脊柱管狭窄症は、通常は「後ろに反ると痛むタイプ」の腰痛です。一方「前かがみになると痛むタイプ」は、筋・筋膜性腰痛や椎間板ヘルニアが代表的です。私の見解では、原因が脊柱管の狭窄にしかない「100%脊柱管狭窄症」は全体の1割程度。残りの約9割は、二つの腰痛のミックス型です。【解説】酒井慎太郎(さかいクリニックグループ代表)

解説者のプロフィール

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酒井慎太郎(さかい・しんたろう)

さかいクリニックグループ代表。柔道整復師。中央医療学園特別講師。千葉ロッテマリーンズ・オフィシャルメディカルアドバイザー。整形外科や腰痛専門病院、プロサッカーチームの臨床スタッフとしての経験を生かし、腰痛やスポーツ障害の疾患を得意とする。解剖実習をもとに考案した「関節包内矯正」を中心に、難治の関節痛に対する施術を行い、これまで100万人を治してきた実績を持つ。多くのテレビ番組で「ゴッドハンド」として紹介されるほか、プロスポーツ選手や俳優など多くの著名人の施術も手がける。

9割の人が椎間板ヘルニアを併発

腰痛には「前かがみになると痛むタイプ」と「後ろに反ると痛むタイプ」とがあります。

「脊柱管狭窄症」は、通常は後者に分類されます。腰椎(背骨の腰の部分)の後ろ側に脊柱管があり、体を反らすことで神経の圧迫が強まるからです。

一方、前かがみで痛むのは、「筋・筋膜性腰痛」や「椎間板ヘルニア」が代表的です。

従来は、脊柱管狭窄症を改善するには、腰を反らすのと逆の動き、つまり、体を前に丸めるような姿勢や体操がよいと言われてきました。

しかし近年、こうしたセオリーに当てはまらない人が増えてきました。脊柱管狭窄症と診断されているのに、前かがみのときにも痛みが出る人が非常に多いのです。

私の見解では、腰痛の原因が脊柱管の狭窄にしかない、「100%脊柱管狭窄症」は全体の1割程度。残りの約9割は、二つの腰痛のミックス型です。

つまりこれは、椎間板ヘルニアと脊柱管狭窄症を併発している状態といえます。

こういう症例は、画像検査の進歩で脊柱管の狭窄が簡単に見つかるようになったことが一因だと私は考えています。腰痛の原因は狭窄以外にもあるのに、狭窄が見つかったからと、それだけを原因にされがちです。

さて、このミックス型の腰痛を改善するには、これまでの私の施術経験から、「体を丸める」動きだけでなく、「体を反らす」動きも実践したほうがいいことがわかりました。

下項でご紹介する「脊柱管狭窄症の特効体操」は、両方の動きをとり入れています。これは私が発見した、いわば「新常識」です。その効果はてきめんで、体を丸める動きだけでは成果がいまひとつの方々も、腰痛を解消できています。

椎間板ヘルニア型の症状が一つでもあればミックス型!

チェック椎間板ヘルニア型の症状脊柱管狭窄症型の症状
いすに30分以上座っている間や安静時の痛みの有無痛い痛くない
正座をしている間の痛みの有無痛くない痛い
せき・くしゃみが腰に響くか響かないか響く響かない
体を動かしたときの痛みの出方動き始めは痛いが、動いているうちにらくになる動いていると痛みが増す
痛みが現れる時間帯夕方や雨・台風の日
痛みの種類・主に痛む部位ズキンとした激痛が主に腰に現れる重だるい鈍痛が腰よりも足やお尻に現れる

