サバ缶キャベツには、血糖値の急上昇や食べ過ぎを防いで、糖質制限のサポートとなる作用に加え、やせホルモンと言われるGLP-1の分泌を促す作用もあります。さらに血糖値の上昇を抑え、高血圧や動脈硬化の予防・改善、サルコペニアや認知症予防にも役立ちます。【解説】田谷光一(田谷医院院長)

解説者のプロフィール

田谷光一(たや・こういち)

田谷医院院長。医療法人社団光栄会田谷医院院長。東京医科大学出身。循環器科、消化器科、代謝内分泌にも精通し、かかりつけ医としての活動、予防医学にも力を入れている。

生活習慣病の予防・改善効果が期待できる

数年前の空前のブームを経て、常備食品として定着した感のあるサバ缶。それに、身近な野菜であるキャベツを組み合わせて食べる「サバ缶キャベツ」が今、人気を集めています。

そこであらためて、サバ缶キャベツのどんな点が優れているのか考えてみましょう。サバ缶キャベツには、大きく四つの健康効果が挙げられます。

生活習慣病の予防・改善効果

サバ缶キャベツは、高血圧、糖尿病など、生活習慣病全般に対し、予防・改善効果が期待できます。

まず、着目したいのは、サバ缶に含まれるDHA(ドコサヘキサエン酸)と、EPA(エイコサペンタエン酸)の働きです。この二つは、私たちの体内で合成できず、食物から摂取する必要がある必須脂肪酸です。

DHAとEPAは、青魚に多く含まれていますが、サバは、その青魚のなかでも、二つの必須脂肪酸の含有量が特に多いことで知られています。DHAとEPAには、血中の中性脂肪を減らしたり、善玉(HDL)コレステロールの働きをよくしたりする作用があります。

これらの働きにより、ドロドロの血液がサラサラになると、高血圧や動脈硬化の予防・改善にも役立ちます。実際、EPAは、動脈硬化を引き起こす原因にもなる、脂質異常症の治療薬に使われています。

キャベツにも優れた作用が多くあります。

キャベツに多く含まれる食物繊維には、水分を吸収する作用があります。キャベツを食べると、その高い吸収性によって、水に溶けやすい糖質が腸内で食物繊維に取り込まれます。

そしていっしょに体外に排泄されたり、腸内細菌の栄養源になったりするため、腸壁から吸収される糖質が減ります。このためキャベツを食事の最初に食べると、血糖値の上昇が抑えられるのです。

サバ缶キャベツを食べることで、これらの健康効果を享受でき、生活習慣病の予防・改善になるのです。

ダイエット効果

ダイエットの方法としては、以前から、カロリー(エネルギー)制限と、糖質制限の2つの方法が、その効果を競ってきました。近年は「ダイエットには、糖質制限のほうがより効果的」という形勢に傾きつつあるようです。

サバ缶キャベツは、そんな糖質制限ダイエットに好適です。実際、最近は、サバ缶キャベツをダイエットに利用して、成功するかたが多いようです。

糖質制限ダイエットにおいては、炭水化物の摂取量を減らし、肉や魚などのたんぱく質や野菜類を積極的にとることを重視します。サバは、質の高いたんぱく質の摂取ができる食品です。食べごたえがあり、ご飯などの炭水化物(糖質)を自然と控えることできます。

また、キャベツを食事の最初にとれば、糖質類の吸収が減ることは先に説明したとおりです。キャベツでおなかがふくれて、満腹感を得られます。それが食欲中枢を刺激し、食べ過ぎを防ぐ効果もあります。

このような糖質制限をサポートする作用に加え、サバ缶キャベツにはダイエットに直接働きかける成分も含まれています。 それが「GLP-1」というホルモンです。

GLP-1は「やせホルモン」とも呼ばれ、サバ缶のDHAやEPA、およびキャベツの食物繊維が分泌を促します。食欲を抑制し、食べ過ぎを防いだり、血糖値を下げて、太りにくい体をつくったりする働きがあります。

