解説者のプロフィール

廣渡寿子(ひろわたり・ひさこ)
医師・「食べトレ」シニアインストラクター。2003年佐賀医科大学卒業。専門は放射線治療。都内総合病院にて勤務。日本医学放射線学会認定放射線治療専門医、日本がん治療認定医機構がん治療認定医。一方、一般社団法人食べるトレーニングキッズアカデミー協会のシニアインストラクターとして、「食の力を使いこなし自らの夢をかなえる子供」の育成に尽力中。SNSは「ひろわたり ひさこ」で検索。
試した人の6割が肌の潤いを実感
私は、勤務医として働きながら、食の力で子供たちを輝かせるプログラム「食べトレ」のインストラクターとしても活動しています。
伸び盛りの子供たちに、何をどう食べさせたら、本来持つパフォーマンスを最も発揮できるか。食べた物が、子供の心と体にどう影響をもたらすか。そんな観点から、家庭の食卓に関心を持ち続けてきました。
近年は「腸活」、すなわち腸をきれいにすることで健康や美容効果を得る活動に、関心が高まっています。日本古来の調味料である、みそや酒、みりんなどを生み出す「こうじ」も、腸内環境の改善に働く、発酵食品の一つ。10年ほど前に手作りが大人気となった塩こうじや甘酒はもはやブームを経て、家庭の味として定着しつつあります。
そんなこうじの発酵パワーを塩こうじや甘酒よりもストレートに、体内に取り入れられるのが「こうじ水」です(基本的な作り方は別記事を参照)。
[別記事:こうじ水の作り方→]
食べトレを通じて出会ったかたがたは、育児中の女性がほとんどで、働くママも多数。皆さん非常に忙しく、自分磨きに割く時間は、ほぼありません。
忙しい女性でも簡単に実践でき、美容効果の高い物はないか。そうした思いから、いろいろと調べて探すうちに、こうじ水と出合いました。
昨年の秋ごろから、しばらく自分で試したところ、「こうじ水は簡単に作れるから続けやすい。効果がわかりやすく現れるのも魅力」と実感しました。なんと始めてわずか1週間で、肌のトーンが明るくなったことに気づいたのです。
早速、仲間にも広めようと、美肌に興味のある150人ほどが集うフェイスブックのグループで、こうじ水を紹介。「少なくとも1週間から10日は続けて効果を教えて!」と呼びかけたところ、多くの人が試してくれました。
こうじ水を試した人は、ほぼ全員、無理なく1週間以上続けられたそうです。継続した人にアンケートを実施したら、そのうち25人が、回答を寄せてくれました。「改善した悩みは」という設問への答えを、グラフにしたのが、下の図表です。

回答数25件(複数回答あり)
最も多くの人が改善を実感したのが「乾燥肌」で、全体の6割。次に「肌のトーン」が4割、続いて「便秘」「毛穴の目立ち」では3割の人が実感したという結果が出ました。
ほかに、吹き出物(大人ニキビ)や唇の荒れ、肌のハリ、目の下のクマ。少数ながら、シミやシワが改善したという人もいました。予想以上の効果があったことに、私も驚きました。
菌がたっぷり入っている私の朝一番の水分補給!
こうじ水を飲むことで、なぜ肌などにいい効果が現れるのでしょうか。
発酵食品が、腸の中で善玉菌を増やすのに役立つことは、皆さんご存じと思います。市販されているこうじは、こうじ菌そのものに覆われていますから、発酵食品のおおもとです。
こうじを水に浸けて、ひと晩おき、緩やかに発酵させたこうじ水には、菌がたっぷり入っています。そのうえ、水分はお通じを促すのに欠かせません。
こうじと水分の両方からいい刺激を受け、腸の活動が活発になると、当然ながらお通じがよくなります。アンケート結果でも「便秘に効いた」という人がいたように、こうじ水は腸をきれいにしてくれるようです。
腸には体内の免疫細胞の多くが存在することから、腸内環境がよくなると、免疫力が上がります。そのうえ「腸皮膚相関」といって、腸と肌には、つながりがあるとわかっています。
こうじ水で免疫力が上がり、忙しいなかでも丈夫な体を維持しつつ、肌もキレイになれるなら、こんなにいいことはありません。私自身、今でも、朝一番の水分補給として、こうじ水を300~500ml飲むのを習慣にしています。
さて、肝心の味ですが、アンケートでは、およそ2.5割の人が「とてもおいしかった」、7割の人が「まあまあ、おいしかった」と答えています。
こうじ水には、ほんのりとした自然の甘みがあります。空腹感を紛らわすことができるのでダイエットにも役立つかもしれません。皆さんもぜひ、今日からこうじ水を試して、効果を実感してください。

この記事は『壮快』2021年6月号に掲載されています。
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