100歳を超えた今も元気に店に立っている
私は、大正5年生まれの104歳。山あいで小さな理容店を営む、現役の理容師です。
この歳になった今も、月に5~6人のお客さまの髪を切っています。お店に立てば、若い頃と変わらず、はさみを持つ手が自然に動き出すのです。
夫も理容師でしたが、太平洋戦争に召集され戦死。子どもを抱えて独り身となった私が、故郷で「理容ハコイシ」を開店したのは、30代のときでした。
ありがたいことに、店は大繁盛しました。お客さまがひっきりなしに来られるので、食事はかき込むように早食いできればいい方。食事抜きで働き通すことも、よくありました。
買い出しに行く時間もとれなかったため、当時食べていたのは、自宅の畑でとれる野菜ばかり。今考えると、当時は栄養が不足していたかもしれません。
そんな私が、100歳を超えても元気で働けるのだから、ありがたいこと。私に髪を切ってほしい、というお客さまがいる限り、働き続けたいと思っています。

100歳を超えても元気に店に立っている。
暴飲暴食せず1日3食しっかりとる
年を重ねてからは、私も健康維持のために、あれこれ努力するようになりました。そのおかげか今も心身ともに元気です。
今年の3月には、栃木県内最高齢ランナーとして聖火リレーに参加する予定です(2021年3月28日に完走)。
そんな私の健康の秘訣は、次の二つです。
一つ目は、暴飲暴食をしないこと。そのためには、1日3回の食事をしっかりとることが必要だと感じています。
これができるのは、現在同居している息子のおかげです。私に必要な栄養を考え、1日3回の食事を作ってくれています。
メニューは、3食全て野菜がたっぷり。その他にも、たんぱく質やカルシウムなどのミネラル類もとれるよう、日々のメニューを工夫してくれています。
例えば、朝食の定番メニューは、食パン一口に、ちくわやかまぼこなどのたんぱく質豊富な食べ物。大根、ニンジン、ホウレンソウなどの野菜も、しっかり食べます。
これに、息子特製のイチゴやバナナなどの果物とココア、きなこ入りのヨーグルトもつきます。そして、食後にはコーヒーを1杯。朝からしっかり食べることが、元気に一日を過ごす秘訣です。
また、私はカゼ一つひきませんが、これは息子が煎じてくれる野草茶のおかげもあると思います。
このお茶には、体にいいといわれている、ツユクサ・アザミ・ミョウガの3種の野草が入っているそう。私の健康のことを考えて、息子がいろいろと調べ、作ってくれています。
私はこれを、朝昼晩の1日3回飲んでいます。

息子さんが作る野草茶が元気の秘訣!
散歩は1日2000歩ゆっくり歩くのがコツ
二つ目は、動けるうちはとにかく動くこと。私は毎日、自己流の体操とウォーキングを実践しています(体操のやり方は下項を参照)。
これらを始めたのは、70歳の頃からです。最初は、肩こりをどうにかしたくて、肩周りだけを指圧していました。
これが気持ちよかったので、「体全体を手入れすれば、もっとよくなるんじゃないか」と思い、やり方を自分で考えるようになったのです。
体操は、指圧とストレッチを組み合わせたものを、朝夕の1日2回行っています。さらに夜には、筋肉を鍛える体操も行っています。
朝夕の体操が終わったら、近くにある体育館の周囲を散歩します。このとき「いーち、にー、さーん」とゆっくり数え、それに合わせて足を運ぶのがポイントです。
1000まで数えたら、散歩はおしまい。これを1日2回行うので、少なくとも、1日に2000歩は歩いていることになります。
高齢になると、ちょっと転んだだけでも大ケガにつながります。ですから、かかとから着地して、地面をしっかり踏みしめることも忘れません。

聖火ランナーにも選ばれた箱石さん。
実は、101歳のときに室内で転んで、右肋骨2本を骨折しました。左肋骨も打撲して大きな青あざになり、即入院。
しかし、主治医がびっくりするほど治りが早く、折れたところが3週間でくっつきました。これも、日頃から鍛えているたまものだと感じています。
私には、身体障害を持つ81歳の娘もいます。これからも娘を見守りたいので、1日、また1日と、元気で過ごす日を重ねていきたいと願っています。
スーパーおばあちゃんの健康長寿体操
104歳の今も、国内最高齢の現役理容師としてお店に立つ箱石シツイさん。聖火ランナーに選ばれるなど、元気に活動されています。そんな箱石さんが毎日実践している、オリジナルの健康長寿体操をご紹介。どの動きも簡単なので、すぐにまねできること間違いなしです!
首周り
①首を10回ずつ、前後と左右にゆっくり倒す
②首を時計回り、反時計回りに、それぞれ10回ずつ回す
③こめかみを10回押す
④耳の前方にある出っ張り(耳珠)を、10回親指で押したり離したりする

⑤うなじの中央のくぼんだところ(ぼんのくぼ)の下を、10回押す
⑥首から肩にかけてのすじを、指を移動させて押す。これを10回行う

腕周り
①腕を肩の付け根からできるだけ後ろに10回ずつ伸ばす
②腕をまっすぐ上へ10回伸ばす
③腕をまっすぐ前方に10回伸ばす
④腕をまっすぐ真横に10回伸ばす

下半身の強化
※手すりにつかまって行う
①片足を前方に伸ばし、10秒数える。左右3回ずつ行う
②片足を後方に伸ばし、10秒数える。左右3回ずつ行う
③つま先を10回ずつ、上げたり下ろしたりする
④かかとを10回ずつ、上げたり下ろしたりする
⑤上半身を左右にそれぞれ、10回ずつねじる
⑥石を蹴るようなイメージで、足の力を抜きながら20回ずつ前後に振る

◎深呼吸をして終了!

寝る3時間前には、こんな体操も!
いす体操
※重りは、無理のない軽さのものから始める
①いすに座って、足首に重りをつける
②両足をまっすぐ伸ばして上げ、50数える。数え終わったら、両足を下ろす
③片足だけを上げ、②と同様に50数えて下ろす。反対の足も同様に行う

寝たまま体操
※重りは、無理のない軽さのものから始める
①足首に重りをつけて、うつぶせになる
②両足を上げた状態で、50数える。数え終わったら、両足を下ろす
③片足だけを上げ、②と同様に50数えて下ろす。反対の足も同様に行う


この記事は『安心』2021年5月号に掲載されています。
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