旨みたっぷりのトマトみそなら少量で味が決まるので、減塩効果が期待できるほか、トマトのカリウムが余分な塩分を体外に排出してくれます。作り方のポイントは、トマトを軽くつぶしながら油で炒めること。トマトの旨みと、リコピンの吸収率がアップします。【解説】MICHIKO(料理研究家・食養生士)

解説者のプロフィール

画像: 解説者のプロフィール

MICHIKO(みちこ)

料理・調味料研究家、食養生士。食・美・健康をテーマに、料理教室、講演、食事指導、レシピや調味料の開発など幅広く活躍している。また、医師の指導の下、生活習慣病の人に食事や生活習慣、免疫力アップなどの指導をしている。NHK『あさイチ』、日本テレビ『ZIP』、TBSテレビ『あさチャン』『教えてもらう前と後』ほか、テレビ、ラジオなどへの出演も多数。「調味料選手権」審査委員長も務めるなど、調味料への造詣も深い。
▼美楽流MICHIKO(公式サイト)

皮ごと使えば栄養を余すところなくとれる

トマトみそ」とは、その名のとおり、トマトとみそを合わせて作る自家製調味料のことです。これは数年前に私が考案した物ですが、最近また『有吉ジャポンⅡジロジロ有吉(TBS)』をはじめ、テレビ番組や雑誌などでも多く取り上げられ、注目を集めています。

おそらくコロナ禍で自炊する人が増え、おいしい料理が簡単にできる調味料に、関心が寄せられているのでしょう。

私は以前から、「調味料こそ料理の主役」と考えてきました。また、食養生士として生活習慣病のかたへの食事指導も行っており、健康のためにたいせつなのは、毎日の食事であることを実感してきました。

そんななかで開発したのが、トマトみそでした。栄養価の高いトマトと発酵食品のみそを合わせれば、ダブルの作用で、健康効果の高いスーパー調味料ができると考えたのです。

トマトで注目すべき栄養素は、なんといってもリコピンです。強い抗酸化作用があり、病気や脳の老化を予防し、シミやシワを防ぐ美容効果もあるといわれています。

また、トマトには旨み成分であるグルタミン酸が豊富に含まれています。トマトを入れることで、だしのかわりとなり、料理がおいしくなるのです。「トマトのあるところに料理下手はいない」といわれるのはこのためです。

一方、みそは発酵食品ならではの働きによって、腸内環境を整えたり、免疫力を高めたりする効果が期待できます。

また、旨みたっぷりのトマトみそなら少量で味が決まるので、減塩効果が期待できるほか、トマトのカリウムが余分な塩分を体外に排出してくれます。

トマトみその作り方は、下項を参照してください。ポイントは、トマトを軽くつぶしながら油で炒めることです。

こうすることで、トマトの旨みと、リコピンの吸収率がアップします。レシピではミニトマトを使っていますが、大玉のトマトでもかまいません。皮ごと使えば余すところなく栄養をとれるでしょう。

みそは、ふだん使っている好みの物でOKです。麦みそや白みそなど、甘みの強いみそを使う場合は、みりんを控えめにしてください。みそを加えたら火を入れ過ぎないよう注意しましょう。

みりんは、みそと同じく発酵食品としてレシピに加えています。みりん風調味料ではなく、できるだけ「本みりん」を使ってください。

さらに、ショウガを加えることで、体を温めたり、カゼを予防したりといったショウガの健康効果もプラスされます。

これ以外に、ニンニク、ゴマ、ニラなど、好きな食材を入れて、自分だけのスペシャルな味を作るのもよいでしょう。

トマトの代わりにケチャップを使えば簡単

私は、生まれつきアレルギー体質で、食事にはずっと気をつけています。特に意識しているのは発酵食品をとることです。

発酵食品をとらないと、便秘になったり、吹出物ができたり、なんとなく疲れてやる気がなくなったりします。疲れるとアレルギーも出やすくなるので、日ごろから発酵食品をしっかりとって、疲れをためないように心がけています。

私はトマトみそも発酵食品の一つとして考え、日常的にとるようにしています。

画像: MICHIKO先生のトマトみそ

MICHIKO先生のトマトみそ

もう一つ、トマトみそのよいところは、料理の手間を削減してくれることです。

例えば、冷奴、パスタ、焼いた肉や魚、蒸し野菜などにトマトみそをのせるだけで、おいしい一品が完成します。お勧めは、インスタントみそ汁のように、大さじ1杯強のトマトみそをお湯で溶くトマトみそ湯。レタスやカイワレ大根を加えてもいいでしょう。

トマトみそは、時間があるときにまとめて作っておけば、冷蔵庫で1週間、冷凍庫で1ヵ月保存できます。

生のショウガのかわりにチューブの物や、トマトのかわりにケチャップを使ってもOKです。完熟トマトで作られたケチャップは味が完成しているので、みりんは不要です。上手に手抜きをしながら、皆さんの家の定番調味料にしてください。

