バナナは、焼くことによって、ポリフェノールやフラクトオリゴ糖が増加することがわかっています。血管の老化防止効果による動脈硬化、高血圧、脳卒中予防や、腸内環境の改善による免疫力アップ効果も、より高まることでしょう。【解説】赤石定典(東京慈恵会医科大学附属病院栄養部 管理栄養士)

解説者のプロフィール

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赤石定典(あかいし・さだのり)

東京慈恵会医科大学附属病院栄養部係長。管理栄養士。栄養管理のプロとして栄養に関する研究を行い、入院患者の献立の作成や、患者に直接栄養管理の指導やアドバイスも行う。自身が勤務する東京慈恵会医科大学附属病院栄養部が監修した書籍に、『その調理、9割の栄養捨ててます!』(世界文化社)、『慈恵医大病院が考えた、やせ麦丼 』(主婦と生活社)がある。

腸内環境が改善し免疫力もアップする

私は、老若男女を問わず多くのかたに食べていただきたいフルーツとして、バナナを推奨しています。その理由として、バナナの四つの栄養効果が挙げられます。

アンチエイジング効果

バナナには、ポリフェノール(植物由来の抗酸化物質)が多く含まれています。その含有量は赤ワイン、緑茶に並び、食品のなかでもトップクラスです。その強い抗酸化力によって、老化や病気の原因物質である活性酸素を消去してくれるため、アンチエイジング効果が期待できます。

例えば、肌や血管の老化を遅らせます。血管の老化が防げれば、動脈硬化、脳卒中などの予防にもつながります。

生活習慣病の予防・改善効果

バナナには、ビタミン、ミネラルが多く含まれます。なかでもカリウムが豊富で、可食部100g(およそ1本分)に、360mgのカリウムを含みます(七訂日本食品成分表より)。カリウムには、ナトリウムを排出する働きがあるため、高血圧の改善に有効です。

実は、バナナはダイエットにも効果的です。バナナを食べたら太ると誤解しているかたが多いのですが、決してそんなことはありません。

ご飯のカロリーは、1膳150gで250kcal。バナナは1本86kcalですから、ご飯の3分の1に過ぎません。つまり、バナナをご飯のかわりに食べるなどしてうまく使えば、ダイエットにもなるのです。

このように、カリウムによる血圧降下作用や、ダイエット効果があることなどを考え合わせれば、バナナは、生活習慣病の予防・改善に有効に使える食品だといってよいでしょう。

腸内環境改善効果

バナナに豊富な食物繊維とフラクトオリゴ糖は、腸内環境を改善させます。この二つは、腸内で細菌のエサとなり、善玉菌を増やします。腸内環境がよくなれば、腸の動きも改善し、便通もスムーズになります。

腸内環境の改善は、免疫力アップにもつながります。というのも、私たちの体の免疫細胞の7割は腸に存在するからです。日ごろから腸内環境を整えることは、とても大事なことなのです。

エネルギー補給効果

バナナは、エネルギー補給に最適な食材です。スポーツ選手が運動中や試合の前後にバナナを食べる姿を、皆さんも目にしたことがあるでしょう。

バナナには、ブドウ糖、果糖など、いろいろな種類の糖質が含まれています。これらの糖質は、体内でエネルギーに変わる速さが異なります。例えばブドウ糖はすばやくエネルギーに変わり、果糖はゆっくりエネルギーに変わるといったぐあいです。このためバナナは、即効性と持続性を併せ持つ優れたエネルギーの供給源なのです。

画像: 焼きバナナはダイエットにも最適!

焼きバナナはダイエットにも最適!

こうした特質から、バナナは朝食べることがお勧めです。1日を通し有効なエネルギー源となって働いてくれるでしょう。

また、バナナに含まれるトリプトファンは、幸せホルモンといわれるセロトニンの材料となる物質です。朝、バナナを食べると、消化されたトリプトファンが、夜、脳内でセロトニンとして働くようになります。これによって、安らかな眠りが期待できます。

バナナは、ほかにも豊富なビタミンB群など、多くの有効成分を有しています。ですから、バナナを、ぜひ多くのかたに食べていただきたいのです。

ただし、腎臓病でカリウム制限をしているかたは、バナナを控えたほうがいいでしょう。また、糖尿病のかたは、夜、バナナを食べることは勧められません。バナナに限らず、夜、ことに寝る前にフルーツを摂取することは血糖値を上げる要因となるからです。

焼くことでオリゴ糖やポリフェノールが増加

特に寒い時期に、バナナの新しい食べ方の一つとして、ぜひお勧めしたいのが、「焼きバナナ」です。

バナナは、皮つきのまま、オーブントースターなどで焼くといいでしょう。加熱して、バナナに亀裂が入り、中から汁がにじみ出たら、そこでストップ。果肉は、この時点で十分温まっているはずです。

汁の中には水溶性の有効成分(カリウムなど)が溶け出していますから、逃がしたくありません。汁がにじみ出てきたら、そこで加熱を止めて、食べましょう。

焼くことによって、ポリフェノールやフラクトオリゴ糖が増加することがわかっています。先にご説明したような、血管の老化防止による動脈硬化、高血圧、脳卒中予防や、腸内環境の改善による免疫力アップ効果も、より高まることでしょう。

また、加熱によって甘みも大きく増しています。どなたも「おいしい!」と感じるはずです。皆さんも、おいしく、健康によい焼きバナナをぜひ試してみてください。

焼きバナナの作り方

【材料】
バナナ…1本

画像: 焼きバナナの作り方

【作り方】
オーブントースターで5〜10分、皮全体が黒くなるまで焼く。皮から汁がにじみ出てきたら加熱を止める。

【食べ方】
1日に1本程度を目安に食べる。

画像: トロッとおいし〜い!

トロッとおいし〜い!

[別記事:免疫力アップ!美肌になる!疲れも取れる焼きバナナ→

画像: この記事は『壮快』2021年1月号に掲載されています。 www.makino-g.jp

この記事は『壮快』2021年1月号に掲載されています。

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