逆腹筋は、鍛えにくいわき腹の外腹斜筋と内腹斜筋や、インナーマッスルである腹横筋を鍛えることができます。続けると、ウエストがしっかり締まってきますし、ぽっこり出ていたおなかも引っ込みます。いわゆるコロナ太りにお悩みのかたも、ぜひチャレンジしてください。【解説】堀之内裕史(アクア整骨院グループ代表)

解説者のプロフィール

画像: 解説者のプロフィール

堀之内裕史(ほりのうち・ゆうじ)

アクア整骨院グループ代表。1974年、大阪府茨木市生まれ。芸人を目指す半ばで、治療の世界に触れ、その道を志すことを決意。整骨院での治療だけでなく、整形外科に就職するなど、積極的に多くの知識を学ぶ。滋賀県で最も愛される整骨院を目指し、「アクア整骨院」グループを現在3店舗経営。ユーチューブなどでの情報発信も精力的に行っている。

腰への負担を減らしつつ体幹前面の筋肉を刺激

逆腹筋」というエクササイズをご存じでしょうか。

皆さんもよく知っている、一般的に腹筋と呼ばれる運動は、あおむけの姿勢から、背中を丸めて体を起こし、おなかを縮ませます。

一方、逆腹筋は、立ったまま行います。背中を丸めるのではなく、逆に反らして、おなかを伸ばすのです。

これは、『林先生の初耳学』(TBS)というバラエティー番組で、2019年秋に紹介されて、話題になった運動です。

今回、ご紹介するのは、テレビで紹介された逆腹筋に、私なりの改良を加えたものです。

テレビで紹介されていた逆腹筋は、直立した姿勢から、頭の後ろで両手を組み、真っすぐ背中を後ろに反らします。この姿勢が腰痛のあるかたにとっては、負荷がかかり過ぎる場合があるかもしれません。

そこで、私は腰痛のリスクをできるだけ小さくする工夫を加えました。それが、足を前後に開くという点です。こうすることで骨盤が安定し、腰に負担がかかりにくくなるのです。

かつ、トレーニング効果がより高まるように、手の動きにも改良を加えました。頭の後ろで組むのではなく、手の甲を頭上で合わせるのがポイントです。このポーズをとることで、全身を有効に使った運動となるのです。

私が提唱する逆腹筋の詳しいやり方は、下項を参照してください。

足の親指(母趾)を上げることも重要なポイントです。できる人は左右10本の指をすべて上げるのが理想ですが、特に前に出したほうの足の親指は絶対に上げてください。こうすることで、体幹の前面の筋肉全体がより緊張するようになり、よい刺激を与えることができます。

そして、体を反らすときや、反らした状態から戻すときは、いずれも息を吐きながら動かしましょう。吸った息を吐ききるつもりで体を動かすイメージです。

テレビで紹介された逆腹筋は、短期間でウエストが縮まったと紹介されていました。もちろん個人差はありますが、私がここでご紹介する逆腹筋も、それに勝るとも劣らない効果が期待できます。

基礎代謝が上がって脂肪が燃える

この逆腹筋に期待できる健康効果をまとめましょう。

ぽっこりおなかが引っ込み、ウエストが細くなる
やせる・太りにくくなる
ネコ背が改善する
腰痛が楽になる
呼吸が深くなる

といったように、特におなかや、腰から背中にかけて悩みを抱える人にお勧めできます。

通常の腹筋運動では、おなかの中央部にある腹直筋を鍛えることはできても、その周りにあるほかの筋肉を十分に鍛えることができません。

画像: 基礎代謝が上がって脂肪が燃える

逆腹筋が優れているのは、そういったふだん鍛えにくいわき腹の外腹斜筋と内腹斜筋や、おなか全体を包むインナーマッスルである腹横筋を鍛えることができる点です。続けると、ウエストがしっかり締まってきますし、ぽっこり出ていたおなかも引っ込みます。

実際に試していただくとわかりますが、逆腹筋をすると、すぐに息がはずんできます。これは、頭上で手の甲を合わせることや、足の親指を上げることで、多くの筋肉に効率的に負荷をかけることができるからです。

逆腹筋は効率的な全身運動なので、毎日続けるとしだいに基礎代謝(安静時に使われるエネルギー)が上がっていきます。脂肪の燃焼も促されるため、太りにくくなり、やせやすくなります。

さらに、逆腹筋は姿勢の矯正にも有効です。ネコ背の人の場合、前屈みの姿勢や、丸まった背中を反らすことで、姿勢矯正に役立ちます。同時に、それが背中の筋肉のトレーニングにもなります。背中の筋肉で全身をしっかり支えられるようになると、背すじがピンと伸びます。ストレートネックやスマホ首の改善にも効果的でしょう。

改良型の逆腹筋は、腰痛の改善にも役立ちます。逆腹筋で、腹直筋、腹斜筋、腹横筋が強化されれば、それらが天然のコルセットとして機能するようになり、腰を守ってくれます。重心も安定して、腰によけいな負担がかかりません。こうした相乗効果によって、腰痛の改善にも期待できるのです。

また、私は逆腹筋をする際に、動きながら息を吐ききることを重視しています。これをくり返せば、横隔膜が上下に大きく動くようになり、浅かった呼吸がしだいに深くなってきます。

なお、逆腹筋は、イスに座ったままでも行うことができます。逆腹筋で鍛えたい腹直筋、腹斜筋、腹横筋は、すべて骨盤に付着しているため、イスに座って行っても、立って行った場合と同じような効果が期待できるのです。

やり方は、立っている場合と同様です。イスに腰かけ、足を前後に開いて、前に出した足の親指を立てたら、その足とは逆方向に、体を反らします。

注意点は、イスに座った際、骨盤をまっすぐにしっかり立てて行うことです。骨盤が直立していないと、あまり効果は見込めません。イスに浅く腰かけると、自然と骨盤がまっすぐ立つので、お試しください。

最近は、いわゆるコロナ太りにお悩みのかたも多いかと思います。家にいながらできる全身運動なので、ぜひチャレンジしてください。

逆腹筋のやり方

※左右5回ずつを1セットとし、1日3セット行う。
※足指をすべて上げるのが難しい場合は、最低限前足の親指(母趾)が上がっていればOK。

足を肩幅に開いて立ち、右足を1歩前に出し、両足の指をすべて上げる。

画像1: 逆腹筋のやり方

両手の甲をつける。

画像2: 逆腹筋のやり方

左後ろに向かって、息を吐きながら体を反らす。反らしきったところで、息を整え、息を吐きながら元の位置に戻る。これを5回くり返す。逆側も同様に行う。

画像3: 逆腹筋のやり方
画像: この記事は『壮快』2021年2月号に掲載されています。 www.makino-g.jp

この記事は『壮快』2021年2月号に掲載されています。

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