食べものによって健康的な体をつくることを“食養生”と言います。読み方は「しょくようじょう」です。食養生では、“食べるべき食材”を摂り、“避けるべき食材”を摂らない生活を心がけることが大切になります。東洋医学では、病気になる手前の状態を“未病(みびょう)”といい、この未病を防ぐために、食生活がとても大切なのです。【解説】杉山卓也(漢方薬剤師・漢方アドバイザー)

解説者のプロフィール

画像: 解説者のプロフィール

杉山卓也(すぎやま・たくや)

漢方薬剤師/漢方アドバイザー/神奈川中医薬研究会会長/星薬科大学非常勤講師
通称は「タクヤ先生」。神奈川県にある「漢方のスギヤマ薬局」にて予約制の健康相談を受けるかたわら、中医学講師として新宿を中心に全国にて年間140本のセミナーを開催。漢方薬局経営者向けのコンサルタント会社「Takuya kanpo consulting」の経営や、中医学界初のオンラインサロンの主宰、成城漢方たまりやtamari中医学養生学院の経営も行う。TwitterやYouTube、Voicyなどでの中医学や養生に関わる情報の発信など、さまざまな分野で漢方・中医学業界のパイオニアとして幅広く活躍中。著書に『現場で使える 薬剤師・登録販売者のための漢方相談便利帖 わかる!選べる!漢方薬163』(翔泳社)や『生理痛ぬけ。』(三才ブックス)、『漢方でわかる 上手な「こころ」の休ませ方』(三笠書房)などがある。
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本稿は『不調が消える 食べもの事典』(あさ出版)から一部を抜粋・加筆して掲載しています。

体の不調を改善する「食養生」

こんにちは。漢方薬剤師の杉山卓也です。

漢方薬剤師は、漢方をメインに扱う薬剤師です。日々、薬局で漢方薬を処方するとともに、食や生活に関するアドバイスも行っています。

漢方薬を取り扱う東洋医学では、病気にならない体をつくることが大切だと考えます。そのため、不調に対して薬などの対症療法ではなく、そもそも不調を引き起こさない体にするための生活や食事に着目するので、それらのアドバイスも行っているのです。

東洋医学では、人間の“健康”において、次の2つのことが大切だと言われています。

① 体に摂り入れる食べものや飲みものから、しっかりと栄養物質がつくられ、体全体に滞りなく巡ることができる

② 余計なものを体内に入れないこと

つまり、“食べるべきもの”を食べ“食べるべきでないもの”は食べないことが、健康であるためには大切なのです。

食べものは体調や季節に合った効能や効果をもっています。食べものの性格を知ることで、自分の体調にあった食べものを摂ることができ、不調がだんだんと改善されていくのです。

現代では、物が溢れ、便利な生活に加えて、手軽に飲んだり食べたりすることができます。その一方で、生活や食事のバランスが崩れ、体の不調を抱える人が増えているのも事実です。

豊かな環境の中にいるからこそ、おろそかになりがちな「食事」「睡眠」「運動」といった、健康につながる習慣を見直し、健康を阻害するものからできるだけ距離を置くことこそが、体の不調を改善するために、まず行っていただきたいことです。

「体調が悪くなったら薬を飲めばいい」ではなく、健康に対する知識をもって、自分の健康を自分の手でつくれるようになりましょう。

この記事では、スーパーやコンビニといった身近な場所で買うことのできる食べもので体の不調を改善する方法をご紹介します。不調を改善するために日々の食べものを考えるきっかけになるといいなと思います。

画像: 体の不調を改善する「食養生」

食べもので不調は改善できる

不調が出る前に予防する根本治療が大切

頭が痛い、お腹が痛いといった不調が体に現れたとき、薬を飲んだり、病院に行って悪くなった部位を取り除いてもらいます。これを対症療法といいます。

これはそのときの痛みや不調による症状を取り除くものであって、根本的に治すものではありません。きちんと治すにはにも不調を引き起こさない健康な体をつくることが大切です。

病気になる手前の状態を“未病”といいます。東洋医学では、この未病を防ぐ考えが根づいています。

未病を防ぐことなんて可能なのかと思われるかもしれませんが、可能なのです。そのために、食生活がとても大切なのです。

なぜ、根本治療に食養生が効果的なの?

養生は、“健康でいるために務める”ということです。そして、食べものによって健康的な体をつくることを“食養生”と言います。

食養生では、“食べるべき食材”を摂り、“避けるべき食材”を摂らない生活を心がけることが大切になります。

東洋医学において体が健康な状態とは、体内の栄養バランスが整っているということです。不調を引き起こさない健康な体をつくるためには、体に不足している栄養素を摂り入れる必要があります。

栄養素はサプリや生薬からも摂り入れることができますが、野菜や肉、魚などコンビニやスーパーで買える食材からも摂ることができます。

食事は生活の一部ですので、「今日はリンゴを食べよう」「貧血気味だからレバーを食べよう」など、手軽に取り入れることができるのです。

食養生で避けるべきNG食材とは何か

“避けるべき食材”は、食べても良いですが食べすぎると健康を阻害するものです。“避けるべき食材”は、次の7個です。

脂っこいもの
甘いもの
味が濃いもの
冷たいもの
生もの
消化に悪いもの
刺激物(辛すぎる食べものなど)

これらは胃腸機能に負荷をかけすぎるので、日本人にとって避けるべき食材となっています。

湿度が高い日本は、湿を嫌う五臓の【脾】(消化器系の働きをコントロールして栄養をつくり出す器官)の弱い体質の日本人が多くいます。

そのため、胃腸機能に負荷をかけるものをたくさん食べたり飲んだりすると脾の働きがますます落ちてしまうためです。

栄養をつくり出す大切な器官を守るために、避けるべき食材を理解し、食べる量を減らすようにしましょう。

画像: 食養生で避けるべきNG食材とは何か

不調を引き起こさないために、「避けるべき食材」を摂らないようにして、日々の食生活を健康的なものに変えていくようにしましょう。


■イラスト/くじら
■本稿は『不調が消える 食べもの事典』(あさ出版)から一部を抜粋・加筆して掲載しています。詳しくは下記のリンクからご覧ください。

画像: 【食養生とは?】東洋医学から考える「食べもの」と「不調」の関係
不調が消える食べもの事典
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2020-12-17 13:24

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