近年注目が高まっているホルモンですが、すでに糖尿病の治療薬に使われているほか、海外では肥満の治療薬としても認可されています。

以上のような作用から、サバ缶キャベツにはダイエット効果が期待できるのです。

心身のアンチエイジングに役立つ

腸内環境改善効果

キャベツには、豊富な食物繊維が含まれているため、先述のとおり、腸内の善玉菌のエサとなって、善玉菌を増やします。

また、サバのたんぱく質をしっかりとることは、腸粘膜の保護に役立ちます。このことも腸内環境の改善に寄与するでしょう。

腸内環境が整い、腸の働きがよくなれば、免疫力がアップし、さまざまな病気にかかりにくくなります。また、便通もスムーズになり、便秘も解消されるでしょう。

病原菌や有害物質を体外へ排出する働きも高まりますから、アレルギーの改善にもつながります。さらに、腸のよい状態は、肌にもいい効果を及ぼします。

アンチエイジング効果

サバのDHAは、脳の血管を通過し、脳に直接働きかけることができる唯一の脂肪酸とされています。そのDHAを摂取することで、記憶力の向上や認知症予防に役立ちます。

また、サバはサルコペニア(加齢により、筋力や身体機能が低下した状態)予防にも寄与します。

高齢になると、食事で摂取するたんぱく質の量が減りがちになります。それにより、しだいに筋肉量、筋力が低下し、サルコペニアになるのです。転倒や、骨折の不安も増します。

サバは、良質のたんぱく質です。体内で作れず、必ず食品から摂取しなくていけない必須アミノ酸をバランスよく含んでいます。心身の衰えを予防し、若々しくあり続けるためにも、サバで、良質のたんぱく質をしっかりと補給することは有益なのです。

また、サバとキャベツの双方に、カルシウムが多く含まれています。このため、骨粗鬆症予防にも効果的です。

サバには、ビタミンDもたっぷり含まれていますが、ビタミンDはカルシウムの吸収率を上げて、骨形成を促進させます。丈夫な骨づくりにもサバ缶キャベツが役に立つのです。

画像: 【サバ缶キャベツの効果】良質のたんぱく質と脂質、食物繊維で心身の老化を抑制  ダイエットにも有効

生活習慣病の予防・改善に!
高血圧、糖尿病、動脈硬化などを改善。
ダイエットに!
やせホルモン「GLP-1」が太りにくい体をつくる。
腸内環境改善に!
便秘やアレルギーを改善し免疫アップ!
アンチエイジングに!
認知症、筋力低下、骨粗鬆症などを予防する。

食事の最初に食べるのがおすすめ

これまで触れてきた以外にも、サバ缶キャベツにはさまざまな栄養素が含まれています。

サバには、体のさまざまな機能を高めるビタミンB群や、抗酸化作用の高いビタミンEが豊富に含まれています。

一方の、キャベツには、ビタミンCが非常に多く含まれています。サバにはビタミンCは含まれませんから、その意味でも、サバ缶キャベツがベストコンビであることがわかるでしょう。

ほかにキャベツには、出血時に血液をかためて止血したり、骨の形成を促したりするビタミンKや、胃の粘膜を保護するビタミンU、カリウムなども豊富です。

サバ缶キャベツの健康効果を高めるには、食べるタイミングも大事です。

できるだけ、食事の最初に食べるようにしましょう。ベジファーストと同様の機序になりますが、先に食べることで、血糖値の急上昇や食べ過ぎを防ぐことができます。

このように、サバ缶キャベツには、さまざまな栄養素がバランスよく含まれ、健康効果もバッチリです。ダイエットしたいかたや、高血圧、糖尿病などの生活習慣病が気になるかたに、特にお勧めします。

サバ缶キャベツの作り方

画像1: サバ缶キャベツの作り方

【材料】(1食分)
キャベツ……好みの量(切った状態で50gほどが目安)
サバ水煮缶……1/2缶(100g)

画像2: サバ缶キャベツの作り方

キャベツを食べやすい大きさに切る。

画像: 市販のカットキャベツを使うのも便利!

市販のカットキャベツを使うのも便利!

画像3: サバ缶キャベツの作り方

水気を切ったサバをキャベツに添えて完成!
好みでしょうゆや黒酢などを少量かけてもよい
食事の最初に食べるのがオススメ!

画像: この記事は『壮快』2021年8月号に掲載されています。 www.makino-g.jp

この記事は『壮快』2021年8月号に掲載されています。

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