脊柱管狭窄症は腰痛の最終終着点

腰痛は、最初は「姿勢の乱れ」から始まります。現代の生活ではパソコンやスマートフォンの使用、デスクワークなどの影響で、前かがみの姿勢になりがちです。

その影響で、腰椎の関節と骨盤の仙腸関節のバランスがくずれ、腰の負担が増し、まず筋肉や筋膜が傷んで、筋・筋膜性腰痛になります。

さらには、椎間板(背骨を構成する椎骨と椎骨の間にあってクッションの役割をしている軟骨)に負担が及び、椎間板ヘルニアなどに移行します。

この辺りから、ギックリ腰をくり返すようになり、さらに老化が進行すると、腰椎分離症(腰椎の後方部分の椎弓が分離してしまった状態)や脊柱管狭窄症に移行していきます。

このように、前かがみで痛むタイプの腰痛から、後ろに反ると痛むタイプの腰痛へと進行していったパターンが非常によく見られます。だから、両方の症状が出てくるというわけです。

そして、腰痛が重症化した末の最終段階が脊柱管狭窄症だとも言えます。

放置し続けると、やがては寝たきりや要介護になりかねませんから、その前に、腰の老化を食い止める必要があります。

3つの特効体操で痛み解消

そこで、ぜひ特効体操を実践してください。

テニスボールストレッチ」は背骨の土台となる仙腸関節に最適な刺激を与えます。ガチガチに固まった状態がゆるみ、これだけで痛みが消えることもあります。

オットセイストレッチ」は後ろに反る動きですが、痛みのない範囲で無理せずに行ってください。痛みだけでなく、背中から腰にかけての筋肉の張りやだるさも取れます。

太ももストレッチ」は、脊柱管狭窄症による足の痛みやしびれの解消に有効です。

これらの体操に加えて、歩く習慣も大事です。脊柱管狭窄症の人はどうしても歩かなくなりがちですが、ちゃんと歩いたほうが治りが早いです。

また、体を温めて血行をよくすると、症状改善につながります。入浴を活用したり、温カイロをお尻の外側や、ひざ下にはったりするのもお勧めです。

脊柱管狭窄症の特効体操

テニスボールストレッチ(1日1~3回)

【用意するもの】
・テニスボール2個 ・ガムテープ

テニスボール2個をガムテープで、ぴったりとくっつけて固定したものを作成する。

画像1: テニスボールストレッチ (1日1~3回)

あおむけになって、くっつけたテニスボールをお尻の上に当てる。両腕は、バンザイのように頭よりも上にするか、体の横側にするかのどちらかにしておく。1~3分そのままの姿勢を保つ。

画像2: テニスボールストレッチ (1日1~3回)

テニスボールを当てる位置
握りこぶしを作って親指側をお尻の割れ目の直上に当て、そのすぐ上のところ

画像3: テニスボールストレッチ (1日1~3回)

オットセイストレッチ(1日1~3回)

※痛みがない人向け。痛みがある人は、この体操を避けるか、無理のない範囲で行う

うつぶせになり、胸の真横に両手が来るようにして、手のひらを床につける。その姿勢のまま、鼻から大きく息を吸う。

画像1: オットセイストレッチ (1日1~3回)

口からゆっくりと大きく息を吐き、それと同時に手のひらで床を押しながら、上体を起こす。痛みがない範囲の動きで行うのが大切。頭を上げられる人はできるだけ高くする。1~3分この姿勢を保つ。少しでも痛みが出る人は、頭の高さをほんの数cm程度だけ上げるにとどめるか、この体操を行わないようにすること。

画像2: オットセイストレッチ (1日1~3回)

太ももストレッチ(1日1~2回)

痛みやしびれが強い方の足をいすにのせ、指先を外側に開く。

画像1: 太ももストレッチ (1日1~2回)

いすにのせた足と、左右同じ側の手のひらをひざに当て、体重をかけてグーッと押す。そのままの姿勢で1~3分ひざを押し続ける。

画像2: 太ももストレッチ (1日1~2回)
画像: この記事は『安心』2021年1月号に掲載されています。 www.makino-g.jp

この記事は『安心』2021年1月号に掲載されています。

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