頻尿や便秘、便失禁といった症状改善のための「神経変調治療」と同等の効果が、物理刺激によっても得られるのではないか、と考えて着目したのが「足裏」です。青竹踏みは面で刺激できるため、ちょうどよい力の圧を足裏全体に加えることができるのです。【解説】皆川倫範(信州大学医学部附属病院泌尿器科医師・医学博士)

解説者のプロフィール

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皆川倫範(みながわ・とものり)

1976年、神奈川県生まれ。2010年、信州大学大学院医学研究科修了。医学博士。2010〜2012年にベルギーのアントワープ大学に留学。2013年、アントワープ大学で学位取得。2015年より、信州大学医学部附属病院泌尿器科医師。信州大学で講師も務める。専門は、超音波医学、排尿生理学、再生医療、泌尿器科ガン、内視鏡外科手術、漢方医学。

膀胱に対応するツボを足裏に発見!

近年、頻尿や便秘、便失禁といった泌尿器系・消化器系の症状改善のために、「神経変調治療」が用いられるようになってきました。もともと、欧米を中心に行われ、ここ数年で日本にも導入されるようになった新しい治療法です。

これは、ふくらはぎの外側近くから足裏にかけて走行する腓腹神経などに、電気や磁気、干渉低周波などで刺激を与え、知覚神経を活性させるものです。それによって膀胱や腸の機能を向上させ、頻尿や便秘などの症状を快方へと導きます。

しかし、これには当然ながら特別な医療機器が必要です。そこで私は、これと同等の効果が物理刺激によっても得られるのではないか、と考えました。その刺激を加える場所として着目したのが、「足裏」です。

足裏が適当だと考えたのは、神経変調治療を基にした現代の医学的見地によるものだけではありません。東洋医学の観点から見ると、ちょうど足裏の土踏まず辺りには、膀胱と大腸に対応するツボがあるのです。

私は、このツボの模式図を温泉の脱衣所で目にし、刺激を与えるには足裏しかないと直感的にひらめきました。さらに、足裏には知覚神経が密集しており、刺激しやすい場所であることも利点です。

では、実際にどのような刺激がよいのかと考えたときに、すぐに思い浮かんだのが「青竹踏み」です。

手の指、あるいは木の棒などを用いたマッサージでは、力を強くし過ぎたり、反対に弱くし過ぎたりしがちです。これでは、安定的な効果は望めないでしょう。

その点、青竹踏みは行う人の体重に応じて、刺激の標準化が可能です。さらに、通常のマッサージでは「点」を刺激するのに対し、青竹踏みは緩やかなカーブを描く「面」で刺激できます。これによって、ちょうどよい力の圧を、足裏全体に加えることができるのです。

1日の排尿回数が有意に減少した!

そこで私は、青竹踏みによる効果を調べるために、実際に臨床試験を行いました。頻尿や便秘、冷え症に悩む22人の患者さんにご協力いただき、28日間にわたって、毎日朝晩の2回、約2分間ずつ青竹踏みをしてもらったのです。

試験前後で排尿の量と回数をそれぞれ計測し、その差を比較しました。その結果、1日の排尿回数が平均して1回以上有意に減少し、就寝時の排尿回数も平均0.2回ほど減少しました。さらに、1回の排尿量も平均42ml増加したのです。もちろん、摂取する水分量は、試験前後で変わりません。

これらの数値は当初、私が予想していた結果を大きく上回るものでした。この臨床試験によって、青竹踏みを日常的に続けることで、膀胱に蓄えられる尿の量が増加し、頻尿の改善が大いに期待できることが示されたのです。

さらに、青竹踏みは便秘や冷え症にも有効でした。10年以上便秘に悩んでいたかたは、お通じがとてもよくなったと大変喜んでいました。手のひらの体表温度も上がり、青竹踏みを行うと体がポカポカ温かくなると皆さんおっしゃっていました。便秘や冷え症を改善するための一助になることも示されたといえるでしょう。

青竹踏みの効果は、これだけではありません。この臨床試験とは別の機会に、抗がん剤の副作用によって手足がしびれて悩んでいるかたに、青竹踏みを毎日続けてもらったことがありました。足への刺激が効果的だったのでしょうか。そのかたは足のしびれがとても楽になったといいます。残念ながら、手のしびれには変化は見られませんでした。

皆さんご存じのように、青竹踏みは古くから実践されている民間の健康法の一つです。やはり、昔から体にいいといわれていることにはそれなりの理由があると、私自身、試験を通して実感しました。

加えて、その健康効果はいまだ未知数でもあり、ほかにもさまざまな病気の改善に役立つのではないかと思っています。

なにより、青竹踏みはお金もかからず副作用もありません。頻尿や便秘、冷え症、足のしびれにお悩みのかたは、ぜひ気軽に試してはいかがでしょうか。

青竹踏みのやり方

縦半分に切った、約40cm長さの青竹を用意する。

足裏の土踏まず辺りで、両足を交互に替えながら、2分間踏む。

これを毎日、朝晩に1回ずつ行う。

画像: 【青竹踏みの健康効果】膀胱に蓄えられる尿量が増え頻尿が改善 便秘や冷え性、足のしびれにもおすすめ
画像: この記事は『壮快』2021年4月号に掲載されています。 www.makino-g.jp

この記事は『壮快』2021年4月号に掲載されています。

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