免疫力はどうすれば高めることができるのでしょうか。重要なのが腸と心です。私たちの免疫の約70%が腸にあるといわれています。残りの30%の免疫は心が関係しています。日々、どんな気持ちで過ごすかで免疫力が違ってきます。私たちの心は自律神経の働きと連動していますから、自律神経も整える方策を取ることが理想的です。【解説】真柄俊一(素問八王子クリニック院長)

解説者のプロフィール

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真柄俊一(まがら・しゅんいち)

素問八王子クリニック院長。1939年、新潟市生まれ。64年、新潟大学医学部卒業。産婦人科医、第一生命医事研究室勤務を経て、2003年に自律神経免疫療法によるがん専門医院、素問八王子クリニックを開業。食事療法、刺絡療法、メンタルケアなどを柱としたがん治療に定評がある。全日本鍼灸学会会員。著書に『がんは治療困難な特別な病気ではありません!』(イースト・ プレス)など多数。

免疫の70%は腸、30%は心が関与

日本では、2人に1人ががんになり、3人に1人ががんで亡くなっています。しかも、新型コロナウイルス(COVID‐19。以下、新型コロナ)は、いまだ世界中で猛威をふるい、我が国でも依然として衰える気配がありません。私たちの健康は日々脅かされているのです。

このような時代に元気で健やかに生きるために、私たちが必要なことは免疫力を高めることです。なぜなら、がんや感染症には免疫力の低下が深く関係しているからです。

免疫は、大きく分けると、三つの働きがあります。

まず、「感染を防ぐ」働きです。体内に侵入してきたウイルスなどの病原体から感染を防いでくれます。

次に「健康を維持する」働き。疲労や病気などから体の回復を助け、体調を維持してくれます。

そして「老化を防ぐ」働きです。新陳代謝を活発にし、体の機能低下や細胞組織の老化を防いでくれます。

こうした免疫の機能が低下すれば、新型コロナに感染しやすくなりますし、がん発症のリスクも高まります。

体内では、毎日数千個のがん細胞が新たに生まれています。免疫機構ががん細胞を見張り、見つけては攻撃してくれるため、がん細胞の増殖が抑えられているのです。

また、免疫のバランスがくずれることでも病気になりやすくなります。免疫が病原体以外のものや自分の細胞を攻撃してしまうのです。アトピー性皮膚炎やぜんそくといったアレルギー性疾患、関節リウマチなどの自己免疫疾患がその代表です。

では、ウイルスの感染やがんを予防し、健康な体を維持するために欠かせない免疫力は、どうすれば高めることができるのでしょうか。

重要なのが、です。

腸には免疫細胞の大半が集まっており、私たちの免疫の約70%が腸にあるといわれています。なぜ腸にこれほど多くの免疫機能が集中しているのでしょうか。

口から肛門までは1本の長い消化管です。つまり、消化管の内側は、体内にありながら外界とじかに接しているのです。

消化管は「内にある外界」ですから、食物といっしょに運び込まれる病原体などにも直接対応しなければなりません。その門番として、腸の免疫機構が働いているわけです。

腸の免疫機構の働きをよくすることは、免疫力アップにつながります。そして、腸の免疫細胞を活性化するのが、腸内に棲む腸内細菌(善玉菌)です。免疫を高めるためには、腸にいい食品を摂取して、善玉菌を増やすことが重要です。

一方、残りの30%の免疫は心が関係しています。日々、どんな気持ちで過ごすかで、免疫力が違ってきます。

加えて、自律神経の働きも重要です。自律神経は、私たちの意志とは無関係に働き、内臓や血管などをコントロールしています。

緊張時に優位になる交感神経と、休息時に優位になる副交感神経の二つがあり、この二つの神経が拮抗して働きながら、身心の機能を調節しています。そして、このバランスがくずれると、免疫力にもマイナスの影響が出てきます。

私たちの心は、この自律神経の働きと連動していますから、メンタル面を強化しながら、自律神経も整える方策を取ることが理想的です。

食事療法などの地道な努力が大事

それでは、腸や心の免疫力アップのために、どのようなことをしたらいいのでしょうか。

私は、2003年に自身のクリニックを開き、多くのがん患者さんを診てきました。治療にあたっては、患者さんの免疫力を向上させることで、がんの治療や再発防止に大きな成果を上げることができました。

