日ごろから、おやつらしいおやつを口にすることはありませんが、おなかがすいたときに間食として食べるのが、ゆで卵やチーズです。卵は必須アミノ酸をすべて含むうえ、ビタミンやミネラルなどの栄養も豊富。必須脂肪酸も含まれています。卵が苦手なかたには、チーズをお勧めします。【解説】宇佐見啓治(うさみ内科院長)

解説者のプロフィール

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宇佐見啓治(うさみ・けいじ)

うさみ内科院長。1982年福島県立医科大学卒業後、同大学附属病院第二内科に入局。福島赤十字病院での勤務を経て、97年にうさみ内科を開業。専門は内科全般。25年ほど前から、糖尿病治療に運動療法として筋トレを取り入れ、食事療法と並行して患者に指導。治療に高い成果を上げている。趣味はボディービルディングで、県内の選手権で入賞した経歴もある。著書に『血糖値がみるみる下がる!7秒スクワット』(文響社)など。
▼うさみ内科(公式サイト)

たんぱく質を重視し炭水化物を控える

私はもともと、ボディビルに取り組んでいたので、長い間、効率よく筋肉をつくる食事を意識してきました。

今はボディビル大会などに出ていないので、無理な減量はしません。とはいえやはり、ふだんの食事は、たんぱく質を重視し炭水化物を減らした、いわゆる糖質制限食です。平日の朝晩は、基本的に、ご飯やパン、麺類などは控えています。

画像: ボディビル全盛期の宇佐見先生

ボディビル全盛期の宇佐見先生

今回の取材を機に、ある日の食事を振り返ってみました。朝食は、7時から7時半の間にとります。目玉焼きを2個とソーセージを2本、モッツァレラチーズとトマトのサラダ。

飲み物はコーヒーならブラックで、紅茶ならミルクティー。もちろん砂糖は入れません。緑茶やウーロン茶も好んで飲みます。診察は、9時開始です。

昼食は、12時半から13時。市販のお弁当を取ることが多いでしょうか。ただ、ご飯は全部食べずに、半分残します。

午後の診療が終わるのは、18時。夕食は19時ごろです。この日はアスパラガスの肉巻きに、ナスの天ぷら、キュウリの漬物など。家族は白いご飯を食べますが、私はおかずだけです。

週に2日程度は、21時から1時間ほど、ジムでトレーニングをします。帰宅後にプロテインパウダーを牛乳か水に溶かして飲み、入浴。そこから事務仕事などを片づけて、12時前には寝るようにしています。

このように、日ごろから、おやつらしいおやつを口にすることはありません。ただ、昼食から夕食までの間に、おなかがすくことはあります。

そんなときに間食として食べるのが、ゆで卵チーズです。

宇佐見先生のおやつは
ゆで卵とチーズ

画像1: 【糖質制限を続けるコツ】週末に好きな物を食べ平日は我慢  おやつには腹持ちの良い卵やチーズを活用

ゆで卵
ゆで卵はコンビニでも入手可能

画像2: 【糖質制限を続けるコツ】週末に好きな物を食べ平日は我慢  おやつには腹持ちの良い卵やチーズを活用

チーズ
チーズはカマンベールや裂けるタイプ

夕食のご飯をやめるだけでも効果あり

卵はコレステロールが多いことから、かつては「1日1個まで」が推奨されていました。

しかし、近年の研究により、コレステロールの8割は体内で合成され、食事から作られるのは2割程度であることが判明。2015年には、厚生労働省の「日本人の食事摂取基準」からコレステロール摂取の目標(上限)量が撤廃されました。

つまり、食事中のコレステロールが血中コレステロール値に直接反映するわけではないのです。

一つの卵から一つの命が生まれるだけあって、栄養成分表を見ると、卵が完全栄養食といわれるのもうなずけます。

たんぱく質を構成するアミノ酸20種類のうち、人間が体内で合成できない9種類を必須アミノ酸といいます。卵は、この必須アミノ酸をすべて含むうえ、理想とされる含有量に対する割合を示す「アミノ酸スコア」が100点満点。たんぱく源として、非常に優秀なのです。

もちろん、ビタミンやミネラルなどの栄養も豊富。必須脂肪酸も含まれています。一方、糖質はほとんど入っていません。

ゆで卵は腹持ちもよく、最近はコンビニでも入手が可能。最強のおやつといえるでしょう。

卵が苦手なかたには、チーズをお勧めします。牛乳をはじめ乳製品の摂取には、さまざまな意見がありますが、チーズは発酵食品ですし、やはりおなかにたまるので、いいと思います。

私は、カットしてあるカマンベールチーズや、さけるタイプの物が好みです。近年の研究によると、カマンベールチーズには記憶機能の改善に有効な成分が含まれているとわかったそうで、うれしいところですね。

話は糖質制限に戻りますが、栄養学的に、必須アミノ酸や必須脂肪酸はあっても、「必須糖質」というのはありません。

人間は野菜や果物、豆類、海藻類などさまざまな物を口にしますし、それらにも、糖質は含まれています。糖質は、あえてとらなくても、生きていくのに支障がないうえ、とり過ぎは肥満を招きます。控えるのに越したことはないのです。

ただ、エネルギーが不足すると脳が体に「血糖値を上げろ」と指令を出すため、体は炭水化物を欲しがります。おいしく感じるようにできているので、食べ物の誘惑に打ち勝つのは、難しいものですよね。

ですから私の場合、糖質制限は平日だけ。土日はラーメンでも、すしでも、好きな物を食べるようにしています。これが、長続きさせるコツです。

糖質をやめられない患者さんには、とりあえず夕食時にご飯を食べないように指導すると、皆さん1ヵ月で1~2kgの減量に成功します。このとき「甘い物は別腹」はNGです。夕食後の別腹はないと思って、平日だけでも実践してみてください。

画像: この記事は『壮快』2021年10月号に掲載されています。 www.makino-g.jp

この記事は『壮快』2021年10月号に掲載されています。

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