解説者のプロフィール

西川眞知子(にしかわ・まちこ)
西川眞知子ライフデザイン研究所代表。上智大学外国語学部を経て、仏教大学卒業。自然療法で病弱だった自分の体がよくなったことをきっかけに、インドやアメリカを歴訪して、ヨガや自然療法を学ぶ。 その経験と研究をもとに「日本ならではのアーユルヴェーダ」を提唱している。
食べたものをちゃんと燃焼できる体になる
インドの伝統医学「アーユルヴェーダ」は、現代医学が得意とする「病気を治す」という考えとは異なり、生活習慣を整えて「病気になりにくい心身を作る」ことを大切にしています。
アーユルヴェーダの極意を一言でいえば、〝毒出し〟です。これは、生活習慣やストレスなどの影響で、知らず知らずに心身に毒素(不要・有害なエネルギー)がたまり、不調を引き起こすという考えのことです。
特に、食事が大切になります。アーユルヴェーダでは、個々の体質や体調、季節などに応じて、とるとよい食べもの、控えた方がよい食べものが変わります。
しかし、どんな体質の人にも、合うとされる食事もあります。それは、①甘味・②塩味・③辛味・④渋味・⑤苦味・⑥酸味、以上の六味がバランスよくそろっている食事です。
この六味を気軽にバランスよく取り入れられて、ダイエットと健康管理に役立つ、お勧めの方法が「スパイスみそ」です。
これは、日本を代表する発酵食品のみそに、ウコン、ショウガ、黒コショウの3つのスパイスを組み合わせたもの。手に入れば、さらにヒハツを加えるのもお勧めです。
実際に、スパイスみそを食生活に取り入れたら「運動習慣や食生活を変えていないのに、体重が2~3kg、自然に落ちた」という人が多くいます。中には5kgのダイエットに成功して、リバウンドしていない人もいました。
他にも、「肌がきれいになった」「いつもは35℃台だった体温が36℃台に上昇した」といった声もたくさんいただいています。体温が上がるのは、みそやショウガの作用だと考えられます(詳しくは後述)。普段の体温が上昇すると、免疫細胞の働きが活性化し、免疫力が高まるといわれています。
また、アーユルヴェーダでは、消化力を「アグニ(消化の火)」と呼び、重要視しています。アグニが弱いと、食べた物がきちんと消化・燃焼されず、体内に「アーマ」と呼ばれる未消化物が残ります。このアーマは、冒頭で述べた毒素の元なので、さまざまな病気の引き金となったり、体に脂肪がたまったりする原因になり得ます。
しかし、スパイスみそを継続してとっていると、「食べたものをちゃんと燃焼できる」体に戻っていくので、アーマを体内に残さず、健康的にやせるのだと私は考えています。
みそ田楽に使っても美味しい
みそと各スパイスの作用も以下にご紹介しましょう。
まず、みそには甘味、塩味、少しの辛味があり、発酵食品なので、酸味もあります。アーユルヴェーダでは、発酵食品は消化を助け、代謝を活性化するとされているので、冷えに効果があります。
ウコン:「ターメリック」とも呼ばれるショウガ科の植物で、カレーに使われる香辛料としてよく知られています。ウコンは苦味、渋味と少しの辛味を備えます。
苦味や渋味は現代人の食生活に不足しやすいので、意識してとる必要があります。また、ウコンにはたんぱく質の消化を助ける作用があって、みそとの相性も良好です。
ショウガ:ショウガはウコンと似た作用を持ちますが、より強い辛味があります。体を温めたり、血の巡りをよくしたり、消化力を高めたりします。
黒コショウ:黒コショウは辛味とともに、香りの刺激で、消化の火を燃え立たせるといわれています。
スパイスみそは、みそ10に対して、ウコンは0.5、ショウガ1、黒コショウ1の割合で混ぜて作ります。みその種類は問いません。また、各スパイスは、いろいろな名称で売られていますが、原料が紹介しているものと同じで、粉末状であれば、どれでも大丈夫です。さらにヒハツを、ショウガや黒コショウと同量(みそ10に対して1)加えるのもお勧めです。
まとめて作って、密閉容器に入れ、冷蔵庫に保存すると便利です(1週間以内に使い切ること)。
スパイスみそは味にコクがあるので、みその量も少なくて済み、減塩にも役立つでしょう。六味をバランスよく兼ね備えたスパイスみそは、みそ田楽、厚揚げなどにもよく合います。ぜひ試してみてください。
スパイスみその作り方
用意するもの
・お好みのみそ(種類は問わない)
・ウコン(ターメリック)
・黒コショウ(ブラックペッパー)
・ショウガ(ジンジャー)
※お好みでヒハツ(ロングペッパー、ヒバーチ)
※粉末状のスパイスを使うこと

作り方
分量の割合をみそ10に対して、ウコン0.5、ショウガ1、黒コショウ1の割合で混ぜ合わせる。
あれば、ヒハツも1の割合で入れる。

※みそ汁などの料理に使う。
※冷蔵庫で保存する。1週間以内に使い切ること。

この記事は『安心』2021年10月号に掲載されています。
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