こうして日々の食生活にトマトみそを取り入れているうちに、あるときふと気づくと、便通が改善したり、肌ツヤがよくなったりしていて、すっかり元気になっていた……そんな食養生につながるとうれしいです。ぜひ日常的にトマトみそを食べて、健康維持に役立ててください。

おいしくて栄養満点!トマトみそ絶品レシピ

基本のトマトみそ

画像1: 基本のトマトみそ

【材料】(出来上がり350g)
ミニトマト…1袋(180g)
みそ(減塩タイプ)…200g
ショウガ…1片(20g)
米油…大さじ1
みりん…大さじ1

冷蔵庫で約1週間、冷凍庫で約1ヵ月保存可能
みそは好みの物でOK!麦みそなど甘めのみそを使う場合は、みりんの量を減らすとよい。

【作り方】
ミニトマトは縦に4等分に、ショウガはみじん切りにする。

画像2: 基本のトマトみそ

フライパンに米油を熱し、ショウガを炒め、ミニトマトを加えてさらに炒める。
にみりんを入れてよく炒め、みそを加えて混ぜ合わせる。みその香りが立ったら、出来上がり。冷めたら、密閉瓶などに入れて保存する。

画像3: 基本のトマトみそ

簡易版として、ケチャップとみそを1対1で混ぜてもよい。ただし1回で使い切ること。

画像4: 基本のトマトみそ

カブとレンコン、桜エビのトマトみそ酢和え

画像: エネルギー:101kcal 塩分:0.7g(各1人分)

エネルギー:101kcal 塩分:0.7g(各1人分)

【材料】(2人分)
カブ…2個
レンコン…100g
桜エビ(乾)…5g
酒…大さじ2
トマトみそ(上のレシピ参照)…大さじ1
 酢…大さじ1/2
 ハチミツ…小さじ1/2

【作り方】
カブは根と葉に分け、根は6~8等分のくし型に、葉は3cm長さに切る。レンコンは5mm幅のいちょう切りにし、酢(分量外)を少量加えた水につける。
フライパンにカブの根とレンコン、酒を入れてふたをし、弱~中火で3分ほど蒸す。カブの葉を加え、さらに1分ほど蒸し、取り出して冷ます。
ボウルにⒶを入れて混ぜ、②と桜エビを加えてサッと和える。

サツマイモとパンのトマトみそスープ

画像: エネルギー:236kcal 塩分:1.6g(各1人分)

エネルギー:236kcal 塩分:1.6g(各1人分)

【材料】(2人分)
サツマイモ…80g
食パン(8枚切り)…1/2枚
トマトみそ…大さじ2
タマネギ…1/4個
ベーコン…2枚
オリーブオイル…小さじ2
水…400ml
ヨーグルト…大さじ2
レタス…2枚
粉チーズ…適量

【作り方】
サツマイモ、タマネギは1cm角に切る。ベーコンは1.5cm幅に切る。
鍋にオリーブオイルを熱し、①を入れて炒める。水を加えて5分ほど弱火で煮て、トマトみそを溶き入れる。
ヨーグルトと1cmの角切りにした食パン、手でちぎったレタスを加えて混ぜ合わせ、火を止める。
器に盛り、好みで粉チーズを振る。

キムチ納豆のトマトみそスープ

画像: エネルギー:126kcal 塩分:2.3g(各1人分)

エネルギー:126kcal 塩分:2.3g(各1人分)

【材料】(2人分)
キムチ…80g
納豆…1パック(50g)
トマトみそ…大さじ2
豆腐(絹)…1/4丁(100g)
ニラ…2本
水…400ml
ゴマ油…小さじ1/2

【作り方】
キムチは食べやすい大きさに切る。豆腐は1cm角に、ニラは3cm長さに切る。
鍋に水を煮立て、①を加えて、トマトみそを溶き入れる。ひと煮立ちさせ、ゴマ油を加える。
器に盛り、納豆をのせ、具を混ぜながら食べる。

豚肉のゴマトマトみそ焼き

画像: エネルギー:297kcal 塩分:1.3g(各1人分)

エネルギー:297kcal 塩分:1.3g(各1人分)

【材料】(2人分)
豚ロース肉(薄切り)…150g
ネギ…1本
シソ…3枚
ゴマ油…小さじ2
トマトみそ…大さじ2強
 酒、みりん、白すりゴマ…各大さじ1/2

【作り方】
ネギは斜め薄切りに、シソはせん切りにする。Ⓐの材料をすべて合わせる。
フライパンにゴマ油を熱し、豚肉を入れて両面を焼く。
ネギを加えてサッと炒め、Ⓐを加えてからめ合わせる。
器に盛り、シソをのせる。

