プロフィール

小宮浩信(こみや・ひろのぶ)
1983年生まれ。マセキ芸能社所属のお笑い芸人。成城学園中学校在学時の同級生相田周二とお笑いコンビ「三四郎」を2005年に結成。転倒して前歯が欠け、滑舌が悪くなるも、それを武器にしてお笑い芸人としてブレイク。『青春高校3年C組』(テレビ東京)、『Dearボス トップの秘密のぞき見バラエティ』(HTV広テレ!)などのレギュラー番組や、ラジオ『三四郎のオールナイトニッポン』(ニッポン放送)で活躍。
芸人の間で踏み台がブームに
僕が「踏み台昇降」にハマるきっかけになったのは、バブルネタでおなじみのお笑い芸人・平野ノラちゃんのお勧めがあったからです。
2年半くらい前、いろんな芸人さんと一緒に仕事する機会があって、休憩時間にノラちゃんが「踏み台昇降やろう!」って言ってきたんですよ。
ノラちゃんは当時「踏み台昇降で3kgやせた!」とかで、やたらと熱心に勧めてくるんですよ。そのときの現場にいた芸人さんたちは、確かニッチェとか、ドランクドラゴンさんだったと思うんですが、「それじゃあ、皆でやろうか」ということになったんです。
僕は正直、最初はやりたくなかったですよ。運動もそんなに得意な方でも好きな方でもないですし。それに、「芸人なんて、健康を気にして運動するもんじゃねーだろ!」と思いましたけどね。
ノラちゃんが「あんた最近、体調をくずしてラジオ休んだでしょ。これやったら体が丈夫になるから。1回やってみなよ!」と言うんです。
まあ、確かにレギュラーのラジオ番組を休んで迷惑かけたし、そこまで言うなら……。
簡単そうに見えるけど、実際やってみると、これが意外としっかり運動になるんです。
血行がよくなって舞台で声が出る
僕も含めて、皆、最初は「大したことないだろ?」ってナメてかかるんですよ。
そのときのやり方ですが、テンポが速めの音楽をかけて、時折、踏み台に上るときに腰をひねったりしていましたね。
思ったよりも負荷が高くて、10分続けたら、もう全員無言。20分もたったら、すっかり汗だくですね。
で、汗を拭いたときに、自分でも驚いたんですけど、「気持ちいい~!」って声に出して、言っちゃってたんですよ。なんとも言えない心地いい疲労感があって、脳まで活性化したっていう感じでしたね。
それに、その後の舞台では、なぜか声がよく出る気がしました。血行がよくなって、のどの周りの筋肉がほぐれたりするのかなと思います。
「こりゃ、いいや!」と思って後で調べたら、踏み台昇降は下半身の筋肉をつけたり、脂肪を燃焼させたりする効果もあるということで、毎日やってみようかという気になったんです。

踏み台昇降でのどの調子が絶好調に!
ロケ中も忘れられない踏み台昇降の快感
それで、次の日も朝から晩まで1日通しての外ロケだったんですけど、もう、あの快感が忘れられないんですよ。
遊園地のロケでジェットコースターに乗ってるときも「うわ~っ、怖い、怖い!」とか叫びながら、心のどこかでは「踏み台してぇ……」って思ってるんですよ(笑)。
ロケの後の打ち上げで「カンパ~イ!」ってやってるときにも「踏み台してぇ……。もう早く帰りたいな」とか思っちゃってました。
帰宅して、「これでようやく踏み台できるぞ!」と思ったら、家に踏み台がなかったんですよね。
どうしようかなと思って、ネットで検索したら「雑誌を積み重ねて、ひざの半分くらいの高さにした台でもいい」と書いてありまして。でも、家にあまり雑誌がなかったので、自分が出演したラジオやテレビ番組の台本まで重ねて、ひもで縛って台を作りました。
『踊る!さんま御殿!!』や『ダウンタウンDX』といった大先輩の番組の台本を踏み台にするのは、気が引けましたけどね。「超えてやる!」みたいな意図を感じるじゃないですか?
でも、とりあえず台本を重ねて作った踏み台で「踏み台欲」は満たされて(笑)。
ただ、雑誌を縛って作った台だと、長時間やってると、どうしてもズレてきちゃうことがあります。また、ソファを踏み台にしたこともありますが、乗ったときに足が沈んで、どうにもやりにくかった。それで結局は後日、高さを調節できる専用の踏み台を購入しました。
踏み台昇降は、段差さえあれば、いつでも、どこでもできるのがよい点です。
踏み台昇降にちょうどいい段差のことを、僕は「小上がり」と呼んでるんですが、普段からアンテナを張っていて、仕事で行った先や街中を歩いてるときにも「おっ、あそこにいい小上がりがあるぞ!」とチェックするのが癖になっています。
それで空き時間があったら、そこに行って、踏み台昇降やるんですよ。例えば、近所の駐車場の車止めがちょうどいい高さの小上がりで、そこにはよく通いましたね。

