長年の便秘や、下腹が前に出たポッコリおなかといった悩みを持つかたがたは、腸の位置が下がっていることが多いようです。そこで、あおむけになって行う「腸ゆるゆる体操」、座って行う「ちょこペコ体操」という2種類の「腸の引き上げ体操」をお勧めしています。【解説】親里奈奈(便秘腸活サロン・合同会社七彩代表)

解説者のプロフィール

画像: 解説者のプロフィール

親里奈奈(おやさと・なな)

便秘腸活サロン・合同会社七彩代表。中医学、薬膳、腸マッサージなどを取り入れた独自の腸ケア法を確立。沖縄の企業やカルチャースクールなどで講師として指導を行うほか、腸トラブルで悩むかたに、腸活サプリメントを開発し提供。近年、自身がパーソナリティを務める健康情報番組FMうるま『いちゃりば腸DAY』を通して腸活視点の健康法を伝えている。

おなかをもんだら便秘や不眠が改善

私が、地元沖縄に 「腸セラピー(腸もみ)」を専門的に行うサロンを開いたのは、今から13年前のことです。これまで、3000人を超えるかたがたをケアしてきました。

私が腸もみを始めたきっかけは、自分自身の体調不良でした。20年ほど前、私は離婚したばかりで、心身ともに最悪の状況でした。子供3人を育てるため、働かなくてはいけないのに、体調が悪く、思うように動けません。さらにはうつ状態に陥り、働く意欲もわかないという状態でした。

なんとか体調を整えたいと考えた私は、漢方をはじめさまざまな治療法・健康法を勉強しました。そんなとき出合ったのが、腸もみの本だったのです。

そのころ、私のおなかはまるで妊婦のようにポッコリと前に出ていました。しかも、触ると、カチカチにかたい状態です。そのおなかを、本に書いてあるとおりにもみました。

しばらくもんでいると、おなかがやわらかくなり、見た目もいくぶんスッキリしたように感じました。気をよくして、毎日続けてもんでいくと、心身ともに変化が現れてきたのです。

一つは便秘の解消です。私は30代に入ってから、頑固な便秘に悩んできましたが、それが一掃されたのです。次に、肌がキレイになりました。私は若いころからアトピー性皮膚炎だったのですが、それが改善。加えて、吹き出物もできにくくなりました。

さらには、夜ぐっすり眠れるようになりました。当時、私は離婚後の心身の疲れから、精神安定剤を飲んで寝ていました。それが薬に頼らず眠れるようになり、朝もスッキリ目覚めるようになりました。

これらの変化に伴い、生きる意欲がわいてきて、朝もパッと起き出して、家事に仕事に積極的に取り組めるようになったのです。

腸もみのすばらしさを実感した私は、周囲の人たちに腸もみを勧め、施すようになりました。そして、腸の働きについて本格的に学び直し、やがては腸セラピーサロンを開業。多くのかたがたをケアするようになったのです。

筋力低下で腸が下がりポッコリ前に出る

私のサロンのいらっしゃるかたたちは、40~60代の女性が中心。長年の便秘や、下腹が前に出たポッコリおなかに悩んでいるかたが多数です。

多くのかたのおなかに触れてきた私の経験からいうと、こういった悩みを持つかたがたは、腸の位置が下がっていることが多いようです。それが、ポッコリおなかだけでなく、便秘をはじめさまざまな体調不良を引き起こしているのです。

私は、それらの悩みに対して、サロンでのケアのほか、セルフケアとして、2種類の「腸の引き上げ体操」をお勧めしています。「効果がすごい」と皆さんに喜ばれており、今回ここでもぜひご紹介したいと思います。

一つは、あおむけになって行う
腸ゆるゆる体操
もう一つは座って行う
ちょこペコ体操です。
(詳しいやり方は下項を参照)

いずれも、姿勢や、手の動きで、物理的に腸を引き上げる効果をねらった体操です。

それにしても、なぜ腸が下がるのでしょう。人間の内臓は、筋肉によって支えられています。その筋肉が加齢によって弱ってくると、重力に逆らえなくなり、しだいに下がってきてしまうのです。

加齢だけでなく、出産も筋力低下を引き起こすので、腸が下がる要因となります。上下が肋骨(あばら骨)と骨盤に挟まれているため、下がった腸は、行き場がなく前へ出てきます。これがポッコリおなかです。

腸の位置を元に戻して機能を高める体操

また、場所の問題だけでなく、多くのかたの腸の状態にも問題があるように感じます。

皆さん、ご自分のおなかに触ってみてください。かたいですか? やわらかいですか? かたいなら、注意が必要です。例えば、ポッコリおなかは、一見、やわらかそうに見えますが、実は触ると、かたいことが多いのです。

これは、腸に血流の滞りがあったり、腸がはれていたりするためです。当然ですが、そうした状態では、消化や吸収、排泄など、たいせつな役割を担う腸の機能も低下します。

今回ご紹介する腸の引き上げ体操では、下がった腸を元の位置に戻し、かつ、血流をよくして腸を元気にすること、機能を高めることを目指します。腸ゆるゆる体操は朝起きたときや夜寝る前、ちょこペコ体操は日中、気がついたときに行うのがお勧めです。

これらの体操を続けると、まずは便秘が解消し、代謝がよくなります。それらにより、驚くようなダイエット効果が得られるかたもいらっしゃいます。例えば、40代の女性、Aさんは、熱心に体操に取り組んで、3ヵ月ほどで、20kgのダイエットに成功しました。

ダイエットと同時に、肌がキレイになったという声も多く聞かれます。便秘、ガス腹、ダイエット、肌荒れなどに悩みを抱えているかたは、ぜひ一度お試しください。

腸ゆるゆる体操&ちょこペコ体操のやり方

腸ゆるゆる体操
※1日に何度行ってもよいが、食後2時間はやらない。ダイエット目的なら、食前に行う。
※腰痛がある人はお尻の下に丸めたバスタオルなどをおいて体を支えて行う。
※腰が上がらない人は無理せず、ひざだけ立てた姿勢で行ってもOK。

あおむけになって、足を腰の幅に広げて、両ひざを立てる。かかとは、お尻から握りこぶし1つ分離れたところにおく。息を吸いながら両腕で床を押すようにして、お尻を持ち上げる。

画像1: 腸ゆるゆる体操&ちょこペコ体操のやり方

そのままの姿勢で手を組み、骨盤(恥骨)の上方におき、息を鼻から吸う。口から息を吐きながら、組んだままの手をゆっくり左右にゆらしながらあばら骨まで引き上げる。これを5回くり返す。

画像2: 腸ゆるゆる体操&ちょこペコ体操のやり方

ちょこペコ体操
※いつ何回行ってもよい。トイレに入るたびに行うなど、習慣化することがお勧め。

イスに座り、へその下、恥骨の上辺りに親指、小指以外の両手の指3本を重ねる。

画像3: 腸ゆるゆる体操&ちょこペコ体操のやり方

鼻から息を吸い、吐きながら体を前に倒す。指を第1関節分くらい、おなかの奥にちょこっと押し入れる。体を倒しきったら、両手の指先をペコッと2cmくらい押し上げる。

画像4: 腸ゆるゆる体操&ちょこペコ体操のやり方

恥骨の右側、左側でも同じように行う。

画像5: 腸ゆるゆる体操&ちょこペコ体操のやり方
画像: この記事は『壮快』2021年7月号に掲載されています。 www.makino-g.jp

この記事は『壮快』2021年7月号に掲載されています。

www.makino-g.jp

This article is a sponsored article by
''.