あずきには利水作用や清熱作用があるため、体に湿(湿気)がたまりやすい人、熱のこもりやすい人にお勧めの食材です。寒天との相性もよく、どちらも高いデトックス(解毒)効果が得られるのも、うれしいところ。今回は砂糖を使わない「あずき塩ようかん」を提案します。【解説】矢留江里子(イスクラ薬局六本木店スタッフ・国際中医薬膳師)

解説者のプロフィール

画像: 解説者のプロフィール

矢留江里子(やとめ・えりこ)

イスクラ薬局六本木店スタッフ・国際中医薬膳師。1967年生まれ。日本中医学院(旧北京中医薬大学日本校)中医薬膳専科を卒業。国際中医薬膳師。登録販売者としてイスクラ薬局六本木店に勤務。フードコーディネーター、NPO日本食育インストラクターなどの資格を持つ。中医学情報サイト「COCOKARA中医学」では、日々の生活に取り入れやすい食養生レシピを提案。
▼イスクラ薬局六本木店(公式サイト)

高い解毒効果が得られる相性のいい組み合わせ

漢方薬局では、皆さまの健康相談をしております。漢方薬をお勧めする一方で、生活全般を整えるためのアドバイスや、体質や症状に合わせた食養生の提案なども行っています。

なぜなら身体は食べた物からつくられていて、今ある症状は長年の積み重ねが原因となっていることが多いからです。

湿気の多い時季、特によくお勧めする食材といえば、あずきなどを含む豆類です。

あずきには利水作用(体の水はけをよくする働き)や清熱作用(熱や炎症を鎮める働き)があるため、体に湿(湿気)がたまりやすい人、熱のこもりやすい人にお勧めの食材です。

また、清涼感のある寒天も暑い季節にぴったりです。主成分は食物繊維でカロリー(エネルギー)もほぼゼロ。デザートとしても罪悪感なく楽しめます。

あずきと寒天の相性もよく、どちらも高いデトックス(解毒)効果が得られるのも、うれしいところ。

そこで今回は、この二つを組み合わせた薬膳レシピ「あずき塩ようかん」を提案します(作り方は下項参照)。

ようかんといっても、今回は砂糖を使わない物をご紹介します。

甘味は湿をためこみやすく、特に白砂糖のとり過ぎはお勧めしません。健康効果を最大限に引き出すなら、糖分は加えないほうがベター。あずきと寒天は砂糖を使わなければ、健康のため積極的にとりたい食材です。

中医学の観点から、あずきの効能として挙げられるのは、湿がたまることによるむくみ、吹き出物、めまい、熱のこもりやかゆみを伴う湿疹、そのほか便秘、痔、尿の出の悪さ、高血圧、腹水や胸水などへの予防・改善効果です。

なお、あずきは網でこして皮を取り除くと滑らかに仕上がりますが、食養生では「一物全体」といい、皮ごと食べるのがお勧めです。

寒天は、食物繊維による整腸作用、便秘改善、デトックス効果によるコレステロール・血糖値・血圧の調整、ダイエット、美肌効果などが期待できます。

また、ひとつまみの天然塩を加えることで、味が引き締まります。

矢留先生の 甘くない
あずき塩ようかんの作り方

画像: 矢留先生の 甘くない あずき塩ようかんの作り方

【材料】
あずき(乾)…100g
粉寒天…4g
水…200ml
天然塩…ひとつまみ

【作り方】
あずきをさっと洗って鍋に入れ、3倍程度の水(分量外)を注ぎ、強火にかける。沸騰したら一度湯を捨てる(渋みが気にならなければ①は省略可)。

再び3倍程度の水(分量外)を入れて強火にかけ、沸騰したら弱火にし、水が減ったら足しつつ、芯がやわらかくなるまで1時間ほど煮る。湯を切り、熱いうちに、すりこぎかマッシャーなどでつぶす。

分量の水を入れた鍋に粉寒天を振り入れ中火にかけ、沸騰したら弱火にし、1~2分かき混ぜる。②と塩を加えてよく練り、型に入れる。

粗熱を取り冷蔵庫に入れ、冷えたら切り分ける。

ワサビじょうゆなどをつけていただく。

甘みをつけるなら朝食後や昼食後に

食べ方は、毎日2~3切れを食前にとるのがお勧めです。継続することで、便通やむくみの改善を体感できるでしょう。私のイチオシの味つけは、ワサビじょうゆ。食事の一品としてもおいしいものです。

やっぱり甘みが欲しいという場合は、黒蜜などをかけるとデザート感覚でいただけます。

ようかん自体に甘みをつける場合は、塩の量を小さじ半分にして、塩を加える際に、黒糖を60g入れてください。ほかは、甘くないようかんと同じです。

甘みは決して悪者ではなく、適量を上手にとれば、気(一種の生命エネルギー)を補い、消化器系を穏やかに調整する働きを持っています。

ただし、精製された白砂糖は血糖値が上がりやすく、ミネラルなどの栄養も少ないため、黒糖やてんさい糖、きび糖など、できるだけ自然に近い糖を選ぶのがポイントです。

甘いようかんの場合、1日ひと切れ程度であれば、糖分をとり過ぎることなく、あずきや寒天の効能も発揮されるでしょう。

日中は糖分をエネルギーとして消費しやすいうえ、食後なら甘い物を食べても血糖値の上昇が緩やかになるので、甘いようかんは朝食後や昼食後にとるのがお勧めです。

胃が弱い人は、食べ過ぎには注意してください。おなかの冷えや張りを感じたときは、控えるようにしましょう。

私自身、あずきも寒天も台所に常備しています。特に湿気の多い季節は、あずきをコンブと煮たり、ご飯と炊き込んだりして、ふだんの食事に取り入れています。寒天を使うのはたいてい、デザートを作るときです。

ふだんから便通はよいほうですが、あずきや寒天を食べるといつもにも増してお通じがよくなり、スッキリします。

食養生の基本は、季節や体調に合った物を、おいしく食べること。あずきの塩ようかんは、蒸し暑い季節にぴったりなので、ぜひ手作りし、健康づくりに役立ててください。

画像: この記事は『壮快』2021年9月号に掲載されています。 www.makino-g.jp

この記事は『壮快』2021年9月号に掲載されています。

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