1日中巻いておくのがお勧めです。ただし、何日も巻いたままでいると、刺激に慣れて効果が出にくくなるので、2日に一度はテープを巻き直してください。

画像: この記事は『安心』2021年11月号に掲載されています。 www.makino-g.jp

この記事は『安心』2021年11月号に掲載されています。

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