脊柱管狭窄症の患者さんに共通しているのが、下半身の筋力低下です。ゴロ寝足振りは、下半身、特に太ももの筋肉の強化に役立ちます。下半身の筋力を強化し、体幹をしっかり支えられるようになると、腰や患部にかかっていた負担も減って、痛みやしびれが軽快するのです。【解説】大野直貴(整体院大鉄院長)

解説者のプロフィール

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大野直貴(おおの・なおき)

整体院大鉄院長。柔道整復師。大阪府内の整骨院やクリニックで7年間治療に従事し、延べ5000件以上の施術経験を持つ。2017年、病院や接骨院に通っても腰痛が改善しない人の受け皿となるべく、神戸市内に整体院大鉄を開院。根本的な腰痛の原因を調べたうえで体に負担をかけない治療を施し、成果を上げ続けている。
▼整体院大鉄(公式サイト)

太ももやお尻の筋肉が弱くなると症状も悪化

慢性腰痛を専門としている私の治療院には、脊柱管狭窄症の患者さんが、たくさんいらっしゃいます。

脊柱管狭窄症は、脊柱管という管が加齢などによって変形し、狭くなって、その中を通っている脊髄神経を圧迫する病気です。足腰に痛みやしびれが生じます。

「手術を勧められているが、手術はしたくない」「長い距離を歩くと痛みが出て、歩くのがとてもつらい」「しびれが治らない」等々、患者さんはいろいろな悩みを訴えます。整形外科に通っていた人も多く、重症や中等度の症状の人も珍しくありません。

そうした人に勧めて、大いに効果を発揮しているのが、下半身を強化する「ゴロ寝足振り」です。

脊柱管狭窄症の患者さんに共通していることがあります。それが、下半身の筋力低下です。特に太ももの筋肉が、驚くほど弱っている場合が少なくないのです。

脊柱管狭窄症には、間欠跛行という特徴的な症状があります。これは、歩くと足腰に痛みやしびれが生じ、歩けなくなる現象です。しばらく休むと、歩けるようになりますが、そのうちまた痛みやしびれが出て動けなくなる……これをくり返します。

こうした症状のため、患者さんは、無理をして歩こうとしません。そうして歩かなくなると、ますます筋力が落ちていきます。

大腿四頭筋などの太ももの筋肉、それから大殿筋などのお尻の筋肉は、体を支えるために欠かせない重要な筋肉です。つまり、痛みやつらさで歩かない人ほど、体幹を支える筋肉がどんどん弱り続けているわけです。

筋肉で体幹を支えることができなければ、腰全般にも大きな負荷がかかります。脊柱管の狭窄を起こしている部位にも余分な負担がかかるでしょう。

すると、痛みやしびれがさらに強まります。そうなると、いよいよ歩けなくなり、体を動かす機会がさらに減って、さらに筋肉が弱くなるため、症状はもっと悪化します。この悪いサイクルを断ち切らなければなりません。

股関節を意識してへそを見ながら足を振る

今回紹介するゴロ寝足振りは、下半身、特に太ももの筋肉の強化に役立ちます(やり方は下項参照)。弱っている下半身の筋力を強化し、体幹をしっかり支えられるようになると、腰や患部にかかっていた負担も減って、痛みやしびれが軽快するのです。

私は、患者さんの姿勢や立ち方、歩き方も重要視しています。

脊柱管狭窄症の人は、反り腰の人が多い傾向にあります。反り腰は、腰に負担がかかる姿勢ですから、もし反り腰であるとわかったら、それを治していくことも大事です。

そのためには、自分のおへそを見続けながら、ゴロ寝足振りを行いましょう。これにより腰の負担を軽減し、反り腰の対策にもなります。

漠然と足を動かすのではなく、股関節を意識しながら行うことも重要です。股関節を意識しやすくするために、腰に手を置いてもよいでしょう。

回数は10回を目標としていますが、難しいと感じる人もいるでしょう。その場合、まず、3回でも4回でもかまわないので、自分のできる範囲で行ってください。

少ない回数でも毎日続けていれば、だんだん、できるようになってきます。10回できるようになったら、20回、30回……と回数を増やしていきましょう。

多少の痛みやしびれは、やはり感じると思います。あまりにそれが強いようなら、中断し、様子を見てください

この病気を長く患ってきた人ほど、よくなるまでにはやはり時間がかかります。根気よく、気長に毎日続けることが重要です。

ゴロ寝足振りのやり方

1日1セットでOK。余裕がある場合はセット数を増やす。
10回できない場合は、できる範囲でOK。少しずつ回数を増やす。
股関節を動かすことを意識する。
手は行いやすい位置でOK。枕などを使ってもよい。

画像1: ゴロ寝足振りのやり方

右足が下の状態で横向きに寝て、右ひざを曲げる。

画像2: ゴロ寝足振りのやり方

おへそを見ながら、左足を前後に振るように10回動かす。反対側も同様に行い、以上を1セットとする。

画像: この記事は『壮快』2021年9月号に掲載されています。 www.makino-g.jp

この記事は『壮快』2021年9月号に掲載されています。

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