解説者のプロフィール

堀之内裕史(ほりのうち・ゆうじ)
アクア整骨院グループ代表。1974年、大阪府茨木市生まれ。芸人を目指す半ばで、治療の世界に触れ、その道を志すことを決意。整骨院での治療だけでなく、整形外科に就職するなど、積極的に多くの知識を学ぶ。滋賀県で最も愛される整骨院を目指し、「アクア整骨院」グループを現在3店舗経営。ユーチューブなどでの情報発信も精力的に行っている。
鼻腔を外側に押し広げる 分間
「ずっと鼻づまりが治らない」とか、「気づくと、口呼吸になっている」とか、「自分のいびきで目が覚めてしまった」といった症状が出ているあなたは、ひょっとしたら、副鼻腔炎かもしれません。
顔の奥にある骨には、左右に4ヵ所ずつの空洞があります。これが副鼻腔で、この空洞にウイルスや細菌などによる炎症が生じるのが、副鼻腔炎です。
副鼻腔炎による鼻づまりは、治りにくく、つらいものですが、そんな人たちに勧めている鼻づまり解消法があります。それが、「鼻骨ストレッチ」です。
要する時間は、たった2分。2分間行うだけで、詰まっていた鼻がスーッと通ってくる即効性のあるストレッチです。
私はユーチューブで、さまざまな健康法の動画を公開していますが、この鼻骨ストレッチを紹介した動画も、評判のよかったものの一つです。
まず、どこに刺激を与えるか説明しましょう。
押すのは、鼻の両わきの骨(上顎骨)の上にある、小さな穴です。
目の中心から真下に2cmほど下がった一帯を指で押してみてください。骨の上に、少しへこんだ穴が見つかると思います。押すと、圧痛があるところです。この穴が「眼窩下孔」といって、刺激のポイントになります。

次に、ストレッチのやり方です。
最初に、片方ずつ鼻を押さえます。鼻で呼吸をしてみて、ストレッチ前の鼻の通りぐあいを確認しておきましょう。
このストレッチは、立って行ったほうがよいです。背中を丸めずに、できるだけぴんと背すじを伸ばして行います。
眼窩下孔に人差し指か中指を当てて、少し外側に鼻腔を押し広げるイメージで、ジワーっと圧をかけていきます。私は、「おもちをこねるくらい」などと表現していますが、とにかく、あまり強過ぎる力で押さないことを意識しましょう。
その状態で2分間キープ。最後に、ゆっくり鼻をかみます。

1日何回やってもOK。
実際にジワーっと押圧しながら、呼吸をしていると、押しているその最中から、スーッと空気が鼻に入り込んできているのを感じることができるでしょう。
ユーチューブに上げた動画についたコメントでも、「押しているうちに、詰まっていた鼻がみるみるよくなってきた」といった旨のコメントがたくさん並んでいます。
副鼻腔炎が慢性化し、症状が重くなっている人は、頭を前に倒しながら、やってください。なお、このときも背すじはぴんと伸ばしたままで、頭だけを前に倒すようにします。
なかには、より効果を得ようとして、力まかせに押してしまう人がいます。鼻骨ストレッチは、痛みを感じるほど強く押してしまうと、効果が期待できません。ですから、刺激を与える際は、あくまでも痛みを感じない程度の力加減を厳守してください。
顔の骨のゆがみが整い鼻の通りが改善
ではなぜ、この刺激が鼻づまり解消に有効なのでしょうか。
副鼻腔は片側に四つ、左右を合わせると、八つの空洞があります。それぞれ名前がつけられており、鼻のわきの「上顎洞」、目の間あたりの「篩骨洞」、その奥にある「蝶形骨洞」、額の近くにある「前頭洞」です。このうち、最も大きく、炎症によって生じた膿がたまりやすいのは上顎洞です。

顔の骨というのは、すべてカッチリ固まって全く動かないというわけではありません。ちょっとしたきっかけで、わずかにズレることがあるのです。例えば、うつぶせで寝たり、ほお杖をついたりといったことで、ゆがみが生じてしまいます。
眼窩下孔は、上顎洞の上にある穴です。ここを押すことで、生じたゆがみを整えることができます。すると、上顎洞から鼻腔へ抜ける出入り口の通りがよくなって、膿自体も排出されやすくなります。こうして鼻づまりも解消していくのです。
鼻づまりが片方だけの人は、そちらだけを刺激してもかまいません。慢性副鼻腔炎の人は、毎日、朝晩継続して、この鼻骨ストレッチを行うといいでしょう。このストレッチは、花粉症の人にもお勧めです。

この記事は『壮快』2021年5月号に掲載されています。
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