「クエン酸サイクル」には、体のエネルギーを作りだす働きがあります。この働きで代謝が活発になると血流も改善し、免疫力アップや冷え症の改善などにも役立ちます。レモンの果肉や皮、酢には抗酸化成分が豊富に含まれています。この抗酸化力によって、高血圧をはじめとした生活習慣病の予防・改善にも、大いに効果を発揮します。【解説・監修】村上祥子(料理研究家・管理栄養士)

解説者のプロフィール

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村上祥子(むらかみ・さちこ)

料理研究家・管理栄養士。公立大学法人福岡女子大学国際文理学部客員教授。「ちゃんと食べてちゃんと生きる」をモットーに、日本国内の他、ヨーロッパやアメリカ、中国などで実践的食育指導を行う「空飛ぶ料理研究家」。電子レンジ調理の第一人者として活躍する他、弊誌にて、レモン酢をはじめ、ミカン酢、バナナ酢などのレシピ考案も行っている。

78歳で各地を飛び回る元気の秘訣「レモン酢」

酢に新鮮なフルーツを漬けて作る「フルーツ酢」は、フルーツと酢の相乗効果が手軽に得られて、毎日おいしく飲めると、多くの方から好評をいただいています。

私はこれまでに、約20種類のフルーツ酢を考案してきました。その中でも、一番人気があり、飲み続けている人が多いのが「レモン酢」です。

レモン酢を作り始めたきっかけは、3人の子どもたちの健康のため。わが家の子どもたちは、皆3歳から水泳を始めていたので、疲れがすぐに回復するようにと思い、レモン酢を考案しました。

私自身も、この50年間、レモン酢を飲み続けています。そのおかげか、今年で78歳になる今も、元気に仕事をしています。取材や講演を複数こなし、各地を飛び回っていても、疲れたり、くたびれたりということがないのです。

血液検査でも、異常な項目は一つもありません。血流がよいからなのか、真冬でもコートと薄手のブラウス1枚でへっちゃら。足の指先までポカポカしていて、冷え症とは無縁です。

高血圧などの生活習慣病予防に

こうした、レモン酢が持つ健康効果については、レモンに含まれるクエン酸と、酢に含まれる有機酸の双方にある「クエン酸サイクル」の働きによるところが大きいでしょう。

クエン酸サイクルには、体のエネルギーを作りだす働きがあります。この働きで代謝が活発になると、疲労回復や肥満解消、美肌などの効果が期待できるのです。

また、代謝がよくなれば、血流も改善します。そのため、免疫力(病気に対する抵抗力)アップや冷え症の改善などにも役立ちます。

レモン酢の効果は、これだけではありません。

レモンの果肉や皮、酢には、ビタミンCやポリフェノール類といった、抗酸化成分が豊富に含まれています。この抗酸化力によって、高血圧をはじめとした生活習慣病の予防・改善にも、大いに効果を発揮します。

実際に、私の周りでレモン酢を活用している方の声をご紹介しましょう。

ある60代の男性は、生活習慣病に悩んでいたのですが、レモン酢を飲み始めてからメタボ(内臓脂肪症候群)が解消。血圧や中性脂肪値、コレステロール値なども下がったそうです。

その他にも、2週間レモン酢を飲んだだけで、200mmHgあった血圧が正常値になった方(高血圧の基準値は上が140mmHg以上)や、1日に3回レモン酢を飲んで、3週間で8kgの減量に成功した方などがたくさんいらっしゃいます。

レモン酢を飲んだ方の喜びの声は、『安心』編集部にも多く寄せられているようです。

70代のある女性は、季節の変わり目に血圧が140mmHgギリギリにまで上がり、医師から注意を受けていました。

「薬は絶対に飲みたくない!」と思い、レモン酢を毎朝起きてすぐに飲んだところ、血圧が130mmHg台で安定するようになったそうです。

60台の女性は、降圧薬(血圧を下げる薬)で血圧を下げていましたが、レモン酢を飲み始めてから血圧が安定。主治医に相談したところ、「これからもレモン酢を飲み続けるように」というアドバイスとともに、薬をやめることができました。

