疲れて機能低下した肝臓は、冷えてかたくなっています。肝臓マッサージは、物質に圧をかけると電気が生じる「圧電効果」を利用して血流をぐんと高める方法で、血流が高まり肝臓が活性化すれば、肝機能の低下による多くの症状の改善が期待できます。【解説】高林孝光(アスリートゴリラ鍼灸接骨院院長・鍼灸師)

解説者のプロフィール

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高林孝光(たかばやし・たかみつ)

アスリートゴリラ鍼灸接骨院院長・鍼灸師。東京柔道整復専門学校、中央医療学園専門学校卒業。鍼灸師。病棟研修時代から肝臓の疲労と痛みとの関連に着目し、全身の若返りを目的としたセルフケアを考案。著書に『病気を治したいなら肝臓をもみなさい』(マキノ出版)など多数。
▼アスリートゴリラ鍼灸接骨院(公式サイト)

肝臓はマッサージ可能な数少ない内臓

私の鍼灸接骨院に来られる患者さんの多くは、腰痛やひざ痛、股関節痛、肩こりなど、関節や筋肉に問題のある人です。

しかし、患者さんのお話を聞くと、ほかの悩みもよく耳にします。例えば、耳鳴りやめまい、不眠、頻尿などです。そんなとき「試しにどうですか」とお教えするのが「肝臓マッサージ」です。(やり方は下項参照)。

肝臓は、数少ないマッサージが可能な内臓です。心臓や肺、腎臓など、多くの内臓は、骨や厚い筋肉に覆われ、しっかりガードされています。ところが肝臓は、その一部が肋骨の下から少しだけのぞいています。薄い腹壁で隔てられているだけなので、容易に触れるのです。

肝臓をさすることでその働きを高め、さまざまな健康効果が期待できると知ったのは、「ヘパリン」という物質がきっかけでした。ヘパリンは、私たちの治療でよく用いる、塗り薬に含まれる成分です。血流を促す作用があり、筋肉を温めて治療効果を高めてくれるのです。

ところが、その効果は表層の筋肉のみで、深部の筋肉には及びません。例えば、肩こりは深部の筋肉をほぐさないと、よくならないケースが多々あります。そこで、なにかいい方法はないかと調べていたときに、体内のヘパリンが肝臓でつくられていることを知りました。

前述のように、肝臓は手で触れます。だったら、さすることで肝臓の働きをよくしてヘパリンの生成力を高めれば、より多くのヘパリンが血流にのって肩や腰に届き、深部の筋肉がほぐれるのではないでしょうか。

肝臓マッサージは、血流促進の原理である「圧電効果」を利用しています。圧電効果とは、物質に圧をかけると電気が生じるという理論です。

細胞も物質ですから、同じ現象が起こります。細胞内に電気が生じると、その刺激で血流がぐんと高まります。この効果が、肝臓にも適用できるのです。

使い捨てカイロを貼る方法もおすすめ

肝臓マッサージは、「さする」に加えて、「なでる」「押す」の三つで構成され、1分くらいで終わります。

まず、肝臓をさすり、肝臓に血液を集めます。圧電効果により、肝臓や全身の細胞の、血液の出し入れがよくなります。

次に、なでることで、肝臓に集まった血液を温めます。そして、押すことで、肝臓内の温まった血液を、全身に送り届けるのです。こうした一連の刺激が肝臓の疲労回復につながり、活性を高めると考えられます。

肝臓マッサージは、肝臓の活動が低下する寝る前に行います。頻度は1日おきがいいでしょう。行い過ぎると、逆に肝臓を疲れさせてしまうからです。

直接さすると皮膚が傷つく危険があるので、必ず下着や薄手の衣服の上から行ってください。肝臓は皮膚のすぐ下にあり、強い力で行うと肝臓の組織を壊しかねません。くれぐれも優しく刺激しましょう。

腱鞘炎などで手が使えない人や、体の冷えが強い人は、肝臓の位置に使い捨てカイロを貼って温めてください。朝、肌着の上から貼り、夜の入浴前には外しましょう。くれぐれも低温ヤケドには気をつけ、1日おきに行ってください。

実際に、肝臓マッサージを治療に導入したところ、予想以上の成果が得られました。さらに、セルフケアで実行された患者さんから、抱えていた別の症状も改善したという声を続々といただくようになったのです。

私の患者さんのケースでは、耳鳴り、めまい、不眠、頻尿、眼精疲労(疲れ目)、肩こり、腰痛、ひざ痛、腱鞘炎、こむら返り、シミ、シワ、カゼなどの予防・改善に肝臓マッサージが効果を発揮しています。また、15kgやせたという人、AST(GOT)やALT(GPR)などの肝機能値が改善したという人もいます。

画像: 服の上から優しく肝臓をさする。

服の上から優しく肝臓をさする。

肝臓は、代謝、解毒、胆汁の分泌のほか、たんぱく質や酵素の生成など、実に500以上の仕事をこなしています。肝臓が、「総合化学工場」と呼ばれるゆえんです。

さらに、肝臓は「血液のコントロールセンター」でもあります。総合化学工場である肝臓の働きにより生まれた血液は、前述のヘパリンも含め、全身を巡り、あらゆる臓器・器官に供給されます。そうして、私たちの生命と健康を支えるのです。

また、肝臓には免疫システムの司令塔といわれるクッパー細胞が多く存在し、体の抵抗力を保つ働きもあります。

疲れて機能低下した肝臓は、冷えてかたくなっています。肝臓マッサージで適度な刺激を与えれば、血流が高まり肝臓が活性化。肝機能の低下による多くの症状の改善が期待できます。

肝臓に不安がある人、不眠、眼精疲労などの不調がある人は、ぜひお試しください。

肝臓マッサージのやり方

肝臓をさする
右の肋骨のきわに左右どちらかの手のひらを当てて、心地よい程度の強さで20秒間さする。

画像1: 肝臓マッサージのやり方

肝臓をなでる
右の肋骨のきわを、左右どちらかの手の人さし指から小指までの4本の指を使って30秒間、なで回す。

画像2: 肝臓マッサージのやり方

肝臓を押す
両手を組んで、右の肋骨の下半分をはさみ込む。

画像3: 肝臓マッサージのやり方

組んだ手に力を入れたり抜いたりして、肋骨が少し動くくらいの強さで10秒間、押す。

画像4: 肝臓マッサージのやり方

※①〜③を1日おきに1分間、夜寝る前に服の上から優しく行う。

温めるのも効果的
肝臓マッサージができない人や冷えの強い人は、肝臓の位置に使い捨てカイロを貼って温める。朝、服の上から貼り、夜の入浴前に外す。1日おきに行う。
※低温ヤケドに気をつける

画像5: 肝臓マッサージのやり方
画像: この記事は『壮快』2021年10月号に掲載されています。 www.makino-g.jp

この記事は『壮快』2021年10月号に掲載されています。

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