自分で行う緑内障対策のベースは、「少食」と「歩くこと」をはじめとする生活改善ですが、そこにプラスするとよいのが「目の5秒マッサージ」です。「緑内障は自分で治す」という積極性を持って、生活改善に取り組んでいただきたいと思います。【解説】山口康三(回生眼科院長)

解説者のプロフィール

画像: 解説者のプロフィール

山口康三(やまぐち・こうぞう)

回生眼科院長。1981年自治医科大学医学部卒業。横浜市立市民病院などを経て、91年より現職。食事や運動、睡眠などで綜合的に対処する「目の綜合医療」を考案。著書『緑内障・白内障は朝食抜きでよくなる』(マキノ出版)が好評発売中。
▼回生眼科(公式サイト)

目の周囲をほぐして血流をよくする

自分で行う緑内障対策のベースは、「少食」と「歩くこと」をはじめとする生活改善ですが、そこにプラスするとよいのが「目の5秒マッサージ」です(やり方は下項を参照)。

これは、文字通り5秒程度でできる簡単なマッサージで、目の周囲をほぐして血流をよくするのに役立ちます。

手軽にできて気持ちよく、目がスッキリするので、ぜひとり入れてみてください。

目のマッサージといっても、眼球そのものには触れずに、目の周囲にある骨のふちを押します。心地よく感じる程度の力で押すのがコツです。眼球自体は、絶対に押さないように気を付けましょう。

左右の手で、左右の目に同時に行います。1日1回でも結構ですが、2回行うとより効果的です。特に寝る前に行うのがお勧めです。

目の5秒マッサージのやり方

マッサージを行う場所
眼球の周りにある骨のふち

画像1: 目の5秒マッサージのやり方

※注意 眼球は絶対に押さないこと!

目の上にある骨(眼球が収まっている骨のくぼみ)のふちに親指の腹を当てる。軽いタッチで、5秒押してからパッと離す。目頭から目尻まで、少しずつ移動しながらくり返し行う。

画像2: 目の5秒マッサージのやり方

目の下側にある骨のふちに、人さし指の腹を当てて、5秒押してからパッと離す。目頭から目尻まで、少しずつ移動しながらくり返し行う。

画像3: 目の5秒マッサージのやり方

症状の進行が止まりその状態を5年キープ

「少食」や「歩くこと」をはじめとする生活改善や、目の5秒マッサージを通常の治療に加えることで、緑内障の進行抑制や改善に成功している患者さんが、当院には多数いらっしゃいます。

つい最近も、5年前から当院にみえている60代の男性から、電話で喜びの報告がありました。当院に来て生活改善に努める前は、徐々に視野が欠けていって不安が大きかったようですが、この5年間は進行しないで維持できているというのです。

主治医の先生からも「進行が止まってよかったですね」と言われているそうです。遠方の方なので、ときどきしかお越しになれませんが、ご自分でうまく、目によい生活を続けておられるようです。

次に、緑内障の進行阻止に加え、視野が回復した63歳の男性の例もご紹介しましょう。この方は、ある程度視野の欠損が進んだ状態で当院に来られました。

緑内障の診断では、視野の欠けている度合いを数値化したMD値(視野の欠損状態を示す数値)が重視されます。数字が大きいほど視野欠損が進んでいることを表すのですが、この患者さんの初診時のMD値は8.1でした。

そのときの右目の視野検査の結果を解析したのが下の図です。この図は、色が薄いほど正常かそれに近く、濃くなるほど視野の欠損が進んでいることを意味します。色の濃い部分が視野の内側下方に広がり、視野欠損が進んでいるのがわかります。

画像: 症状の進行が止まりその状態を5年キープ

そこで、少食や歩くこと、目の5秒マッサージなど、生活改善に取り組んでいただいたところ、1ヵ月半程度で、検査結果が右側のようになりました。色の濃い部分が減っていることがおわかりいただけるでしょう。自覚症状でも視野が改善しました。

MD値は6.1に下降しました。0から10未満が緑内障の初期なので、以前よりも視野が回復したことになります。

生活改善の効果の現れ方は個人差が大きく、誰もが同じように維持・回復できるとはいえませんが、自助努力がいかに大切で有効かを示す例でしょう。

「点眼薬さえさしていればよい」「悪化したら手術すればよい」という考え方ではなく、「緑内障は自分で治す」という積極性を持って、生活改善に取り組んでいただきたいと思います。

画像: この記事は『安心』2021年5月号に掲載されています。 www.makino-g.jp

この記事は『安心』2021年5月号に掲載されています。

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