「あんこコーヒー」は、喫茶店のメニューに登場するなど、現在注目されている飲み方です。実はこの組み合わせは、腸活に役立つアズキとコーヒーの成分を、ダブルでとることができるうえ、抗酸化成分によって、血圧降下や動脈硬化の予防に効果を発揮します。【解説】工藤孝文(みやま市工藤内科糖尿病内科医)

解説者のプロフィール

画像: 解説者のプロフィール

工藤孝文(くどう・たかふみ)

みやま市工藤内科糖尿病内科医・漢方医・統合医療医。福岡大学医学部を卒業後、アイルランド、オーストラリアへ留学。現在は、福岡県みやま市の工藤内科にて、糖尿病内科・ダイエット外来・漢方医療を専門に、地域診療を行っている。NHK「ガッテン!」「あさイチ」、日本テレビ「世界一受けたい授業」など、テレビ出演多数。著書は50冊以上に及び、Amazonベストセラーも多数。YouTube「工藤孝文のかかりつけ医チャンネル」が、現在人気を集めている。

アズキはゆでると食物繊維が5割増

仕事や家事の合間のリラックスタイムに、コーヒーを飲んでいる人は多いでしょう。

腸を元気にしたい人は、そのコーヒーに、ぜひ1さじの「あんこ」を加えてみてください。

コーヒーにあんこを加えた「あんこコーヒー」は、喫茶店のメニューに登場するなど、現在注目されている飲み方です。2021年の6月30日からは、スターバックスコーヒーが愛知県限定で「愛知 でらうみゃ あんこコーヒー フラペチーノ®」を販売したことも話題に上りました。

実はこの組み合わせは、腸活に役立つアズキとコーヒーの成分を、ダブルでとることができるのです。

あんこ(アズキ)

あんこの材料であるアズキは、食物繊維が豊富。その食物繊維の大半は不溶性食物繊維で、量は、なんとゴボウの約3倍という多さです。

さらに面白いことに、アズキはゆでることで、食物繊維の量が約5割も増えます。これは、アズキに含まれるでんぷんが、ゆでることで「レジスタントスターチ(難消化性でんぷん)」に変化するためです。

レジスタントスターチは、人間の胃腸で消化されづらい成分で、食物繊維の一種と考えられています。この成分の特徴として、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の両方の性質を持っていることが挙げられます。

つまり、水溶性食物繊維のように腸内で腸内細菌のエサとなる一方、不溶性食物繊維のように便のカサを増して腸を刺激し、ぜん動運動も促すのです。

このレジスタントスターチは、発酵性食物繊維にも分類されます。

さらにアズキには、ビフィズス菌などの善玉菌のエサになる、オリゴ糖も豊富です。

コーヒー

コーヒーにも、「コーヒーオリゴ糖」というオリゴ糖が含まれています。これもまた、善玉菌のエサとなり、腸内環境を整えるのに役立ちます。

また、コーヒーに豊富なカフェインは、大腸を刺激してぜん動運動を促す他、腸の筋肉をリラックスさせて便通を改善する効果があるといわれています。

このように、あんことコーヒーには、腸内環境を整え便通を改善する成分が豊富です。便秘でお悩みの人に、うってつけの組み合わせと言えるでしょう。

液体プロテインや豆乳を加えて飲むのもお勧め

あんこコーヒーは、腸活以外の効果も期待できます。その強い味方となるのが、抗酸化成分(酸化を防止する成分)です。

アズキには、カテキンルチンといったポリフェノールが豊富に含まれています。その多さは、ポリフェノールが豊富なことで知られる、赤ワインを超えるほどです。

ポリフェノールとは、植物の色素や苦味の成分で、強い抗酸化作用を持っています。そのため、血圧や血糖値、コレステロール値の改善をはじめ、生活習慣病の予防やアンチエイジングなどに役立ちます。

コーヒーにも、抗酸化作用の強いポリフェノール「クロロゲン酸」が豊富です。クロロゲン酸は、コーヒーの褐色や苦味の元になる成分で、血圧降下や動脈硬化の予防に効果を発揮します。

あんこコーヒーは、これらのポリフェノールを一度にとることができるので、より強い効果が期待できると考えられます。

ちなみに、クロロゲン酸には抗酸化作用だけでなく、血糖値の上昇の抑制や、肝臓での脂質の代謝を助けて脂肪を燃えやすくする働きもあります。

また、アズキのレジスタントスターチは血液中の総コレステロールを下げますし、アズキの皮に多く含まれるサポニンという成分も、中性脂肪などの増加を防いで、血液をサラサラに保つ効果があります。

こうしたことからも、あんこコーヒーは健康維持に役立つ組み合わせと言えるでしょう。

さて、あんこコーヒーの作り方ですが、基本的にはブラックコーヒーに大さじ1杯のあんこを加えるだけで完成です(詳しい作り方は下項参照)。

ブラックコーヒーが苦手な人は、少量の牛乳を加えるとよいでしょう。ただし、牛乳はポリフェノールの吸収を阻害します。抗酸化作用は減少しますが、腸活効果は変わりませんので、お好みでお試しください。

抗酸化作用を弱めたくない場合は、液体プロテインや豆乳を加えるのがお勧めです。たんぱく質が効率よくとれる上、腹持ちがよいので間食を防げるという利点もあります。

なお、コーヒーのクロロゲン酸やあんこの食物繊維には、血糖値の上昇を抑制する効果が期待できます。しかし、それでもあんこの糖質が気になるという人は、無糖のゆでアズキや、さらしあん(アズキだけで作った生あんを乾燥させて粉末状にしたもの)を使ってください。

あんこコーヒーは、1日1杯を目安に飲むとよいでしょう。朝食時やおやつタイムなどにコーヒー代わりとして飲めば、習慣にしやすくなるはずです。

あんこコーヒーで期待できる健康効果
腸内環境の改善、便通の促進
血圧、血糖値、コレステロール値、中性脂肪値の改善
アンチエイジング効果
動脈硬化、生活習慣病の予防
肝臓での脂質代謝を助け、脂肪を燃えやすくする

あんこコーヒーの作り方

画像1: あんこコーヒーの作り方

〈材料〉
ブラックコーヒー……1杯
あんこ……大さじ1
〈作り方〉
ブラックコーヒーにあんこを入れ、よく混ぜる。

1日1杯を目安に飲む。
飲むタイミングはいつでも構わない。朝や3時のおやつタイムなど、普段コーヒーを飲む時間帯に行えば習慣にしやすくなる。
使用するあんこは、つぶあんがお勧め。残った粒をよくかんで食べることで満腹感が増し、間食防止にもつながる。
ブラックコーヒーが苦手な人は、少量の牛乳を加えてもよい。ただし、牛乳にはポリフェノールの吸収を阻害する働きがあるため、抗酸化作用は減少する。気になる場合は、液体のプロテインや豆乳で代用する。
糖質を控えたい場合は、無糖のゆでアズキやさらしあんで代用する。

画像2: あんこコーヒーの作り方

無糖のアズキ
さらしあんよりも、ややアズキの苦味が増す。通常のあんこコーヒーと同じく、残った粒もよくかんで食べれば間食防止や満腹感を得るのに役立つ。

画像3: あんこコーヒーの作り方

さらしあん
多少粉っぽく感じるが、味に大きな変化はない。アズキ特有の苦味が苦手な人にお勧め。

画像: この記事は『安心』2021年11月号に掲載されています。 www.makino-g.jp

この記事は『安心』2021年11月号に掲載されています。

www.makino-g.jp

This article is a sponsored article by
''.