ナスと厚揚げのトマトみそカレー煮

画像: エネルギー:454kcal 塩分:1.3g(各1人分)

エネルギー:454kcal 塩分:1.3g(各1人分)

【材料】(2人分)
ナス…1本
厚揚げ…280g
ピーマン…1個
米油…小さじ2
鶏ひき肉…150g
トマトみそ…大さじ2強
 カレー粉、みりん、酒…各大さじ1
 水…50ml
 片栗粉…大さじ1/2

【作り方】
ナスとピーマンはひと口大に切る。厚揚げは、熱湯でサッとゆでて油を抜き、2cm角に切る。
フライパンに米油を熱し、鶏肉と①を入れてよく炒める。
Ⓐを入れてふたをし、ときどきかき混ぜながら、弱~中火でとろみがつくまで3~4分煮る。

カジキと豆苗のトマトみそ黒酢炒め

画像: エネルギー:312kcal 塩分:1.4g(各1人分)

エネルギー:312kcal 塩分:1.4g(各1人分)

【材料】(2人分)
カジキ(切り身)…2切れ
豆苗…1/3パック
キクラゲ(生)…2枚(30g)
タマネギ…1/3個
パプリカ(黄)…1/4個
片栗粉…適量 ゴマ油…小さじ1
トマトみそ…大さじ2強
 黒酢、水…各大さじ1
 砂糖…大さじ1/2

【作り方】
キクラゲは石突きを取り細切りにする。タマネギとパプリカは細切りにする。
フライパンに揚げ油(分量外)を1cmほど入れて、中温170度くらいに熱する。片栗粉を薄くまぶしたカジキを入れ、両面を揚げ焼きにする。火がとおったら取り出す。
②のフライパンをきれいにし、ゴマ油を熱し、①を加えて炒め、Ⓐと4cm長さに切った豆苗を加えて、手早くからめ合わせる。
②を器に盛り、③をのせる。

サバのトマトみそ煮

画像: エネルギー:220kcal 塩分:1.9g(各1人分)

エネルギー:220kcal 塩分:1.9g(各1人分)

【材料】(2人分)
サバ(切り身)…2切れ
インゲン…3本
マイタケ…1/3パック
トマトみそ…大さじ3
 水…150ml

【作り方】
サバは、皮に浅い十文字の切れめを入れる。インゲンは4cm長さに切る。マイタケは小房に分ける。
フライパンにⒶを煮立て、サバの皮めを上にして並べ入れ、中火で煮汁をかけながら2~3分煮る。
インゲンとマイタケを加えて、落としぶたをして弱火で6~7分ほど煮る。

キノコのトマトみそ炊き込みご飯

画像: エネルギー:269kcal 塩分:0.7g(5分の1杯分)

エネルギー:269kcal 塩分:0.7g(5分の1杯分)

【材料】(作りやすい量=4〜5人分)
キノコ類(シイタケ、シメジ、エリンギ、エノキなど好みで)…200g
米…2合
トマトみそ…大さじ3強
サトイモ…2個(80g)
ニンジン…4cm
油揚げ…1枚
コンニャク(あく抜きした物)…1/4枚(80g)
ゴマ油…小さじ1
万能ネギ…2本

【作り方】
米は洗って、30分ほど水に浸けてザルに上げる。
キノコ類は石突きを取り、食べやすい大きさに切る。サトイモは皮をむいて4mm厚さの輪切りに、ニンジンと油揚げ、コンニャクは細切りにする。
炊飯器の内釜に①とトマトみそを入れ、水を2合の目盛りまで加えて混ぜ、②をのせて普通に炊く。
炊き上がったらゴマ油を加えてよく混ぜる。器に盛り、小口切りした万能ネギをちらす。

ツナとブロッコリーのトマトみそスパゲティ

画像: エネルギー:420kcal 塩分:2.5g(各1人分)

エネルギー:420kcal 塩分:2.5g(各1人分)

【材料】(2人分)
ツナ(缶、ノンオイルの物)…70g
ブロッコリー…1/3個(100g)
トマトみそ…大さじ3
スパゲティ(乾)…160g 
オリーブオイル…大さじ1

【作り方】
ブロッコリーは小房に分けて粗く刻み、ツナ缶は汁を切る。
スパゲティは、塩(分量外)を加えた湯で、袋の表示どおりにゆでる。ゆであがりの1分前にブロッコリーを加える。ザルに上げ、湯を切る。
フライパンにオリーブオイルとトマトみそ、②、ツナを入れて、サッと炒め合わせる。

■スタイリング/北舘明美、栄養計算/緑川鮎香(管理栄養士)

画像: この記事は『壮快』2021年11月号に掲載されています。 www.makino-g.jp

この記事は『壮快』2021年11月号に掲載されています。

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