この年齢になるまで、特に大きな病気をすることもなく元気に仕事を続けています。「その秘訣は?」と聞かれたら真っ先に挙げるのが、趣味のスポーツの存在です。特にここ20年近くはボウリングが、私の健康維持や老化防止に役立っていることは間違いありません。【体験談】神谷健(神谷小児科医院院長・88歳)

プロフィール

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神谷健(かみや・けん)

1933年生まれ。63年、信州大学医学部卒業。67年から75年まで、信州大学医学部附属病院小児科で講師を務める。ポリオワクチンの研究に携わり、ポリオ根絶に尽力。75年2月、安曇野市にて神谷小児科医院を開業。日本小児科学会専門医。小児科認定医。学校の校医、認定こども園の園医も務める。地域に根ざしたかかりつけ医として、日々診療を行う。
▼神谷小児科医院(https://www.kamiya-clinic.net/)(公式サイト)

70歳でゴルフをやめてボウリングに転向

私は今年88歳になりますが、現役の小児科医です。診療日は週に6日、うち3日は午前中のみではありますが、日・祝を除き毎日患者さんを診ています。

ここ長野県の安曇野に、自宅を兼ねた医院を開いたのは、46年前、2月の寒い日でした。

開業初日、「果たして何人が来るのだろうか」と不安な思いで朝を迎え、1階の医院に下りたら、待合室に患者さんがぎっしりいらしたことを、今もときどき思い出します。以来、中断することなく、診療と研究を地道に続けてきました。

おかげさまで、この年齢になるまで、特に大きな病気をすることもなく、元気に仕事を続けています。

「その秘訣は?」と聞かれたら真っ先に挙げるのが、趣味のスポーツの存在です。

実は私は、幼いころは体が弱く、中学に入学早々、3ヵ月休学したほどでした。その後、高校の部活で始めた軟式野球のおかげで体力がつきました。

大学の医学部に進んでからも軟式野球を継続。医学部内で毎年行われる大会で、小児科チームが優勝したのも懐かしい思い出です。このころにはすっかり健康体になっていました。

医師になってからは、ゴルフをすることが多くなり、長らく続けてきましたが、古希を迎えたタイミングで、やめることにしました。かわりに本腰を入れたのが、ボウリングです。

もともと趣味にしていたのですが、ここからは、もっぱらボウリングを楽しむようになりました。なにしろ私の医院のはす向かいにボウリング場があるので、いつでも気軽に出かけられるというわけです。

ボウリングに必要な集中力や注意力が脳を活性化

こうして70歳以降は、「年間に1000ゲーム投げること」を目標に据え、10年連続で、それを達成してきました。

スコアは、パーフェクト(初投で10本のピンを倒すストライクを、ゲームの最初から最後まで、12回連続で出すこと)こそかないませんでしたが、11回連続でストライクを出すセミパーフェクトは、何度か達成しています。

やはり上達するとうれしいものです。「次も頑張ろう」とやる気も生まれます。

画像: 長野県医師ボウリング連盟のユニフォームを着て、トロフィーの前に立つ神谷さん。体力を維持し脳も活性化!

長野県医師ボウリング連盟のユニフォームを着て、トロフィーの前に立つ神谷さん。体力を維持し脳も活性化!

仲間がいるのも、いいことです。私は地元でボウリング大会を月に1回開催してきました。その数は、300回にも上ります。さすがに最近は、以前ほど活動できていませんが、今も月に2回はボウリング場に足を運び、仲間と楽しい時間を過ごしています。

ボウリングは、力加減やバランスを調整するために、集中力や注意力も必要です。体力の維持・向上のみならず、脳機能の活性にも役立つと思います。

こうして若いころから続けてきたスポーツ、特にここ20年近くはボウリングが、私の健康維持や老化防止に役立っていることは、間違いありません。

食事も重要です。私は朝6時に起きたら、私同様に高齢になった妻を手伝い、食事の支度をします。朝晩は和食が多く、みそ汁は必ず飲みます。昼食は簡単にパンで済ませたり、麺類をとることが多いでしょうか。

元気で過ごすためには、心構えもたいせつですね。皆さんには「座右の銘」はありますか。

私は、自身の名づけ親である漢学者・内堀維文先生からいただいた、『易経』(中国の古典で儒教の経典の一つ)の中の言葉を、旨としています。

天行は健なり。君子はもって自ら彊めて息まず」。(てんこうはけんなり。くんしはもってみずからつとめてやまず)

いわく、「天体(月や星)の運行は常に健やかで、一時も滞ることがない。同様に、君子(人徳者)たるものは自ら努めて励み、怠ることはない」というものです。私の名の「健」は、ここから取られました。

この名の由来に恥じないようにと、私は診療や研究をはじめ自分のなすべきことを、コツコツと続けてきました。趣味のスポーツも含め、日々できることを着実に積み上げていく。そうした生き方が、名のとおりの健康をもたらし、私をここまで連れてきてくれたのだと思っています。

今は新型コロナの影響で、誰しも我慢を強いられ、つらい毎日を送っています。こんなときだからこそ、これまでと変わらぬ気持ちで、自分の務めを果たしていきます。それが、これからも元気に生きることにつながると、信じているからです。

画像: この記事は『壮快』2021年7月号に掲載されています。 www.makino-g.jp

この記事は『壮快』2021年7月号に掲載されています。

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