睡眠中の口呼吸は副交感神経の働きを阻害し、血圧の上昇を促します。また睡眠時無呼吸症やイビキの人は、口テープをして口を閉じて寝るようにしてください。口を閉じることで下あごが上に移動するので、それにつられて舌が持ち上がり、気道の閉塞が弱まるのです。【解説】今井一彰(みらいクリニック院長)

解説者のプロフィール

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今井一彰(いまい・かずあき)

みらいクリニック院長。NPO法人日本病巣疾患研究会副理事長。1995年、山口大学医学部卒業。2006年に福岡市博多駅前にみらいクリニックを開業後、さまざまな方法を駆使しながら、薬を使わずに体を治す独自の治療を行う。「あいうべ」による息育や「足指を伸ばす」ことによる足育の普及にも力を入れている。著書に『免疫を高めて病気を治す 口の体操「あいうべ」』、『マンガ 医師が教える足指のばし』『1日4分でやせる!ゆるHIIT』(いずれもマキノ出版)など多数。
▼みらいクリニック(公式サイト)

睡眠の質が低下して自律神経が乱れ血圧上昇

高血圧の原因はさまざまですが、口呼吸もその一つです。

なぜなら、口の体操「あいうべ」や「口テープ」を始めてから、血圧が下がって安定し、薬も不要になったという人が少なくないからです。

特に、睡眠中の口呼吸が、睡眠の質を低下させ、血圧を上げる要因になっていると考えられます。

鼻呼吸をしているとき、私たちの口の中は、唾液で潤っています。これにより口の中のバリアができ、細菌の繁殖や炎症を防いでいるのです。

ところが、睡眠中はただでさえ唾液の分泌がへります。そんなときに、口呼吸をしていると、口の中の乾燥がひどくなり、バリアの役目を果たせなくなります。すると、口の中で細菌が繁殖して炎症が起こります。さらに口呼吸を続けることで、その炎症が慢性化するのです。

口の中に慢性炎症があると、当然、よい睡眠はとれません。睡眠の質の低下は、日中の眠気や倦怠感を生み、そのストレスが自律神経(意志とは無関係に内臓や血管の働きを支配している神経)の乱れを引き起こします。その結果、血圧が上昇するのです。

通常、睡眠中は自律神経のうち、リラックスの神経といわれる副交感神経が優位になるので、血管の緊張が緩み、血圧が下がります。ところが、睡眠中の口呼吸は、副交感神経の働きを阻害し、血圧の上昇を促します。

口の中が乾燥して夜中に目を覚ます、朝起きるとのどがカラカラ、口の中が粘ついている、イビキをよくかく、そういう人は睡眠中に口呼吸をしている可能性が大いにあります。そして、睡眠中の口呼吸で、高血圧を引き起こしているといえるのです。

画像: 睡眠時の鼻呼吸で睡眠の質を改善。

睡眠時の鼻呼吸で睡眠の質を改善。

倦怠感や日中の眠気が改善

睡眠時にイビキをかく人は多いのですが、それがひどくなると睡眠時無呼吸症を引き起こす危険があります。

睡眠時無呼吸症は、睡眠時に呼吸が止まる病気です。一晩(7時間)の睡眠中に10秒以上の呼吸停止(無呼吸)が30回以上、あるいは睡眠中の1時間に無呼吸が5回以上あるケースと、医学的には定義づけられています。

たびたび呼吸が止まるため、睡眠の質が悪くなり、日中に突然、眠気や疲労感におそわれたり、集中力が低下したりします。それが、事故や突然死を招くので、大きな社会問題となっています。

この、イビキや睡眠時無呼吸症を起こす主な原因となるのが、舌の位置です。

睡眠時は、筋肉である舌の緊張が緩みます。舌の根元は下あごにありますから、重力の影響も加わり、舌はのどのほうへ落ち込みます。そのため、気道は狭くなって呼吸をしづらくなってしまうのです。

気道が狭い状態で息を吐くと、のどの奥が振動してイビキをかきます。気道が閉塞すると、呼吸が一時止まってしまいます。

口呼吸になっている人は、舌の筋肉が衰えているので、その状態はなおさら悪くなります。

画像: 口呼吸で舌がのどに落ち込んで、気道が狭くなると、息を吐くとき、のどが振動してイビキをかく!

口呼吸で舌がのどに落ち込んで、気道が狭くなると、息を吐くとき、のどが振動してイビキをかく!

睡眠時無呼吸症やイビキの人は、寝ているときに、たいてい口が開いています。そこで、口テープをして口を閉じて寝るようにしてください。それだけで、症状が軽くなります。

口を閉じることで下あごが上に移動するので、それにつられて舌が持ち上がり、気道の閉塞が弱まるのです。

画像: 口テープで口を閉じると、あごが上がると同時に舌も持ち上がる。気道の閉塞が弱まって、イビキや睡眠時無呼吸症が軽減!

口テープで口を閉じると、あごが上がると同時に舌も持ち上がる。気道の閉塞が弱まって、イビキや睡眠時無呼吸症が軽減!

もちろん、口の体操「あいうべ」も行いましょう。日ごろから、舌を鍛えて口を閉じられるようにしておくと、睡眠時であっても舌が気道を塞ぐことが少なくなるからです。

では、睡眠時無呼吸症が改善した2例をご紹介しましょう。

Aさん(50代・男性)は、無呼吸症の回数が1時間に平均で50回以上ありました。そのため、昼間の居眠りも多く、睡眠時には、鼻から空気を送って気道を広げるCPAPという人工呼吸器を使っていました。

まず、睡眠時に口テープをしてもらったところ、無呼吸の数は20回にへりました。そこで今度は、Aさんに、睡眠時の口テープと「あいうべ」を毎日30回、6ヵ月ほど行ってもらったところ、無呼吸の数は1回に激減。現在は、CPAP治療も不要になりました。

もう一人のBさん(40代・女性)は、極度のだるさ、日中に眠いという症状があり来院されました。検査すると、Bさんも睡眠時無呼吸症と診断されました。睡眠時の無呼吸の数は1時間に平均で15回ありましたが、口テープをすると9回にへりました。

さらに、「あいうべ」を1日30回行ってもらい、6ヵ月後に再び検査したところ、口テープをしないと3回、口テープをしたら無呼吸数がゼロになりました。今は、だるさや眠さもなくなり、朝の目覚めもよくなったそうです。

高血圧や睡眠時無呼吸症、イビキ、寝つきの悪い人などは、寝る前に「あいうべ」を10回行ってから「口テープ」をしてください。続けていると、質のいい睡眠が取れるようになり、症状も改善してくるはずです。

質のいい睡眠が取れると、脳や全身の疲労が取れます。爽快な朝を迎えられ、健康で充実した1日を過ごせるようになるでしょう。

なお、睡眠前の過度の飲酒や、睡眠薬の服用などは、舌の落ち込みを助長することになりますから、気をつけてください。

画像: この記事は『壮快』2021年3月号別冊付録に掲載されています。 www.makino-g.jp

この記事は『壮快』2021年3月号別冊付録に掲載されています。

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