解説者のプロフィール

田辺智美(たなべ・さとみ)
「足健道」さと足ツボ療術院院長。自身のムチ打ち症を足もみで完治させたことをきっかけに、ツボと反射区と筋肉を刺激する「足健道」を完成させる。2000年に石川県で開業以来、2万人以上の足を施術してきた。著書に『足の裏もみで病気が治る! 痛みが消える!』(マキノ出版)『もむだけ美脚ダイエット』(産業編集センター)などがある。
▼「足健道」さと足ツボ療術院(公式サイト)
足が太くなる原因はたまった老廃物
「上半身は太っていないのに、下半身は太い」
「ダイエットをしても、足だけは細くならない」
こんな悩みを持つ女性は多く、足やせは難しいと思われています。
しかし、足やせは実はとても簡単です。「足もみ」さえすればいいのです。私のところに来られる方は、これでほぼ全員、足やせに成功しています。
では、なぜ足はやせにくいと思われているのか、そしてなぜ足もみで細くなるのか、お話ししましょう。
足がやせにくいのは、足にたまっているのが脂肪ではなく、老廃物だからです。脂肪なら、食べる量と運動のバランスで減りますが、老廃物はそれでは減りません。血液循環と排泄が重要なのです。
心臓から送り出された血液は、動脈を通って末端まで酸素と栄養を運び、静脈を通って老廃物を回収して心臓に戻ってきます。しかし、下半身には重力がかかっているので、静脈を通る血液は心臓の方にスムーズに流れず、老廃物が下にたまりやすくなります。
たまった老廃物は、細胞と細胞の間に入り込んで固まったり、骨の際に付着したりして、足のむくみやセルライト(老廃物と脂肪が結合したもの)の原因になります。
その固まって動かなくなった老廃物をほぐし、静脈の血流をよくして、老廃物を外に追い出すのが、足もみです。
私が行っている足もみは、東洋医学の「ツボ」と、リフレクソロジーの「反射区(全身の臓器や器官に対応する部位)」、リンパの流れを促す「リンパマッサージ」を組み合わせた、独自のものです。
足やせでは、腎臓、輸尿管、膀胱、尿道といった、「排泄」の反射区をまず刺激し、老廃物や毒素の排泄を促します。
そして、静脈の血流をよくするために、ふくらはぎをもみます。ふくらはぎの筋肉はポンプの働きをしており、心臓に戻る静脈の流れを助けます。
血液循環がよくなれば、リンパの流れもよくなります。リンパには、余分な水分や毒素を流したり、免疫力(病気に対する抵抗力)を高めたりする働きがあります。
また、ひざ裏はリンパ節があり、老廃物がたまりやすいところ。ここには大事なツボが集まっており、足を動かす筋肉(膝窩筋や腓腹筋)もあるので、ひざの裏ももみます。
こうした「もむ」という刺激は、細胞の間にたまって停滞している老廃物に「ここにいてはいけない」という信号を送り、老廃物を流れやすくします。
もんで足が細くなると体調まで改善する
私は、足もみ前と後で、承諾を得たクライアントの方のふくらはぎや足首の太さを毎回計測しています。効果は、個人差がありますが、1回の施術だけでも現れます。足首なら0.5〜3cm、ふくらはぎなら0.8〜3.5cmも減るのです。
ただ、翌日になるとまた老廃物がたまってくるので、毎日続けることが大事です。1ヵ月くらい続けると、変化が目に見えてわかるようになり、3ヵ月ほどで元に戻りにくくなります。

もむのは1日1回で構いません。お風呂上がりに行うのが効果的ですが、早く足やせしたい人は、朝昼晩行うといいでしょう。少しでもいいですから、毎日行うことが大事です。
気をつけていただきたいのは、足に静脈瘤のある人です。大きい静脈瘤があったら、そこは触らず、その周囲をもんでください。
また、もんで青タンができることがありますが、心配はありません。これは毛細血管が弱っている印ですが、もみ続けるうちに毛細血管が元気になり、青タンもできなくなってきます。
体調の悪い人は、例外なく足に老廃物がたまり、むくんでいます。足のむくみは、病気や不調を知らせるサインでもある、といえるでしょう。
足をもんで足が細くなると、体調もよくなってきます。そして、肌や髪のツヤもよくなり、若々しくなってきます。本当に、体も心も見た目も変わりますから、ぜひやっていただきたいと思います。
美脚足もみのやり方
※1日1回、両方の足に行います。
※指をスライドさせる際には、クリームなどをぬって、滑りをよくしてから行ってください。
1. 排泄の反射区をもむ

A 腎臓の反射区
足の裏のほぼ中央辺りにある。
手の人さし指を曲げ、突起した関節部分で、○の部分を上下にしごく。痛いところ、じゃりじゃりするところを見つけて、「痛気持ちいい」と感じるところまで深く押し、3秒間そのまま押し続ける。
B 輸尿管の反射区
腎臓の反射区(A)と膀胱の反射区(C)をななめにつなぐライン。
手の人さし指を曲げ、突起した関節部分で、AからCに向かって押しながらスライドさせる。
C 膀胱の反射区
足の裏の、親指側の土踏まずとかかとの境目辺りにある。
手の人さし指を曲げ、突起した関節部分で、○の部分を「痛気持ちいい」と感じるところまで深く押し、3秒間そのまま押し続ける。
※A~Cを1セットとして、3セット行う。

D 尿道の反射区
内くるぶしの下からアキレス腱にかけての部分にある。
内くるぶしの下に親指の腹を当て、アキレス腱に向かって押しながらスライドさせる。2~3回くり返す。
2. ふくらはぎをもむ
A ふくらはぎの外側
外くるぶしの上、すねの骨の際に両手の親指の腹を当てる。ひざの方に向かって、骨の際に沿って指を少しずつ移動させながら押す。
終わったら、両手の親指で、同じラインをひざの方にスライドさせて流す。

B ふくらはぎの内側
内くるぶしの上、すねの骨の際に両手の親指の腹を当てる。ひざの方に向かって、骨の際に沿って指を少しずつ移動させながら押す。
終わったら、両手の親指で、同じラインをひざの方にスライドさせて流す。

C 向こうずね
向こうずねの真ん中を、足首からひざ下に向けて、両手の親指の腹で指を少しずつ移動させながら押す。
終わったら、両手の親指で、同じラインをひざの方にスライドさせて流す。

3. ひざ裏を押す
ひざ裏にある以下の5つのツボを順に押す。
両手の中指と薬指を揃えて重ね、桃に指の跡をつけるくらいの優しい力で、それぞれ3秒ほど押し続ける。
※強い力で押したり、グリグリ押したりするのは厳禁!
❶委中(いちゅう) =ひざ裏の横ジワの中央
❷委陽(いよう) =ひざ裏の横ジワの外側の端
❸陰谷(いんこく) =ひざ裏の横ジワの内側の端
❹浮郄(ふげき) =委中から親指1本幅分上に行ったところ
❺合陽(ごうよう) =委中から親指3本幅分下に行ったところ


この記事は『安心』2021年6月号に掲載されています。
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