プロフィール

古川洋平(ふるかわ・ようへい)
クイズ作家。クイズ法人カプリティオ代表。1983年宮城県出身。人気クイズ番組『パネルクイズ アタック25』『タイムショック』高校生大会優勝(2冠)、学生による早押しクイズNo.1決定戦「abc」3連覇など多数のクイズ大会で活躍。クイズ作家として、クイズ番組やイベント等への問題制作・提供を行う他、「クイズモンスター」「クイズ王」としての出演も多い。著書に『ひらめき脳を鍛える ナゾトキ水平思考クイズ』(幻冬舎)、『ナゾ解きゲームブック ドラ・ナゾ』(小学館)などがある。
▼古川洋平(クイズ制作/カプリティオ)(Twitter)
▼「カプリティオチャンネル」(Youtube)
濃厚こってりの山盛りラーメンが朝食の定番
2020年3月から2021年1月までの約10ヵ月のダイエットで、48kgの減量に成功しました。
身長175cmで体重は112kg㎏から64kgに。体脂肪率は34%から11%に落ち、その変貌ぶりに周囲から驚かれています。
そもそも、私は幼稚園の頃からずっと、クラスで一番太っていました。小学校高学年から中学まではバスケットをやっていたので、その間だけは普通体形だったものの、高校でクイズ研究会に入り、クイズに没頭。クイズ番組の高校生大会で2冠を達成するなど、クイズでは有名になる一方で、運動をしなくなったことで、また徐々に太り始めていました。
高校から大学時代は80~90kg程度でしたが、社会人となり、激務のストレスを、食べることで晴らすかのように暴食したことで、一気に100kgを超えてしまいました。
その後退職し、クイズ作家に転身すると、今度は多忙さから外食ばかりになり、食生活の乱れからさらに10kg増。ここ10年ほどは、110kg前後の人生を送ってきたのです。
当時の食生活は、11時頃に朝昼兼用の食事を取るのが常で、定番はラーメン。脂で膜をはったような濃厚豚骨しょうゆスープで、太麺400gにチャーシューと野菜が山盛りになった二郎系が大好きで、週に3~4回は通っていました。
そして夕食は、たいてい遅い時間に焼肉やしゃぶしゃぶ、お寿司などの食べ放題の店に行き、お酒もよく飲んでいました。
もちろん、これだけ太っていれば、健康診断では毎回ガッツリ引っ掛かっていました。
中性脂肪値、肝機能値、血糖値などがいずれも基準値より高くて、何種類もの薬を処方され、医師からは毎回「食事のバランスを考えて、運動もしましょう」と指導されていました。
ですが、病気の自覚症状はないし、本気でダイエットをしようという気には、なかなかならなかったのです。


がむしゃらな努力や非効率的なことは嫌い
そんな私が、ダイエットを始めたのは、2020年の3月です。
その少し前、クリニックでの定期検査で、お決まりの「食事と運動」について指導を受けたときに、正直に「筋トレやランニングは単調でつまらないから続けられない」と伝えました。
そしたら、医師から「それならリングフィット アドベンチャー(下項参照。以下リングフィット)をやってみたら?」と勧められたのです。
といっても、購入しただけで、しばらく放置していたのですが。
ところが、ちょうどコロナ禍で急に社会全体にブレーキがかかり、ステイホームが推奨された時期で、家にいて自由に使える時間が増えたのです。
それで試しにリングフィットをやってみたら、ゲーム性があって楽しくて、本当に運動が苦にならない。しかも、脂肪を燃やす有酸素運動と、筋肉をつける筋トレの両方のプログラムがバランスよく入っている。
これは私に向いていると感じ、実際、それからほぼ毎日、1時間のリングフィットを飽きずに続けることができました。
最初の2日は、1時間のリングフィットで、体重がストンストンと落ちたのです。ところが3日目に焼き肉を食べたら、運動をしていても最初の体重より増えてしまいました。
この悔しさで、凝り性な性格に火が付き「最も効率よく、健康的にやせる方法」を考え始めたのです。がむしゃらな努力や非効率的なことって嫌いなんですよ。
世の中にはたくさんのダイエット法がありますが、いろいろと調べていくと、「共通して言われていること」がありました。
例えば、
〇摂取エネルギーが消費エネルギーを上回らないようにする。
〇摂取エネルギーは、たんぱく質、脂質、糖質の三つで構成されている。
〇消費エネルギーは、運動以上に基礎代謝の占める割合が大。
〇筋肉を落とすと、いったんはやせても、リバウンドしやすい。
といった事項は、ほぼ共通認識です。個別のダイエット法の「差異」ではなく、「共通点」だけを取り入れるとすれば、
①筋肉をつくるたんぱく質の必要量を確保しながら
②消費エネルギー以内に収まるように
③糖質と脂質を振り分ける
これがダイエット攻略の基本戦略となります。
私の場合、最初に約20kgやせるまでは糖質制限を、その後は脂質制限を中心にしました。
糖質1gは、水分3gを引き連れて移動します。つまり、糖質を100g減らせば、体重は400g落ちるということ。
簡単に体重が減るので、ダイエットの導入としてモチベーションが上がりますし、ひざなどへの負担も少なくなり、体を動かしやすくなるのが、大きなメリットです。
糖質制限メニューとしては、糖質である小麦粉を、たんぱく質と食物繊維の多いおからパウダーに置き換えたお好み焼きなんかもよく食べていましたね。
逆に、糖質を100g増やせば体重は400g増えるわけで、リバウンドしないように徐々に脂質制限に切り替える必要があります。
何をどれぐらい食べるかを考える上では、「あすけん」というアプリが非常に役立ちました(下項参照)。
あすけんを活用しながら食事のメニューをパズルのように組み立て、たんぱく質、脂質、糖質のバランスをどのように配分するのが最適解なのかを模索するのは、自分の体を使った育成ゲームのようで楽しくて、全く苦になりませんでした。
動悸、息切れ、汗だくにならなくなった