例えば、両肺に200個以上あった肺腺がんが4ヵ月の治療で消失したり、膵臓がんと胃がんで余命半年の宣告を受けた人が14年後も元気で過ごしておられたり、といったケースです。こうした奇跡のような事例が多数あります。

しかし、これは奇跡でもなんでもありません。患者さん自身の免疫力をアップさせる地道な努力が実った結果なのです。

私が免疫力向上のために患者さんに勧めている四つの柱についてお話ししましょう。

それは、
食事療法
刺絡療法
メンタルケア
体を温める
の四つです。

私は、がんの患者さんに徹底した食事療法を勧めています。

基本は、肉や乳製品などの動物性食品を完全にやめ、野菜や果物、穀物などの「未加工の植物性食品」を中心とした食事です。健康によい食べ物とは、「植物性か、動物性か」の違いも大事ですが、「未加工の植物性か、それ以外か」という観点がより重要ということです。

最近のインドの研究で、動物性食品をとらないベジタリアンでも、精製した炭水化物や、スナック菓子やファストフードなどの摂取が増えると、予想以上に慢性疾患が増加することが明らかになりました。

二つめの刺絡療法とは、指先や全身のツボを鍼刺激することで、自律神経の調整を行う健康法です。これらの鍼刺激によって副交感神経の働きを活性化し、免疫力向上を目指します。

がん患者さんは、ほぼ全員といっていいほど交感神経優位に傾いています。交感神経優位の状態では、がんをやっつけてくれるリンパ球(白血球の一種)の働きがよくありません。刺絡によって副交感神経優位になると、リンパ球の性能がよくなり、免疫力も上がります。

刺絡療法と同様の考え方から生まれたセルフケアが、「爪もみ」です。これは爪の両わきを刺激することで、自律神経の働きを整える健康法です(やり方は下図参照)。

爪もみのやり方

両手の爪の生え際を、反対側の手の親指と人差し指で両側からつまみ、「少し痛いが気持ちいい程度」の力で、それぞれ10~20秒ほど押しもみする。
すべての指を行って1セットとし、毎日3~5セットを目安に行う。

【刺激する場所】
両手の爪の生え際から、2mmほど指のつけ根側を刺激する。

画像1: 爪もみのやり方

【刺激のしかた】
爪そのものの側面ではなく、つけ根側をもむ。

画像2: 爪もみのやり方

体を温めることも免疫力アップにつながる

がんの治療においても、メンタルがとても重要です。

「がんを絶対に治す」という強い気持ちを持つこと。それが、がんの状態を改善する、あるいは、がんの再発を防ぐためにぜひとも必要な心得なのです。

ゆううつな気持ちや絶望感は、免疫活動を停滞させ、がん細胞を成長させてしまいます。逆に、希望や期待感が免疫力の活性化をもたらすのです。

体を温めることも重要です。がんの患者さんには低体温の人が非常に多いのです。体を温めることは、免疫力アップにつながります。

心肺機能に問題がなければ、3日に1回、42度のお風呂に10分間浸かる入浴法(HSP健康法)を推奨しています。

以上、紹介したこの四つの柱はがん患者さんのためのものです。しかし、免疫を高める効果は抜群ですから、新型コロナなどの感染症や多くの病気を予防するためにも役立ちます。皆さんもぜひ実践して、病気を寄せつけない体になってください。

がん専門医・真柄先生の
「免疫力アップのための4つの柱」
食事療法
 未加工の植物性食品(野菜、果物、穀類など)を中心とした食事
刺絡療法
 指や全身のツボを刺激し自律神経を調整する。セルフケアとして爪もみを推奨
メンタルケア
「絶対に治る」という強い気持ちを持つ。「笑い」「開き直り」も大事
体を温める
 体を温めることで免疫力をアップ。3日に1回、42度のお風呂に10分間入る(HSP健康法)

画像: この記事は『壮快』2021年2月号に掲載されています。 www.makino-g.jp

この記事は『壮快』2021年2月号に掲載されています。

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