おやつは本来、成長期の子どものカロリーや栄養を補うための補食です。加齢により代謝が落ち、多くのエネルギーを必要としない大人に、補食は必要ありません。私は口寂しいときはコーヒーやお茶を口にします。水分補給になるのはもちろん、空腹感が紛れます。麦茶は、ミネラルが取れるのも利点です。【解説】本間真二郎(七合診療所所長)

解説者のプロフィール

画像: 解説者のプロフィール

本間真二郎(ほんま・しんじろう)

七合診療所所長。1969年、北海道生まれ。小児科医師。医学博士。札幌医科大学医学部卒業後、同大学附属病院、旭川赤十字病院などに勤務。2001年より米国・国立衛生研究所にてウイルス学・ワクチン学の研究に携わる。帰国後、札幌医科大学新生児集中治療室室長に就任。08年、栃木県那須烏山市の七合診療所所長に着任。地域医療に従事しつつ自然に沿った暮らしを実践している。著書に『医師が実践する病気にならない自然な暮らし』(マキノ出版)などがある。

口寂しさはコーヒーや番茶で十分紛れる

私は2008年に栃木県那須烏山市に移住し、市の診療所に勤務する傍ら、自然に沿った暮らしをしてきました。

日々の食卓に上がるのは、自然農で取れた米や野菜。基本の調味料(みそ、しょうゆ、みりん、酢、塩こうじなど)をはじめ、豆腐、納豆、パン、漬物やジャムなど、多くの食べ物が自家製です。

二人の子どもたちのおやつもそうした食材を工夫して、もっぱら妻が作っています。例えば、豆腐を作ると大量のおからが出ます。そのおからをおいしく食べられないかと考えたのが、おからクッキーや、おからドーナツ。たくさんできたときは、私も子どもといっしょに食べることがあります。

豆乳で作ったヨーグルトやラッシーもおやつの定番です。また、季節のフルーツを使った酵素ジュースや、フルーツポンチ、野菜のゼリーなども、よく作っています。

ただ私自身は、ふだんからおやつを取る習慣はありません。おやつは本来、成長期の子どものカロリーや栄養を補うための補食です。昼食と夕食の間の3時ごろは、ちょうどおなかがすく時間帯。それで「3時のおやつ」が定着したのでしょう。

しかし、加齢により代謝が落ち、多くのエネルギーを必要としない大人に、補食は必要ありません。私は、口寂しいときはコーヒーお茶を口にします。

コーヒーは午前中に飲むことが多く、麦茶や番茶は午後。水分補給になるのはもちろん、空腹感が紛れます。麦茶は、ミネラルが取れるのも利点です。

ふだんの食事についても、お話ししましょう。私の診療所はほぼ住まいに併設されているので、よほどのことがなければ、食事は自宅で、決まった時間にとります。

食材は、なるべく地元で取れた旬の物。基本は和食で、玄米ご飯とみそ汁、漬物の3点セットに、野菜のおかずといった組み合わせです。

本間先生のおやつは
飲み物

画像: 【大人のおやつ】本来不要の嗜好品と心得よう  普段の食生活が整っていればたまに羽目を外してもOK

コーヒー・お茶
午前はコーヒー、午後はお茶で空腹感を紛らわす

社会に適応する力を伸ばすことも必要

「身土不二(しんどふじ)」という言葉をご存じでしょうか。

私たちの体は、住んでいる土地と切り離すことはできません。その土地の旬の作物が腸内細菌を育み、その土地で暮らすのに最適な体をつくるのです。私が畑仕事をするのも、そうした考えからです。

こうした我が家の生活を紹介すると「手作りの食品ばかりで市販品は食べないのか」と、聞かれることがあります。

市販品を否定するつもりはありません。お店で売られているなかにも、素材を選び、丁寧に作られた品はあります。そんなお菓子が、たまたま手元にあれば、私も喜んでいただきます。

子どもが大きくなり、遊んだ友達とおやつを食べる機会が増えてきました。私は、子どもが外で食べる物については、いっさい制限していません。仮に、それが砂糖や添加物たっぷりのお菓子であっても、です。

それより、社会に適応する力を伸ばすことが必要。「これもダメ、あれも食べられない」と細かく決めていたら外で生活できなくなってしまいます。

たまには羽目を外すこともあるでしょう。けれども、ふだんの食事を体が覚えていれば、多少、体に悪い物を食べてもどうってことありません。一時的にスナック菓子などを好んで食べたとしても、いずれは、自然の味に戻ってくるはずです。

大人についても、同じことがいえます。お菓子は嗜好品ではありますが、ふだんの食事がきちんとしていれば、多少食べても大丈夫。生活習慣病がある場合は要注意ですが、コロナ禍で制限の多い今、ささやかな楽しみがあってもいいでしょう。

私の実感として、自然から離れるほど、人は不健康になっていきます。「自然か、自然でないか」が、食事や暮らし方を選ぶ基軸になると考えています。そうした視点から、免疫力を高める自然なおやつを選んではいかがでしょうか。

画像: この記事は『壮快』2021年10月号に掲載されています。 www.makino-g.jp

この記事は『壮快』2021年10月号に掲載されています。

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