解説者のプロフィール

藤井清史(ふじい・きよし)
呑気堂Fujii鍼灸治療院・Tomo整骨院総院長。1968年北海道生まれ。鍼灸師。波動医療やメディカルハーブ、フラワーレメディーといった代替医療の研究に取り組み、洋の東西を問わず「治る治療」を目指す。 著書『11円スリッパで病気が治る! 痛みが消える! 』(マキノ出版)、共著『新しいライフ周波数療法』(風詠社)が好評発売中。
▼呑気堂Fujii鍼灸治療院・Tomo整骨院(公式サイト)
どこにでもある普通のアルミホイルでOK
「歩いていると足腰が痛んで、50mほどしか歩けないのです。なんとかならないでしょうか」
80歳の男性、Aさんは、こうおっしゃって当院にみえました。少し休むとまた歩けるものの、長い距離を歩けないので困っていると言います。整形外科では、「脊柱管狭窄症」と診断されているとのことでした。
そこで私は、鍼治療を行うとともに、Aさん自身にも自宅で、脊柱管狭窄症に効果的な「アルミホイルリング」をはっていただきました。
アルミホイルリングは、スーパーで売っている普通のアルミホイルをリング状にしたものです。これを、症状に対応するツボにはって使用します。当院ではセルフケアだけでなく、鍼が苦手な患者さんや子どもにも使っている治療法です。
脊柱管狭窄症には、最低限、腰の次髎(じりょう)というツボにアルミホイルリングをはるだけと、いたって簡単です。加えて、おなかの天枢(てんすう)と関元(かんげん)のツボにもはると、より効果があります。
Aさんもアルミホイルリングをはったところ、歩ける距離が、50mから100m、200m、3分、10分、1時間と、次第に伸びていきました。1ヵ月後には、痛みを感じることなく、以前のように長い距離を歩けるようになったのです。
Aさんの場合は、当院での施術と併行して行っていただきましたが、自宅でアルミホイルリングをはるだけで、劇的に改善した人もいます。
なぜアルミホイルリングをはるだけで、脊柱管狭窄症にこんなに効果があるのでしょうか。
もともと東洋医学では、西洋医学にはない視点から脊柱管狭窄症を治療します。
東洋医学では、全身を巡る気(一種の生命エネルギー)の不足や滞りが病気を招くと考えます。脊柱管狭窄症の場合は、特に「腎」と「腸」の気が滞ることが、大きく影響すると考えられています。
腎は骨をつかさどる臓器です。また、脊柱管狭窄症の患者さんにはがんこな冷えがあることが多いのですが、腎と腸は、最も冷えの影響が出やすい臓器でもあります。
さらに、私はこれまでの臨床経験から、排尿や生殖器を支配する「陰部神経」も、脊柱管狭窄症と深い関係があると考えています。
例えば、男性の場合だと、陰部神経が支配している前立腺の症状(前立腺肥大、尿もれ)と、脊柱管狭窄症は併発しやすく、どちらかを治療すると、もう一方も徐々に回復します。このことから、これらは双方向に影響していると考えられます。
メビウスの輪の形が効果のポイント
アルミホイルリングは、帯状に折ったアルミホイルの片端を180度ねじって作ります。
これは「メビウスの輪」と呼ばれ、輪の表面をたどっていくと、いつのまにか裏面に行き、無限に続く不思議な形状です。
東洋医学では、経絡(気の通り道)というものがいくつかあると考えています。この経絡も、体内で全てつながっていて、無限に循環しています。無限に循環するメビウスの形は、その気のしくみと合致しています。
そのメビウスの形を、体内の微弱電流に影響するアルミホイルで作ることで、鍼のように体に刺すことなく、気の流れを促せる治療具になるのです。
アルミホイルリングは、体の悪い気(邪気)と自然界のいい気(正気)を、転換させる装置としても働くと考えられます。
実際、脊柱管狭窄症の患者さんで、最初のうちは、アルミホイルリングをはっているときに限って、長距離、長時間歩けるという例も多く見られます。
これは、アルミホイルリングが、自然界のいい気を受け止めるアンテナとして働き、後ろから支えられている状態だからだと私は考えています。アルミホイルリングが、松葉づえのように歩きにくい人の歩行をサポートするということです。
脊柱管狭窄症には強烈な痛み、しびれが伴います。このつらい症状を乗り切るときにも、アルミホイルリングが役立ちます。はり続けていると、外しても、歩けるように回復した例もあります。
簡単にできて、脊柱管狭窄症の症状に大きな効果があるので、ぜひお試しください。
アルミホイルリングのやり方
【ポイント】
●はる位置はだいたいあっていればOK。
●入浴時のはり換え以外は、常にはっていてOK。
●肌に直接はること。アルミホイルリングをはった上から、下着や服を着用しても効果は落ちない。
●アルミホイルリングの大きさを変えても効果は同じ。不器用な人は大きく作ってもよいし、目立つのが嫌な人は小さくてもOK。
【用意するもの】
・アルミホイル
・サージカルテープ
【作り方】
❶アルミホイルを5cmの長さで切る

❷約3mm幅になるまで折りたたみ、3分の1の長さでカットする

❸両端を持って左側を180度ねじる。輪になるように両端をつなげてサージカルテープで止める


【はるところ】
*服や肌着の上からではなく、肌に直接はる。

次髎
お尻の割れ目の少し上の触れるとボコッと尖った骨(尾骨)から、左右に人さし指幅2本分外側で、そこからさらに人さし指幅4本分上に行ったところ。左右にある。それぞれ1つずつアルミホイルリングをはる。

天枢
へそから人さし指幅3本分外側。左右にある。それぞれ1つずつアルミホイルリングをはる。
関元
へそから人さし指幅4本分下。アルミホイルリングを1つはる。

この記事は『安心』2021年1月号に掲載されています。
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