近年、老化やさまざまな病気を起こす元凶として「糖化」という現象が注目されています。食後高血糖は糖化を体内で進める大きな要因となります。私たちは、糖化を防ぐ食品を研究し、非常に手軽に、食後高血糖を効果的に防ぐ食材が見つかりました。それは「レモン果汁」です。【解説】八木雅之(同志社大学生命医科学部 糖化ストレス研究センター チェア・プロフェッサー教授)

解説者のプロフィール

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八木雅之(やぎ・まさゆき)

同志社大学生命医科学部糖化ストレス研究センター チェア・プロフェッサー教授。1983年京都工芸繊維大学繊維学部卒業、1985年同大学院修士課程修了、1989年京都府立大学大学院農学研究科博士課程修了。2011年より、同志社大学大学院生命医科学研究科糖化ストレス研究センターにおいて、糖化・AGEs測定法の研究、糖化ストレス抑制対策・抗糖化素材の研究、 アンチエイジングや疾病予防としての抗糖化に関する普及啓発活動などを進めている。

老化や動脈硬化を招く「食後高血糖」

最近、「食後高血糖」という言葉が広く知られるようになってきました。

これは食後、約2時間を超えても血糖値の高い状態(140mg/dl以上)が続くことです。食後高血糖は、老化や動脈硬化などを促す「糖化」を体内で進める大きな要因となります(詳しくは下項参照)。

また、空腹時血糖は正常でも、糖尿病が進み始めている「隠れ糖尿病(糖尿病予備群)」が疑われる症状でもあり、放置すると、本格的な糖尿病につながる恐れがあります。

すでに糖尿病と診断されている人は、食後高血糖が続くと、さらに合併症が進みやすくなります。

これを防ぐ方法としては、糖質の摂取量のコントロールや運動、食前に野菜を食べる「ベジタブルファースト」などが知られています。それらはもちろん効果的ですが、私たちは、もっと手軽に食後の血糖値を抑える方法はないかと検討しました。

その結果、非常に手軽に、しかもおいしく摂取できて、食後高血糖を効果的に防ぐ食材が見つかりました。それは「レモン果汁」です。

私たちは、体内の糖化を防ぐ食品を研究し、これまでに論文にしたものだけでも、約500品目を探してきました。その中でもレモン果汁は、特にお勧めしたい食品です。

というのは、レモン果汁には、食後高血糖を防ぐ作用とともに、体内で糖化が起こって最終的にできる危険な物質「AGEs」(糖化最終生成物)の生成を抑える作用もあるからです(詳しくは下項参照)。

食後血糖値に対するレモン果汁の働きを調べるために、私たちが行った実験をご紹介しましょう。

この実験は、20〜30歳の健康な学生12名(男性4名、女性8名)を被験者とし、以下の食後血糖値を比較しました。

①米飯200gを食べた場合
②レモン果汁15g(約15ml)+米飯200gを食べた場合
③レモン果汁30g(約30ml)+米飯200gを食べた場合

レモン果汁は、150mlの水で薄めて飲んでもらいました。食事の摂取時間は10分間とし、②と③では最初の5分でレモン果汁、後の5分で米飯をとるようにしました。こうして、試験開始後、15・30・45・60・90・120分後の血糖変化値(最初の血糖値をゼロとして変化した分)を記録しました。

画像: n=12,平均値±SE Bonferroni法による多重検定(*p<0.05,+p<0.1) 同志社大学提供のグラフより作成

n=12,平均値±SE Bonferroni法による多重検定(*p<0.05,+p<0.1)
同志社大学提供のグラフより作成

上の図は、それをグラフ化したものです。②と③は、レモン果汁をとらなかった①に比べ、低く抑えられていることがおわかりいただけるでしょう。

特に③の数値は、米飯だけをとったときに比べ、有意な(統計学的に意味がある)差で低くなっていました。②の場合も、米飯だけの場合に比べ、低く抑えられる傾向がみられました。

つまり、食事の最初に少なくともレモン果汁を15ml程度とると、食後血糖値の上昇の抑制が期待でき、30mlとれば、その効果がよりきちんと得られることがわかりました。

食事の直前か最初の方にとるだけでOK

この実験のポイントは、レモン果汁をとってから、ほとんどすぐに米飯を食べていることです。ですから、「食前」といっても、実際には食事の最初の方でレモン汁をとるだけで、同様の効果が期待できます。

実は、先に述べた「ベジタブルファースト」の実験は、食事の10分前に野菜をとる、という方法で行われました。

しかし現実問題として、「食事の10分前に野菜だけを食べて待つ」というのは習慣にしづらいでしょう。その点、レモン果汁なら、そんな手間をかけなくてよいので、食事の流れを止めず、より実践しやすい方法だといえます。

また、今回の実験で用いたのは、市販されている瓶入りのレモン果汁です。生のレモンを搾った果汁でももちろんよいのですが、市販の物でも効果が得られることが実証できました。

やり方としては、第1に、レモン果汁を水や炭酸水で薄めて食前に飲む方法があります。飲みにくい場合は、控えめに甘味をつけてもよいでしょう。

第2に、レモン果汁を料理に使う方法があります。サラダやおひたし、冷ややっこなどにかけたり、酢の物をレモン汁で作ったりしてもいいでしょう。こうした料理を、食事の最初の方に食べてください。この場合、1つの料理でなくても、合計で30mlとれればOKです。

このように、「食前あるいは食事の最初の方でレモン果汁をとる」ことで、糖化の抑制を通じて、老化や動脈硬化などを抑制する効果が得られます。

また、現在糖尿病でない人は糖尿病の発症リスクを、糖尿病の人は合併症のリスクを、どちらも低く抑えられますから、ぜひお試しください。

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