年齢とともにおなかがポッコリ出てきた。太りやすくなかなかやせられなくなった。そんな方にお勧めなのが「骨盤枕」です。ポイントは、外側に開いてしまった骨盤や肋骨を本来の位置に戻せること。広がっていたぜい肉も体の中央に寄せられて、ボディラインがスッキリします。【解説】福辻鋭記(アスカ鍼灸治療院院長)

解説者のプロフィール

画像: 解説者のプロフィール

福辻鋭記(ふくつじ・としき)

アスカ鍼灸治療院院長。日中治療医学研究会員。日本東方医学会会員。日本の名医50人にも選ばれた、鍼灸の第一人者。昭和60年にアスカ鍼灸治療院を開設。女性雑誌、健康雑誌、テレビなどでも活躍中。
▼アスカ鍼灸治療院

悪い姿勢で骨のつなぎ目がゆるみ骨格がゆがむ

「年齢とともに、おなかがポッコリ出てきた……」
「太りやすく、なかなかやせられなくなった……」

そんな方にお勧めなのが、「骨盤枕」です。私は長年、施術の仕上げに患者さんの全身を整えるために、この骨盤枕を活用しています。

骨盤枕はバスタオルを使い、簡単に作れます。それを腰に当てて5分間、あおむけに寝るだけです(詳しいやり方は下項参照)。こんなに簡単な方法なのに、たった1回で、その場でウエストが2~3cmサイズダウンすることも珍しくありません。

継続すれば、減量効果も現れます。1ヵ月1kg程度の無理のないペースで自然と体重が減っていき、数ヵ月後には適正体重までやせたという人が多くいます。

「背が伸びた!」という人もいます。これは、加齢で縮んだ身長が本来の高さに戻るということです。

一般に、中年期以降は少しずつ背が縮み、平均では10年で約1cmも身長が低くなるといわれます。しかし骨盤枕を使っていると、縮んだ身長が2~2.5cm復活したという人が多くいるのです。なぜ、こんなに効果があるのでしょうか?

ポイントは、骨盤枕をすることで、腰が反って、外側に開いてしまった骨盤や肋骨を本来の位置に戻せることなのです。

人体には、成人で200個以上の骨がありますが、骨同士は関節や、軟骨などの結合組織でつながっています。しかし、悪い姿勢や運動不足などで特定の箇所に負担がかかると、骨のつなぎ目がゆるんで開き、骨格がゆがみます。

特に、骨盤は影響が出やすい箇所です。骨盤の左右には「仙腸関節」という関節がありますが、ここがゆるみ、骨盤が開いてしまう人が多くいます。

現代人は、デスクワークなどで前屈みの姿勢が多くなりがちです。骨盤と背骨は連動しており、前屈みになると骨盤が開き、後ろに反ると骨盤が狭まるという関係があります。

骨盤が開くと、背骨を支える土台としての働きが弱まります。結果、背中が曲がり、バランスをとるために首を前に突き出し、ますます姿勢が悪くなるという悪循環に陥ります。同様に、肋骨も姿勢の悪さによって開いてきます。

骨盤や肋骨が開くと、内臓も支えられなくなって下垂してきます。下垂すると、下腹部が張り出してくる上、圧迫されて内臓自体の働きも鈍ります。消化や代謝の能力も悪くなって、より太りやすくなるのです。

画像: 悪い姿勢で骨のつなぎ目がゆるみ骨格がゆがむ

自然と内臓の位置も正されて機能も回復

骨盤枕を使うと、自然に骨盤と肋骨が本来のあるべき形に戻るので、内臓も正しい位置に来て、本来の働きを回復し、代謝がアップし、やせられるのです。

内臓が正常に機能していると食欲も落ち着き、暴飲暴食が減ります。便通、肌荒れ、むくみ、だるさなどの多くの不調も改善します。

それでは、骨盤枕を効果的に行うためのポイントをご紹介しましょう。

まず、骨盤枕の作り方です。バスタオルをきつく巻いて、荷造り用のひもをしっかり巻きつけて留めるだけですが、「直径10‌cm」ほどのサイズを目安にしてください。

直径が太過ぎると、腰を反らせ過ぎて痛むことがあります。やってみて痛ければ、少し薄手のタオルにしたり、1枚に減らしたりして直径を小さくしてください。

また、行う時間は5分が目安ですが、腰が痛くなる人は1~2分から始めましょう。特に脊柱管狭窄症(背骨内部の神経の通り道が狭くなり、神経が圧迫されて痛みやしびれが出る病気)がある人は腰を反らすと痛むので、くれぐれも無理のない範囲で行うようにしてください。

骨盤枕を置くのは、床や畳の上など、ある程度、硬い場所にしてください。腰を反らせることが重要なので、ベッドや布団など、体が下に沈んでしまうところでは、効果が期待できなくなります。

骨盤枕がへその真裏辺りに来るように、あおむけに寝ます。この位置に当てることで腰椎(背骨の腰の部分)の4番と5番が刺激されて、背骨が本来の自然なカーブを取り戻し、骨盤の位置が調整されます。

両腕はバンザイをするように頭側に伸ばし、腕を内側にひねるようにして、両手の小指同士がくっつくようにします。

両足は肩幅に開き、やはり内側にひねって足の親指同士をつけて「ハ」の字になるようにします。このように手足を内側にひねることで、肋骨や骨盤を閉じる効果が高まります。

肋骨や骨盤が閉じると、横に広がっていたぜい肉も体の中央に寄せられて、ボディラインがスッキリします。また、股関節の位置も調整されるので、太ももも引き締まります。

もし骨盤枕をしているときに、強い痛みが出たり、違和感を覚えたりしたら、無理をせず、ただちに中止してください

骨盤枕のやり方

骨盤枕の作り方

用意するもの
・バスタオル2枚 ・荷造り用のビニールひも

画像1: 骨盤枕のやり方

バスタオル2枚を重ねる。

画像2: 骨盤枕のやり方

横半分に折り、さらに長い方をもう一度折る。

画像3: 骨盤枕のやり方

端からできるだけきつく巻く

画像4: 骨盤枕のやり方

荷造り用のビニールひもを、しっかりと巻きつけて留めたら出来上がり。直径約10cmになるようにする。

骨盤枕のやり方

できるだけ毎日行う。腰に痛みや違和感を覚えたら無理をせず、いったん中止する。枕が高過ぎるようなら、バスタオル1枚で作ってもよい。

枕を当てる場所

画像5: 骨盤枕のやり方
画像6: 骨盤枕のやり方

長座の姿勢になって、骨盤枕を腰に当てる。骨盤枕の中心がへその真裏になるように調整して、あおむけに寝る。

画像7: 骨盤枕のやり方

両足を肩幅に開いて、足が「ハ」の字になるよう両親指をくっつける。両手は頭上にバンザイのように伸ばして内側にひねって小指同士をくっつけ、できるだけ全身をまっすぐに伸ばす。

そのまま5分間寝る。

画像: この記事は『安心』2021年8月号に掲載されています。 www.makino-g.jp

この記事は『安心』2021年8月号に掲載されています。

www.makino-g.jp

This article is a sponsored article by
''.