腸が正常に機能していれば、腸に入ってきた食物から栄養を十分に吸収することができます。きれいで栄養豊富な血液が全身を巡ると、細胞レベルから体が元気になります。代謝が上がるので、体温も向上。自律神経も正常に機能するようになり、免疫力もアップするのです。【解説】小林弘幸(順天堂大学医学部教授)

解説者のプロフィール

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小林弘幸(こばやし・ひろゆき)

順天堂大学医学部教授。自律神経研究の第一人者。順天堂大学で日本初の便秘外来を開設。『医者が考案した「長生きみそ汁」』(アスコム)など、自律神経や腸に関する著書多数。

腸内環境を整えて細胞レベルから健康に

私は以前から、タマネギと納豆を組み合わせた「タマネギ納豆」を、患者さんにお勧めしています。

タマネギ納豆は、タマネギ、納豆それぞれの健康効果を最大限に引き出す、最高の組み合わせです。腸内環境を整え、生活習慣病の改善や、アンチエイジング効果が期待できます。

腸内環境を整えることには、非常に多くのメリットがあります。腸が活発に働くと、便通がスムーズになります。便秘は血液が汚れる原因の一つですから、便秘の解消は、血液の浄化につながります。

また、腸が正常に機能していれば、腸に入ってきた食物から栄養を十分に吸収することができます。吸収された栄養は、腸の血管から取り込まれます。

きれいで栄養豊富な血液が全身を巡ると、細胞レベルから体が元気になります。

また、全身にくまなく血液が行き渡れば、内臓の働きもよくなります。代謝が上がるので、体温も向上。自律神経も正常に機能するようになり、免疫力もアップするのです。

このように、血液の質をよくすることが、全身の健康度を高めます。そのためには、腸内環境を整えることが大変重要なのです。

腸の中には、100兆〜1000兆個以上ともいわれる腸内細菌が棲んでいます。この細菌類は、その役割から三つに分けられます。

体にいい影響を与える「善玉菌」と、悪い影響を与える「悪玉菌」、そしてどちらでもない「日和見菌」です。

善玉菌が増えると、腸が活発に動くようになり、機能が正常に保たれます。便通の改善により血液がきれいになるので、健康度が高まります。

一方、悪玉菌が増えると、腸の動きが悪くなります。腸内での栄養の吸収率も低下します。

加えて、便秘になりやすくなり、それが慢性化すれば、便が腸内で腐敗し、有害な毒素が発生。これが停滞すると、腸内の血管から血液中に入ります。こうしたわけで、便秘が血液を汚す原因になるのです。

そして、細胞の働きも悪くなります。代謝が低下するので、まずは肌荒れ、体重の増加、体の冷え、疲労といった症状が現れます。長期的には、自律神経が正常に働かなくなり、免疫力が低下。結果、健康を大きく損ないます。

腸内環境を整えるには、善玉菌を増やすこと。そのためには善玉菌のエサになる食品をとるのが有効です。そこでお勧めなのが、タマネギ納豆なのです。

ダブルの血液サラサラ効果で脳も肌も若返る

タマネギにも納豆にも、善玉菌の大好物であるオリゴ糖が、豊富に含まれています。加えて、納豆のネバネバのもとである納豆菌は酸に強く、生きたまま腸に届き、腸内で増殖します。その際、やはり善玉菌のエサになる、ブドウ糖や麦芽糖を産生してくれるのです。

タマネギと納豆の健康効果はまだまだあります。

タマネギの有効成分としてよく知られているのが、タマネギの刺激臭のもとになる、硫化アリルです。この成分には血液の凝固を抑制する働きがあり、血栓(血の塊)の産生や動脈硬化を予防します。胃腸の消化を助ける、ビタミンB1の吸収を高めることで代謝を活発にする作用もあります。

ビタミンB1不足によって起こる不眠や精力減退、疲労、食欲不振といった、症状にも効果を発揮します。

また、ポリフェノール(天然色素成分)の一つであるケルセチンの働きもよく知られています。これには、有害な活性酸素の産生を防ぐ、強力な抗酸化作用があり、血管内皮細胞や、脳の若返りに役立つことがわかっています。

タマネギ納豆を食べると、腸内環境の改善で便通もスムーズになり、肌もキレイになりますから、血管や脳の若返りと併せて、アンチエイジング効果があるといえるのです。

納豆に含まれるナットウキナーゼという酵素にも、先述したタマネギの硫化アリル同様に、血栓を溶かす働きがあります。ですから、タマネギと納豆を合わせてとれば、ダブルの血液サラサラ効果が期待できるわけです。

タマネギ納豆の作り方は、とても簡単です(下図参照)。これを週に数回、召し上がってはいかがでしょうか。私自身は、週に2回は食べています。

タマネギ納豆を食べると、早ければ数日のうちにお通じがよくなり、いい変化が現れます。腸内の悪玉菌を増長させる「野菜不足で肉ばかり」といったような食習慣を改めたうえで、タマネギ納豆を継続すれば、高血圧や糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病の改善や、ダイエットにも有効でしょう。

タマネギ納豆の作り方

画像: タマネギ納豆の作り方

【材料】(1食分)
・タマネギ……1/4個(お好みで調整)
・納豆……1パック

【作り方】
タマネギをみじん切りにして、納豆にのせ、添付のたれやしょうゆなどを加えて混ぜる。
週に数回食べるとよい。
タマネギは薄切りなど、好みの切り方でもよい。

画像: この記事は『壮快』2021年5月号に掲載されています。 www.makino-g.jp

この記事は『壮快』2021年5月号に掲載されています。

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