胃腸の調子を整えるのに効果的なツボは「太白」です。胃がしっかり働いて、ぜんどう運動がきちんと行われると、胃酸の分泌が正常化し、食道の括約筋も働くようになります。手の中指にある胃の反射区を刺激するのも有効です。【解説】内田輝和(鍼メディカルうちだ院長)

解説者のプロフィール

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内田輝和(うちだ・てるかず)

1949年、岡山県生まれ。70年、関西鍼灸柔整専門学校卒業。74年、鍼メディカルうちだを開業。現在、倉敷芸術科学大学生命科学部健康科学科鍼灸専攻客員教授、日本良導絡自律神経学会執行部理事、岡山県鍼灸師会会長。岡山県武術太極拳連盟会長。著書に『大学教授が教える「本当に効くツボ」』(マキノ出版)。
▼鍼メディカルうちだ(公式サイト)

胃腸の調子を整える足のツボ

胸やけ、ゲップ、のどのつかえ、酸っぱいものがこみ上げるなどの症状を引き起こす逆流性食道炎

その原因は、ストレス、食べ過ぎ、冷たい物やお酒の飲み過ぎで胃の働きが低下し、胃酸の分泌に異常が起こっていることが一つ。加えて、加齢や運動不足によって、食道の括約筋が緩んでいるために、胃液が上がってきてしまうことがあります。

とはいえ、括約筋を直接鍛えることは不可能です。ですから、対処法としては、まず胃の働きを改善することです。胃がしっかり働いて、ぜんどう運動(内容物を送り出す動き)がきちんと行われると、胃酸の分泌が正常化し、食道の括約筋も働くようになります。

今回は、そのために有効なツボ刺激のやり方をお教えしましょう。

胃腸の調子を整えるのに効果的なツボは、「太白(たいはく)」です。

太白の位置は、足の親指(母趾)の根もと、側面の出っ張った骨のすぐ後ろ。ここには脾経という経絡(一種の生命エネルギーである気の通り道)が通っていています。胃腸の働きが低下している人は、押さえると少し圧痛を感じるはずです。

画像: 胃腸の調子を整える足のツボ

そのツボに手の親指を当て、圧をかけながら、円を描くように押しもみます。痛気持ちいいくらいの強さで、10秒ずつ5回、刺激しましょう。特に重要なのは左足ですが、できれば右足も行うことをお勧めします。※高熱があるときは、ツボ刺激は行わないでください

胃の調子が悪い人は、食事の時間になっても、あまりおなかがすいたとは思わないかもしれません。その対策としても、ツボ押しはお勧めです。食事の2時間くらい前に行うのがベストでしょう。ただ、朝は難しいと思うので、食事の2時間後でもかまいません。

いずれにしても満腹時と、寝る前は避け、食間に1日3回程度行うようにしてください。

胸やけが気になったときにも押すとよい

それからもう一つ、手の中指にある胃の反射区を刺激するのも有効です。

中指の手のひら側には、頭から膀胱までの臓器がすべて、反射区として投影されています。胃の反射区があるのは、左手中指の第2関節と第3関節の間、真ん中よりやや第2関節寄りのところです。

画像: 胸やけが気になったときにも押すとよい

そこを、反対の手の親指の先で、やはり10秒ずつ5回、刺激しましょう。反射区は少し強めに押したほうが、効果が出やすいです。ただし、爪で皮膚を傷つけないよう、注意してください。※高熱があるときは、ツボ刺激は行わないでください

太白のツボと同様、食間に刺激するほか、中指の胃の反射区は胸やけなどの症状が気になるときにも、押してみるとよいでしょう。できれば右手にも行うことをお勧めします。

ストレスが強い人は、脳の反射区に当たる中指の先端も刺激すると、自律神経を調整することができるので、より効果的です。

私はこれらのツボ刺激を、患者さんに自分でも行うよう勧めています。

その1人、50代の女性はストレスを抱え、胸やけやゲップ、のどのつまりを訴えていました。病院で処方された薬を飲んでも、効果はなかったといいます。

そこで、当院でお灸などの治療を行うとともに、自分でもツボ刺激を実践していただきました。すると、2ヵ月ほどで逆流性食道炎の症状が改善。その後は予防のために、たまに来院する程度になりました。

このように、薬が効かない人でもツボ押しは有用な場合があります。薬は飲み続けていると、それに頼って胃の働きがますます悪くなります。最初は薬と併用しながらでもかまいません。胃の働き自体をよくするケアを行って、根本的な解決を目指しましょう。

また、どんな病気にもいえることですが、一度弱ったところは、たとえ症状が治まっても、条件が揃うとまた再発します。それを予防するためにも、生活習慣に気をつけ、ツボ刺激などで常にケアしておくことは、とてもたいせつなことです。

なお、高熱があるときは、ツボ刺激は行わないでください。

画像: この記事は『壮快』2021年3月号に掲載されています。 www.makino-g.jp

この記事は『壮快』2021年3月号に掲載されています。

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