耳鳴りやめまい、そして、その両方を引き起こす疾患であるメニエール病には、ストレスや脳の疲労がかかわっています。予防・改善には、バランスよく栄養をとって脳の疲労回復を促すことを心がける必要があります。特に重視したいのが、ビタミンB群です。【解説】本田哲朗(本田耳鼻咽喉科医院院長)

解説者のプロフィール

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本田哲朗(ほんだ・てつろう)

本田耳鼻咽喉科医院院長。日本耳鼻咽喉科学会専門医。1976年、東京医科大学卒業。大学院修了後、国立がんセンター研修、東京医科大学病院、社会保険蒲田総合病院(現:東京蒲田医療センター)勤務などを経て、1984年に本田耳鼻咽喉科医院開業。耳鳴り、めまい、難聴の治療や、アレルギー性鼻炎・副鼻腔炎の手術等に力を入れる。

糖質中心の食事は脳の機能を低下させる

耳鳴りやめまいといった症状には、生活習慣やストレスが大きく関与しています。そこで、ここでは食事を中心に、耳鳴りやめまいの予防・改善に役立つ生活について、三つのポイントを挙げます。

バランスよく栄養をとる
水をしっかりとる
よく眠る

耳鳴りやめまい、そして、その両方を引き起こす疾患であるメニエール病には、ストレスや脳の疲労がかかわっています。まず食事では、バランスよく栄養をとって脳の疲労回復を促すことを心がける必要があります。

特に重視したいのが、ビタミンB群です。

ビタミンB12は、耳鳴り・めまいの治療薬としても使われています。これは、神経の代謝を促す作用があるためです。

ビタミンB1は、体内で糖質をエネルギーに変える代謝をサポートします。不足すると、疲れやすくなり、脳の活動が落ちてしまいます。

ビタミンB2は、たんぱく質などの代謝を支える働きをしています。不足すると疲れやすくなり、老化の原因にもなる過酸化脂質が増えます。

ビタミンB6は、たんぱく質や脂質の代謝を支え、免疫機能の維持や、神経伝達物質の合成にもかかわっています。

糖質中心の食事をしていると、糖質を代謝するビタミンB群が多く使われてしまいます。その結果、脳や体の疲労、脳の機能低下を引き起こすおそれがあります。

それを避けるために、糖質を減らして、たんぱく質やビタミンB群を積極的にとっていく必要があるわけです。

ビタミンBを多く含む食材

【ビタミンB1】豚肉、枝豆、落花生、カツオ、豆腐など
【ビタミンB2】豚レバー、ウナギ、牛乳、シイタケ、卵、ホウレンソウ、ノリなど
【ビタミンB6】カツオ、マグロ、サケ、鶏ササミ、サツマイモなど
【ビタミンB12】カキ、アサリ、サバ、ホタテ、ホッケ、シジミ、アジなど

画像: 【メニエール病の予防・改善】脳の疲労回復にビタミンB群の摂取が大事  糖質は控え十分な水分補給を

栄養面ではほかにも、疲労回復や、ストレスに対しての抵抗力を高めるのに役立つビタミンCや、精神を安定させる効果のあるカルシウムの摂取も勧められます。

中性脂肪値や悪玉コレステロール値が上昇すると、血液がドロドロになり、血管が詰まりやすくなります。耳鳴りやめまいの症状も悪化します。その意味でも、バランスよく栄養をとって、血液をサラサラにし、血流をよくしておくことが大事です。

水分を十分にとることでリンパ液の排出を促す

次にお勧めしたいのが、十分な水分補給です。

耳鳴りやめまいを引き起こす有力な原因の一つがメニエール病です。平衡感覚をつかさどる三半規管のある内耳は、内リンパ液という液体で満たされています。これが増え過ぎて、内リンパ水腫(水ぶくれ)になった状態が、メニエール病です。

以前は、内耳に水ぶくれが起こっていることから、利尿剤を投与して水分の排出を促すと同時に、体内の水をこれ以上増やさないよう、水分制限が勧められていました。

しかし最近では、水分を多くとったほうがよいとされるようになっています。血液を薄くして、水ぶくれを解消することが狙いです。さらに、水分を十分にとることで、内耳に滞ったリンパ液の排出も促されると考えられています。

最後に、よく眠ることも重要です。

耳鳴りやめまいに悩まされている人は、不眠の傾向が多く見られます。寝つきの悪い人なら、眠れそうにないのに、無理にふとんに入る必要はありません。なかなか寝つけずにイライラすることが、ストレスとなるからです。

体はストレスを感じると、バゾプレッシンというストレスホルモンの一種を分泌します。このホルモンには、水分をためる性質があるので、ストレスを感じないためにも「眠くなったら寝る」でいいのです。

ただ、寝つきをよくする工夫は行うべきです。寝る1時間前くらいからは、テレビやスマホを見るのはやめておきましょう。タバコを控え、カフェインを含むコーヒーやお茶なども飲まないようにするのがお勧めです。アルコールもいけません。

空腹で寝つけないときは、ホットミルクがいいでしょう。ホットミルクは、カルシウムや、トリプトファン(幸せホルモンであるセロトニンの材料となるアミノ酸の一種)を摂取できます。ハーブティーもいいでしょう。

なお、耳鳴りやめまいがあるのに、医師に診てもらったことがない人は、一度は耳鼻咽喉科などで診察を受けてください。

画像: この記事は『壮快』2021年6月号に掲載されています。 www.makino-g.jp

この記事は『壮快』2021年6月号に掲載されています。

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