あずきには、同量の赤ワインの1.5~2倍のポリフェノールが含まれるといいます。強力な抗酸化作用で活性酸素を消去し、くすみやたるみ、シワやシミなどの予防・改善が期待できるのです。もちろん、白髪や抜け毛対策にもなります。【解説】和倉由佳(医療法人和倉会サンタマリア病院理事長・皮膚科医師)

解説者のプロフィール

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和倉由佳(わくら・ゆか)

2001年関西医科大学卒業。大阪市立大学附属病院、河合皮フ科医院、朋愛病院勤務を経て、16年にクリニックを開業。現在は医療法人和倉会サンタマリア病院理事長。皮膚科医師。日本臨床栄養学会認定臨床栄養指導医。

強力な抗酸化作用で肌のハリやくすみも改善

私は皮膚科医として、また、日本臨床栄養学会の認定臨床栄養指導医として、肌の悩みを持つかたがたの治療に当たってきました。

そんな私が、6年ほど前から、意識してとるようにしているのが、あずきです。ここでは主に、あずきの美肌効果についてお話ししましょう。

あずきは、主に、

ポリフェノールの抗酸化作用
食物繊維の整腸作用

これら二つの働きにより、肌にいい効果をもたらします。

①のポリフェノールは、植物に含まれる苦みや色素の元になる成分で、高い抗酸化作用があります。では、「酸化」とは何を指すのでしょうか。

体内に取り込んだ酸素を元にエネルギーを作る過程で、酸素の一部が活性化したものを、「活性酸素」といいます。

活性酸素は、免疫機能として働く一方、増え過ぎると自分の正常な細胞まで攻撃してしまいます。これが体の酸化です。活性酸素は、老化やがん、生活習慣病の原因物質とされています。

皮膚の表皮のなかで最も下にある基底層という部分が活性酸素に攻撃されると、ターンオーバー(細胞の生まれ変わり)がうまくいかなくなり、肌のくすみを引き起こします。

さらにコラーゲンを作る細胞が破壊されると、コラーゲンの産生が低下。ハリが失われ、たるみやシワができやすくなります。また、メラノサイトという細胞が攻撃を受けると、シミが発生します。紫外線も、皮膚に活性酸素を発生させます。

ちなみに、活性酸素の影響により頭皮の血行が悪くなると、白髪や抜け毛の原因になります。

こうした活性酸素による酸化を抑えるのが、ポリフェノールの抗酸化作用です。

ポリフェノールの多い食品といえば赤ワインが有名ですが、あずきには、同量の赤ワインの1.5~2倍のポリフェノールが含まれるといいます。

強力な抗酸化作用で、活性酸素を消去し、くすみやたるみ、シワやシミなどを予防・改善すると期待できるのです。もちろん、白髪や抜け毛対策にもなります。

料理に加えれば味も見た目も栄養価もアップ

あずきが美肌に効く、大きな働きのうちのもう一つは、②食物繊維による整腸作用です。

食物繊維は、水に溶けにくい不溶性と、水に溶ける水溶性の二つのタイプがあり、あずきはその両方を含んでいます。

食物繊維は便のかさを増して腸の働きを活性化したり、血糖値の急上昇を抑えたりする働きがあります。また、あずきには腸内で善玉菌を増やす作用のあるオリゴ糖も豊富です。

腸内環境のよしあしは、肌と大きく関連しています。あずきにより便秘が解消されれば、肌荒れや吹き出物も改善します。

私はふだん、あずきを煮る際に圧力鍋を使います(下記参照)。出来上がった煮あずきは、すぐに食べる分は冷蔵。あとは小分けにして冷凍保存します。私の場合、鍋には、煮汁とあずきを少し残しておきます。あとでスープにするためです(後述)。

圧力鍋を使った煮あずきの作り方

洗ったあずき1カップ(160g)と、水3カップ(600ml)を圧力鍋に入れ、ふたをして強火にかける。
圧がかかったら弱火にして3分加圧し、火を止める。そのまま圧が下がるまで待ち、ふたを開け、粗熱を取る。
冷蔵庫で保存。1週間ほど日もちする。長期の場合は冷凍で1ヵ月ほど保存可能。
お使いの圧力鍋の、豆を煮る場合の最大容量や加圧時間をよく確認し、ご自分の鍋に合わせて調整してください。

画像: 圧力鍋を使った煮あずきの作り方

甘いあんこもおいしいものですが、私は糖質のとり過ぎが気になるので、基本的にあずきの味つけは塩です。塩は、煮るときに入れるより、食べる際に少量を振るほうが、味がシャープに際立ちわかりやすくなるので、減塩につながるでしょう。

さまざまな料理に活用しますが、最もシンプルで手軽なアレンジは「塩+オリーブオイル」です。煮あずきに天然塩を少量振り、オリーブオイルを回しかけるだけ。お酒のおつまみにもピッタリの、おしゃれな味がお気に入りです。

また、煮たあとに鍋に残したあずきと煮汁は、タマネギなど家にある野菜類やベーコンを加えて、塩などで調味し、スープにします。

赤紫の煮汁は色が毒々しく、正直、魔女のスープかと思うほど(笑)。けれども煮汁にポリフェノールが多く溶け出しているので、パプリカなど、鮮やかな色の食材を加え、できるだけ彩りよく仕上げます。

サラダのトッピングにも、あずきは大活躍です。ただパラリと振りかけるだけで、味も見た目も、栄養価もアップします。特にアボカドやブルーチーズと相性がいいように感じますが、あずきは味にクセがないので、実際、何にでも合います。

積極的にあずきを食べ続けているおかげで、私はおなかの調子も常に〝快腸〟。美容面でも、肌の老化スピードを遅くする一助になっていると思います。

美容にいいスーパーフードといわれる食べ物は、キヌアやアサイー、チアシードなど海外の物がいろいろありますが、あずきは、もっと身近で手軽。まさしく、日本版のスーパーフードではないでしょうか。

[別記事:あずきは高血糖や高血圧を改善するヘルシーフード→

画像: この記事は『壮快』2021年7月号に掲載されています。 www.makino-g.jp

この記事は『壮快』2021年7月号に掲載されています。

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