免疫力を高めるには、「空腹の時間をつくること」と「体を温めること」の二つがキーポイント。その二つを同時に、手軽に実践できるのが、ショウガのすりおろしを入れた紅茶を、朝食代わりに1〜2杯飲む「朝だけ断食」です。ウイルスなどの感染リスクを大幅に下げられます。【解説】石原結實(イシハラクリニック院長)

解説者のプロフィール

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石原結實(いしはら・ゆうみ)

イシハラクリニック院長。1948年長崎県生まれ。長崎大学医学部卒業。医学博士。同大学院博士課程修了後、スイス、モスクワ、コーカサス地方などで自然療法や断食療法、長寿食などの研究を行う。1982年、イシハラクリニックを開院。テレビ、ラジオ、雑誌などへの出演も多い。『ショウガを食べるとキレイにやせる』『石原結實の「体温を上げて超健康になる」CDブック』(ともにマキノ出版)など著書・監修書は300冊を超える。

空腹と体の温めで免疫力は上がる

カゼなどで体調をくずしたとき、「体力をつけなければ」と無理にでも食べる。そんな人がわりといます。実はこれは間違いで、免疫力(病気に対する抵抗力)を下げる行為です。免疫力を高めたいなら、逆に「空腹」にしなければなりません。

なぜ空腹にすると免疫が高まるのか。それは、私たちの細胞に「オートファジー(自食作用)」という、細胞内の古いたんぱく質や老廃物、ウイルスなどの不要物を細胞自身が食べるしくみがあるからです。

2016年、東京工業大学栄誉教授の大隅良典先生が、このオートファジーの研究功績でノーベル生理学・医学賞を受賞されました。

オートファジーをうまく働かせれば、免役力を大きく高めることができます。そして、このしくみが働くためのスイッチになるのが「空腹」なのです。

私自身、大学院時代に白血球(免疫のしくみの中心となって働く血球細胞)の観察をしていたとき、空腹時と体温上昇時ににその活性が高まることを確認しました。

そもそも体温が低いほど免疫力が下がり、体温が上がると免疫力が上がることはよく知られています。だからこそ、ウイルスや細菌が侵入すると、体は発熱して免疫力を高めるのです。

つまり、免疫力を高めるには、「空腹の時間をつくること」と「体を温めること」の二つがキーポイントなのです。

血行促進と抗ウイルス作用があるショウガ紅茶

その二つを同時に、手軽に実践できるのが、ショウガのすりおろしを入れた紅茶を、朝食代わりに1〜2杯飲む「朝だけ断食」です。

私の提唱している「石原式・朝だけ断食」では、以下のような方法を勧めています。

朝食=ショウガ紅茶1〜2杯
昼食=ソバなど軽いもの
夕食=いつもの食事を腹八分目にとる(なるべく和食)。アルコールもOK。

こうすると、前日の夕食後から、翌日の昼まで固形物をとらないことになるので、オートファジーのしくみを十分働かせて、高い免疫力を保つことができます。

食間に空腹感を感じたら、間食代わりにも適量(自分がおいしいと感じる量)の黒糖を入れたショウガ紅茶を飲むとよいでしょう。

空腹感は、胃腸にものがないからではなく、血糖値が下がることで起こります。黒糖を入れたショウガ紅茶を飲めば、血糖値が適度に上がって空腹感がなくなります。

さらに、ショウガは高い血行促進作用で体を温めるとともに、殺菌作用や抗ウイルス作用があります。

一方、紅茶の色素であるテアフラビンにも、抗ウイルス作用があります。通常の紅茶の濃度の五分の一の薄さでもインフルエンザウイルスが無力化するという研究があります。

最近、新型コロナウイルスに対しても、緑茶や紅茶が不活化させる効果があると報告され(※奈良県立医大/矢野寿一教授の研究)ましたから、非常に期待が持てます。

ショウガ紅茶を中心にした「石原式・朝だけ断食」を行えば、免疫による体の守りが強固になり、ウイルスなどの感染リスクを大幅に下げられます。自分でできる感染対策として、ぜひやってみてください。

断食まではできないという人も、ショウガ紅茶だけは日頃の食生活に取り入れることをお勧めします。

ショウガ紅茶の作り方

画像1: ショウガ紅茶の作り方

【材料】
ショウガ…1かけ
紅茶のティーバッグ…1個
黒糖…お好みで

画像2: ショウガ紅茶の作り方

【作り方】
ショウガはよく洗い、皮つきのまますりおろす。
※まとめてすりおろし、小さじ1ずつに分け、冷凍しておくと便利。

画像3: ショウガ紅茶の作り方

紅茶を入れる。

画像4: ショウガ紅茶の作り方

すりおろしショウガを小さじ1程度、お好みで黒糖を紅茶に加えて混ぜる。
※ショウガの繊維が気になる人は搾り汁だけ加えてもよい。

画像5: ショウガ紅茶の作り方

いつ飲んでもよいが、朝食代わりにショウガ紅茶を飲むのがお勧め。

画像: この記事は『安心』2021年3月号に掲載されています。 www.makino-g.jp

この記事は『安心』2021年3月号に掲載されています。

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