いつものおかずが何倍もおいしくなる
皆さんの台所には、ゼラチンはありますか? あっても、「お菓子作りにしか使わない」という方が多いのではないでしょうか。
これは、とてももったいないこと。実は、ゼラチンを料理に使うと、いつものおかずが何倍にもおいしくなるんです。
わが家では、ゼラチンを使ったギョーザと豚カツが大人気。2週間も作らないでいると、小学生の息子は「最近、ママのギョーザ、食べてない!」と訴えてくるほど(笑)。
ゼラチン入りのギョーザは、口に入れると、ジュワっと肉汁があふれ、野菜はシャキシャキの食感になります。息子は「毎日食べても飽きない!」と言うほど大好きです。
一方、「ゼラチンの豚カツ食べたいな」と、リクエストしてくるのは、中学生の娘。豚カツは火を通し過ぎると硬くなったり、逆に中心部が生焼けだったりと、加熱の具合がなかなか難しいメニューです。
でも、ゼラチンを使えば、しっかり加熱しても、軟らかくジューシーに揚がります。
私がゼラチンを料理に使い始めたのは8年前。当時、TBSで放送されていた『はなまるマーケット』という朝の番組で、ゼラチンで作ったジュレ(ゼリー状のソース)のメニューを紹介したのがきっかけでした。

「ゼラチンのおかげか、肌ツヤがいいねと言われることはあります」と、”ちょりママ”こと西山先生
食感がよくなりコク深い味わいに
そこから、ゼラチンのさまざまな使い方を研究するようになりました。ゼラチンを入れた物と、入れない物を食べ比べると、その効果はハッキリとわかります。ゼラチンを加えると、味や食感がよくなるのです。
ゼラチンはコーティング力が強く、膜のように食材を覆って、うま味や水分を内に閉じ込めてくれます。
すると、肉はパサつかず、ふっくらジューシーに。野菜もしなっとせず、みずみずしい食感を残したまま仕上がります。
また、ゼラチンは動物の骨や皮が原料です。骨や皮を煮込むと、おいしいだしが取れますよね。同様に、料理に使うと、コク深い味わいになります。
ですから、私にとってゼラチンは調味料の一種。顆粒だしなどに入っている食品添加物が気になる方にも、ゼラチンはお勧めです。
さらに、こういった効果のおかげで、ゼラチンを使った料理は、冷めてもおいしいのが特長。だから、お弁当のおかずや作りおき料理にも、ぜひゼラチンを活用してみてください。
では、私が重宝しているゼラチンの使い方をご紹介します。
①ひき肉料理の下ごしらえのときに混ぜる
ハンバーグなどのひき肉料理の肉だねを作るときに、ゼラチンを加えてこねます。焼き上がりにカットすると、肉汁がドバっとあふれ出て、高級レストランの一品のような味わいが楽しめます。
ギョーザの場合は、野菜を塩もみするときにゼラチンを加えます。野菜から出る水分をゼラチンが吸収するので、野菜の水を切らなくても、ビシャビシャになりません。
②肉や魚に振りかける
豚カツや唐揚げ、魚のフライなどは、下味をつけるときに、ゼラチンをパラパラとまぶします。こま切れ肉なども、調理前にゼラチンを振りかけておくと、味と食感がアップします。
③炒め物に入れる
例えば、チャーハン。具材を炒めるときに振り入れ、その後、ご飯を加えて炒めます。すると、お米の一粒一粒をゼラチンがコーティングするので、パラパラの仕上がりに。
野菜炒めなどを作るときは、炒めている最中にゼラチンを振りかけ、さらに炒めます。すると、野菜の水分が閉じ込められ、シャキッとみずみずしく仕上がります。

④煮物、汁物に加える
お汁や煮汁にゼラチンを入れると、じっくり煮込んだような深い味わいになります。
⑤揚げ油に振りかける
揚げ油にゼラチンを振り入れると、揚げ物やフライのコクが増します。ゼラチン入りの油で揚げたポテトフライは、カリッと香ばしくて、子どもたちの大好物です。
ちなみに、私が使っているのは5gごとに個包装されている顆粒状のゼラチンです。1袋使い切ることもあれば、少量だけ使って輪ゴムで留めておくこともあります。
下記に、ゼラチンを使った炒め物のレシピをご紹介していますので、ぜひお試しください。
ちょりママのおすすめレシピ
ニラ鶏炒め

料理・レシピ・スタイリング・撮影/西山京子「ちょりママ」(料理家)
材料(4人分)
鶏むね肉……2枚(約600g)
タマネギ……1/2個(100g)
ニラ…………1束
油……………大さじ1
Ⓐゼラチン(粉末)…1袋(5g)
酒……………………大さじ2
塩……………………小さじ1と1/3強
粗びきコショウ……適量
Point▶︎ 終始、強火で炒める
❶鶏むね肉はV字にそぎ切りにする。タマネギはくし切りにする。ニラは4cm長さに切る。
❷ポリ袋に鶏肉、タマネギ、Ⓐを入れて軽くもみ、室温で10分ほど置く。
❸フライパンに油をひき、強火で熱し、②を入れて炒める。
※肉に焼き色がついたら、肉の位置を変える焼き方がお勧め。
❹8割程度火が通ったら、ニラを加えてひと炒めする。
[別記事:ゼラチンで肌の水分量がアップ→]

この記事は『安心』2021年3月号に掲載されています。
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