「先生、ずいぶんと検査値が変わりましたね。なにかされましたか?」検査結果を届けてくれた看護師はびっくりしていました。私も驚いたのですが、飲む量も変わっていないし……と、日常生活で大きな変化はありません。思い当たったのが「梅肉エキス」と「コンブだし」でした。【解説】帯津良一(帯津三敬病院名誉院長)

解説者のプロフィール

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帯津良一(おびつ・りょういち)

帯津三敬病院名誉院長。1936年、埼玉県生まれ。61年、東京大学医学部卒業。東京大学第三外科助手、都立駒込病院外科医長などを経て、82年、帯津三敬病院開院。日本ホリスティック医学協会名誉会長、日本ホメオパシー医学会理事長。西洋医学に中医学や代替療法などを取り入れ、医療の東西融合という新機軸のもと、がん患者などの治療に当たる。『帯津三敬病院「がん治療」最前線』(佼成出版社)など、著書多数。
▼帯津三敬病院(公式サイト)

肝臓と腎臓の機能が大幅に改善

私は晩酌が好きです。今年(2021年)の2月、85歳になりましたが、以前と変わらず、休肝日なしでお酒を飲み続けています。

しかし、この春に受けた健康診断で、思いもしない変化がありました。以前から悪かった腎機能肝機能の検査値が、大きく改善していたのです。

私は生まれつき、腎臓にいくつかの嚢胞(液体が中にたまった球状の袋)がある「先天性腎嚢胞」でした。そんなこともあり長年、腎機能を示す検査値のeGFR(推算糸球体ろ過量、90ml/分/1.73㎡以上が基準値)は、40台でした。

肝機能の指標となるγ‐GTP(男性の基準値は80 IU以下)も、ここ20年は300前後で、高い数値で安定。エコー(超音波検査)では脂肪肝と診断されていました。

それが生まれて初めて、eGFRが56、γ‐GTPが90にまで改善したのです。また、脂肪肝と診断されませんでした。

このような検査結果を届けてくれた看護師は、「先生、ずいぶんと検査値が変わりましたね。なにかされましたか?」とびっくりしていました。

私も驚いたのですが、毎晩お酒を飲んでいるし、飲む量も変わっていないし、食べたい物を食べているし……と、日常生活で大きな変化はありません。

どうして検査値が改善したのだろうと考え、思い当たったのが「梅肉エキス」と「コンブだし」でした。

梅肉エキスは、すりおろした青梅のしぼり汁を、天日に干してから煮詰めた食品です。江戸時代から親しまれており、市販品ではペーストやカプセル、液体など、さまざまな形状をした商品が売られています。

そんな梅肉エキスを、あるとき知人からもらいました。しかし、少しなめただけで診察室の片隅に放置していました。

それが昨年(2020年)の3月ごろ、ふと梅肉エキスを目にして、「これは新型コロナウイルスの感染予防に役立つかもしれない」と思いつきました。そしてその日から、気が向いたときに、梅肉エキスをなめるようにしました。

もらった梅肉エキスがなくなったあとも、カプセルや液体など形状を問わず、気が向いたときに口にしました。

コンブだしは、やはり昨年の3月ごろのことでしょうか。私も年を重ねていますので、健康な足腰を保つためになにかできないか、と考えていました。そのとき、「湯豆腐のコンブだしを、チェイサーとして飲めばいい」とひらめきました。

以前から、私の晩酌の肴は、刺身と湯豆腐が定番。その湯豆腐に使われているのが、コンブだしです。海藻であるコンブには、カルシウムがたっぷりと含まれています。

幸い、以前私の病院の調理師として勤めていたかたに、コンブだしのチェイサーの用意をお願いできました。こうした経緯で、毎晩、ウイスキーとともに、コップ3杯ほどのコンブだしを飲むようになりました。

つまり、そもそも腎臓と肝臓のためではなく、感染対策やカルシウム補給として、梅肉エキスやコンブだしをとるようになったわけです。

新陳代謝を促して腎臓と肝臓の働きを改善

梅肉エキスとコンブだしが、思いがけない効果を生み出したので、その理由を調べました。

梅肉エキスは、主な成分がムメフラール有機酸です。ムメフラールについては、血流を改善し、動脈硬化を予防する効果が期待されています。

そしてピクリン酸やクエン酸などの有機酸が、新陳代謝を促して、腎臓と肝臓の働きを改善したと考えられます。

コンブだしは、カルシウムだけでなく、多種類のミネラルが含まれるので、やはり新陳代謝を促す効果があるといえます。また、旨みのもとであるグルタミン酸というアミノ酸は、自律神経のバランスを調整するという研究報告もありました。

さらに、梅肉エキスもコンブだしも、ドロドロの血液をサラサラにするアルカリ性食品です。こうした働きで、腎機能や肝機能の検査値が改善したと考えられます。

夏の蒸し暑さは、東洋医学では「暑邪」「湿邪」といい、腎臓や肝臓などの臓器にダメージを与えると考えられています。これが、いわゆる夏バテです。ですから、夏バテになったときや、体が重くて疲れが取れないときに、梅肉エキスやコンブだしをとるのはお勧めです。ぜひお試しください。

壮快編集部お勧めの
コンブだしの作り方

※甲状腺に腫れや異常のある人は摂取を控え、心配な場合は医療機関に相談してください。
最も簡単な飲み方は、そのまま飲むこと。お茶を入れるのに使ったり、温めてショウガやハチミツを加えたりしてもおいしい。
とる量の目安は、1日にコップ1~2杯。
冷蔵庫で10日間保存可能。

【材料】
だし用のコンブ…10g
水…1L

画像1: 壮快編集部お勧めの コンブだしの作り方

コンブを霧吹きで湿らせるか、水にサッとくぐらせ、少しおいて、切りやすくする。

画像2: 壮快編集部お勧めの コンブだしの作り方

キッチン用ハサミで、コンブを細切りにする。切る向きはどちらでもよい。

画像3: 壮快編集部お勧めの コンブだしの作り方

ポット容器に②を入れ、水を注ぐ。冷蔵庫に入れ、3時間以上漬けおいたら出来上がり。

画像: この記事は『壮快』2021年10月号に掲載されています。 www.makino-g.jp

この記事は『壮快』2021年10月号に掲載されています。

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