解説者のプロフィール

三浦直樹(みうら・なおき)
みうらクリニック院長。肉親のがんをきっかけに、西洋医学の限界と矛盾を強く認識。以来、約20年間、治療法の選択肢を広げるべく、自然療法の研究・実践を開始。病気にならない生活習慣のアドバイスを行う一方で、「難病と言われても諦めない」をモットーに、他の病院では行っていない治療法なども効果や安全性を考えながらとり入れている。著書『週1断食で万病が治る』『薬だけに頼らず病気を治す家庭療法の教科書』(ともにマキノ出版)が好評発売中。
▼みうらクリニック(公式サイト)
顔には内臓の状態が表れる
糖尿病は、膵臓から出るインスリンというホルモンの分泌が不足したり、効きが悪くなったりすることで、血中のブドウ糖が消費されず、慢性的に血糖値が高くなる病気です。
血糖値の高い状態が続くと、血管が傷ついたり、血液がドロドロになったりして、腎症・網膜症・神経障害をはじめとする、さまざまな合併症が起こってきます。
糖尿病の代表的な症状は、口が渇いて水をたくさん飲む、そのせいで尿の回数や量が増えるといったものですが、初期は自覚症状はほとんどなく、症状が出たときには、すでに合併症を併発していることも少なくありません。そうならないためにも、早めに気づいて対処することが重要です。
そのために役立つのが、今回ご紹介する「顔診法」です。
そもそも、顔つきや顔色、顔のむくみ、バランスなどから内臓の状態を把握する「顔診法」や、体形、歩き方、姿勢、立ち振る舞いなどから体調を見定める「望診法」は、東洋医学では古くから診断法の一つとして用いられてきました。
私も日々の診療で、患者さんの表情・姿勢・歩き方・しゃべり方、また、顔や手、爪、舌の状態をチェックするようにしてきました。
顔や体を見てその人の弱っている部分を推測し、検査項目を決める判断材料にしたり、すでにわかっている病気以外に、弱っている部分がないかを探ったりするのにも役立つからです。
そして2014年、天城流湯治法という手当て法の創始者で、健康プロデューサーの杉本錬堂氏(以下、錬堂氏)と知り合ってからは、天城流湯治法の望診法やセルフケアも活用しつつ、患者さんの診療に当たっています。
ではここで、糖尿病の顔診法のポイントを解説しましょう。

顔を見て糖尿病チェック
●眉間が膨らんでいる
●眉間の右寄りにシワができている
眉間には、糖尿病の他に、肺の機能低下、肝臓の状態も現れます。見分け方は、眉間にできたシワが横ジワの場合は肺の機能低下、縦ジワの場合は糖尿病です。
また、糖尿病は主に顔の右側に兆候が現れるので、膨らみや縦ジワが眉間の右寄りにできたときは糖尿病、真ん中や左寄りにできたときは肝臓病を疑います。
太ももの内側と側頭部がポイント
さて、いかがでしたでしょうか。当てはまる場合は、これからご紹介するセルフケアをお勧めします。もちろん、すでに糖尿病と診断されている人にもお勧めです。
セルフケアは以下の通りです。
●右足の太ももの内側、ひざと鼠径部の中間にあるポイントを、指でほぐす

●側頭部の右耳の2cm上から額に向かって指先でこする

膵臓で作られたインスリンが横隔膜を通り、右の肋骨の縁から十二指腸に送り込まれるため、天城流湯治法では、肋骨の縁が硬直していると、インスリンの分泌に不具合が起こると考えています。
そして、肋骨の縁が硬くなるのは、肝臓が硬くなって萎縮しているからだと錬堂氏は言います。右の太ももの内側、ひざと鼠径部の中間は、肝臓と相関するポイントです。ここをほぐすことで、肋骨の縁がほぐれて軟らかくなり、インスリンの分泌を正常化するのに役立ちます。
さらに、右耳の上から額に向かってこすると、やはり肋骨の縁が軟らかくなります。
ここは、頭蓋骨と頭皮の間にある薄い筋膜を引きはがすようなイメージで、少し痛いくらいの力でこすりましょう。この部分を刺激することで、血液やホルモンの循環もよくなります。
このセルフケアは、1日のうちいつ行っても、何回行っても構いません。
ただし、すでに糖尿病と診断されている方や、明らかに病気を発症していて診断・治療が必要な方は、必ず医療機関を受診し、適切な治療を受けた上で行ってください。

この記事は『安心』2021年9月号に掲載されています。
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