港近くでのんびり暮らしていた猫たち
今回は333kmの猫旅です。

主に港近くで暮らしていた猫たちは、朝は漁師さんからごはんをいただき、いっぱいになったお腹を横たえ昼寝に興じる。そんな島の猫らしい暮らしをしていました。

かつてはたくさんの猫たちが港で暮らしていた。

港にあるものが猫たちの暮らす場所であり遊び場でもある。

潮風に吹かれて気持ちよさそうです。
「海ねこ」たちの環境が様変わり
ねこたちが漁師さんからお魚をもらうこの姿は、田代島ならではの景色です。この写真は2013年のものですから、残念ながら、今は港自体の港湾整備で、以前とは随分変わってしまいました。今では漁師さんも高齢化が進み、人数も減ってきているようです。

白黒猫たちが集まりお魚をおねだり。

海ねこたちの主食はお魚です。
震災前は、港の漁業施設の周りにかなりの数の猫たちを見かけたものです。特に子猫が多かった。母猫たちが、安心して子猫を育てられる場所だったのでしょう。震災後に改装した漁業施設にも子猫はいたのですが、だんだんと見かけなくなっていきました。

後ろに見えるのが震災後に改築された漁業施設。

建物内からわらわらと現れた子猫たち。
港も整備されて、港から集落を抜けた先にあった小さな砂浜も、今はありません。海寄り用地のかさ上げの結果、浜は真新しいコンクリートに覆われてしまいました。もう映(ば)える浜辺の猫写真は撮れません。

穏やかな潮騒の音を聞きながらまったりと過ごす(2012年)。

ちょっと海が荒れた日でも絵になる浜でした(2013年)。
森の精のような「山ねこ」たちとの遭遇
さて、以前は気を抜いていて歩いていましたが、今は山間部でも、すぐにカメラを向けられるように準備しなければなりません。道の向こうから、森の精のごとく猫たちが姿を現すからです。

一本道の向こうからやってくる猫たち。

有名な猫神社の方向からやってきた猫。
猫たちの拠点は、完璧に山に移ってきました。その中心には観光施設「田代島にゃんこ共和国 島のえき」があります。島のえきは、田代島の小中学校の跡地を利用してつくられ、観光客に軽食を提供したりグッズが販売されていたり。約300m先には「猫神社」もあります。

一気に沢山の猫たちが集まってくる。

猫たちが安心して暮らす「島のえき」。
田代島が震災から復旧・復興し、その変化に合わせて猫たちの暮らしも変化していきました。アフターコロナに向けて、田代島と猫たちは、また新たな姿を私たちに見せてくれるかもしれませんね。今の状況が落ち着いたら、ゆっくり訪れてみてはいかがでしょうか。

「山ねこ」らしく木登りをする。

お魚をくわえた母猫を追いかける子猫(2013年)。
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作者プロフィール
南幅俊輔(みなみはば・しゅんすけ)
盛岡市生まれ。グラフィックデザイナー&写真家。デザイン事務所コイル代表。現在、デザイン以外にも撮影、編集、執筆を手がける。2009年より外で暮らす猫「ソトネコ」をテーマに本格的に撮影活動を開始。日本のソトネコや看板猫のほか、海外の猫の取材・撮影を行っている。著書に「ソトネコJAPAN」「猫と世界遺産の街カレンダー」(洋泉社)、「ワル猫カレンダー」「ワル猫だもの」「サーバルパーク」(すべてマガジン・マガジン)、「どやにゃん」(辰巳出版)など。企画・デザインでは「ねこ検定」「ハシビロコウのすべて」「ゴリラのすべて」(すべて廣済堂出版)など。

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