※グラフデータ:古川さん提供
上の体重と体脂肪のグラフからもわかるように、順調にダイエットは進み、最終的に当初の目標だった70kgを余裕で突破して、64kgで10ヵ月間のダイエットを終了しました。
今の体重は70kg弱ですが、リバウンドしているわけではなく、もっと筋肉をつけた「かっこいい体」を目指そうと、増量と筋トレに励んでいる最中です。
体調は至って良好で、血糖値や中性脂肪値、肝機能値なども全て正常化して、薬も全てやめることができ、健康体になりました。担当医も、私の改善ぶりをとても喜んでくれています。
体が軽くなり、体力もつきました。
以前は、絶対に急がないで済むように、すごく時間に余裕を見て動いていたんです。ちょっと急いで動くだけで、動悸と息切れが激しくなり、全身から汗が吹き出していたので、周りの方が不快に思われたら申し訳ないですから。
今はそうした心配がいらなくなったのを、とてもうれしく感じています。
目に映る街の風景もガラリと変わりました。
太っていた頃は、オシャレな店というのは、自分は「対象外」だと感じていたのか、無意識に情報を遮断していたようで、見えていなかったのです。
なにしろ太っていた頃の私が服を買えるのは、ビッグサイズ御用達の「サカゼン」一択。さらに似合うかどうかではなく、入るかどうかで服を選ぶしかありませんでした。
やせたことで、実際に買うかどうかは別として、自分が顧客となり得て、自分の意思で好きなものを選択できるのだと思ったら、急にたくさんの店があることに気づいて驚きました。今は服を買いに行くのが楽しくてしょうがないです。
このダイエットをきっかけに、髪をオレンジにカラーリングし、メガネもコンタクトに変えました。眉を整えたり、肌の保湿を気にしたりと、今まで対象外だと思い込んでいた事柄に挑戦したくなった。そうした気持ちの変化が、ダイエットの最大の成果かもしれません。

以前のスーツはもう一人入りそうなサイズ感!
自分の体との対話で得た「気づき」が重要
みやま市工藤内科院長 工藤孝文
112kgから64kgへと大幅減量に成功し、血糖値、中性脂肪値、コレステロール値、肝機能値を正常化させた古川さん。30代のうちにメタボリック(内臓脂肪)症候群を脱出できた意義は大きく、健康寿命(心身ともに自立して生活できる期間)が20年は延びたと考えられます。
ダイエットは、自分の食事や生活がどのように体に影響しているのかに、自分自身で気づくことが、なにより大切です。この「気づき」がないまま、体重を落としても、結局リバウンドしてしまいやすいのです。
食事や体重の記録を取り、「自分の体を使った育成ゲーム」として、自分の体としっかり対話しながら、気づきを重ねていったことが、ダイエット成功の最大のポイントでしょう。