階段などのちょっとした段差で踏み台昇降を行うという小宮さん。
屋外やスタジオでできる空き時間を有効活用
踏み台昇降って、外でやっててもギリギリ「怪しくない」と思うんです。
これが寝っ転がったりしなきゃいけないと、人目が気になるけど、踏み台昇降なら、もし人から変な目で見られたら、パッと止めて、普通の体勢に戻れるし。
だから、僕はあまり周りを気にせずにやってましたけど、もしかしたら、それ見て「あいつ何やってるんだろう?」と思っていた人もいたかもしれませんね。
テレビのスタジオや劇場の場合は「箱馬」っていうんですけど、木の台が必ず置いてあるんですよ。それがちょうどいい高さなので、よく借りてやってました。
それと、仕事の空き時間にやるときには、けっこうビショビショに汗をかきますから、必ず替えのTシャツ1枚は持っていくようになりました。
逆に、空き時間があるのに、小上がりが見つからなくて、踏み台昇降できないと、イライラしちゃうんですよ。
新幹線に乗ってるときに、広島から東京まで4時間もあるから「踏み台やりたい!」と思って、車内を見たんですけど、小上がりがどこにもないんですよ。
「普通車ならともかく、グリーン車には小上がりついてないの?」なんて思ったこともありましたね(笑)。
家でやるときは、テレビを見ながらとか、あんまり頭を使わないものならゲームをやりながらとか、何かしながら運動できるのもよいですね。謎解きのあるロールプレイング・ゲームとかは、わけわからなくなってダメですけど。
また、運動の強度を強くしたかったら、上り下りの3回に1回くらい、腰を横にひねる動きを入れるのもお勧めです。
そんな感じで、一時期は毎日30~40分くらいは踏み台昇降をやっていました。今は、そのときと比べると少し熱は冷めましたが、思い出したときに、ちょくちょくやっています。

小宮さんは腰を左右にひねる動きを取り入れている
朝までぐっすり熟睡できる
踏み台昇降を始めてから感じた効果は、よく眠れるようになったことでしょうか。
以前は、寝つきが悪いわけではないんだけれど、3~4時間で目が覚めてしまうという感じでした。それが、途中で目覚めずに、朝までぐっすり眠れるようになりましたね。
僕は番組の収録やロケの移動の都合で、ホテル宿泊になることがよくあります。そういうときも、部屋にちょっとした段差さえあれば踏み台昇降ができるので、よく寝る前にやります。やっぱり体を動かして、適度に疲労感があった方が、しっかりと眠れますね。
それと、僕はもともと、かなりネコ背なんですが、踏み台昇降をやっていると、自然と姿勢がよくなります。
というか、背すじを伸ばさないと、ひざに負担がかかっているというのが、やっていて自分でわかるんですよ。
変な姿勢でやり続けると、ひざが痛くなってきますから。それで、姿勢を意識するきっかけにもなりました。「ヒラメ筋」っていうんですかね、ふくらはぎの筋肉もついた感じがします。
踏み台昇降は、特別な道具や環境も必要ないし、僕のように運動の習慣がなかった人や高齢の人でも、無理なく気軽に始められると思います。
そして、実際にやってみると、とにかく汗をかくのが気持ちいいですから!ぜひ、あの気持ちよさを多くの人に味わっていただきたいですね。

この記事は『安心』2021年3月号に掲載されています。
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