レモン酢のもう一つの魅力は、作り方が簡単なことです。下記にレモン酢の作り方を紹介しているので、ぜひ試してみてください。

健康維持に役立つだけでなく、心の体力も与えてくれるレモン酢。人生100年時代に突入した今、小さいお子さんからシニア世代まで、自信を持ってお勧めします。

レモン酢の作り方

【用意するもの】(出来上がり約800ml分)
*あくまでも目安。保存瓶の大きさや、好みに合わせて増減可能。

画像1: レモン酢の作り方

酢……400ml(米酢、玄米酢、黒酢などの穀物酢を使用する。リンゴ酢などの果実酢を使用してもよい)
レモン……180g(1個半~小2個くらい)
氷砂糖……180g(黒砂糖、上白糖、きび砂糖などを使用してもよい。その場合は、沈殿しやすいので、こまめによくかき混ぜること)
保存瓶……1本(電子レンジ対応の耐熱ガラス瓶を用意する)
※電子レンジ対応の保存瓶がない場合は、どんぶりなどの対応容器でレンジにかけてから、通常のガラスの保存瓶に移せばよい(作り方参照)。

【作り方】
レモンは、お湯をかけながら、表面をタワシでゴシゴシ洗い、ペーパータオルで水分を取る。

画像2: レモン酢の作り方

レモンを幅0.5~1cmの輪切りにする(レモンの厚さはお好みで)。

画像3: レモン酢の作り方

保存瓶に、レモンと氷砂糖を入れ、酢を注ぐ。

画像4: レモン酢の作り方

瓶にふたはせず、電子レンジにかける。500Wなら1分20秒程度、600Wなら1分程度。この時点で氷砂糖は溶けない。

画像5: レモン酢の作り方

電子レンジ対応の保存瓶がない場合
電子レンジ対応の別の容器(ボウル、どんぶりなど)に材料を入れ、レンジにかけてから、通常のガラスの保存瓶に移す。

画像6: レモン酢の作り方

電子レンジから瓶を取り出し、ふたをする。常温で12時間置いたら飲み始められる。氷砂糖が多少溶け残っていてもかまわない。

画像7: レモン酢の作り方

電子レンジを使わなくても作れる!
保存瓶に材料をすべて入れてふたをし、常温で2週間以上置いたら出来上がり。電子レンジにかけるのは、レモンの細胞を軟化させて出来上がりを早くするためなので、出来上がる時間の違いだけで、味や効果は変わらない。

【ポイント】

1日に大さじ1~2杯(15~30ml)程度が目安。それ以上の量をとっても、効果が高まるわけではない。糖分が含まれているので、とり過ぎには注意する。一度にたくさん飲むより、毎日上記の量を飲み続けることが大切。

飲み方は、レモン酢大さじ1~2杯を100~150mlの水やお湯に薄めて飲む(濃度はお好みで)。無糖の炭酸水や牛乳など、いろいろなドリンクで割って好みの組み合わせを見つけるのもよい。

レモン酢は、常温で1年間保存可能。ただし、直射日光が当たる、暑い場所に置くことは避ける。

漬けたレモンが空気に触れた状態が続くと、レモンが劣化してカビのようなものが生えることがある。そのため、液体が減ってきた分だけ漬けたレモンを引き上げて、なるべくレモンが液体に漬かっている状態を保つ。レモン酢の表面に、ラップなどで落としぶたをしてもよい。

漬けたレモンにも、まだ栄養成分が残っているため、食べても全く問題ない。レモンの皮の苦みが減り、とても食べやすくなっているので、お茶請けなどにそのまま食べてもおいしい。細かく刻んでヨーグルトのトッピングにしたり、サラダのドレッシングに加えたりするのもお勧め。

漬けたレモンは、一度だけ再利用できる。その際は、最初に漬けてから1ヵ月後ぐらいまでをめどに引き上げたレモンに、氷砂糖90g、酢200mlを加えると、もう一度レモン酢を作ることができる。ただし、レモン酢の再利用は一度が限界。それ以上くり返し作っても、レモンの有効成分が抜けているため、効果が期待できない。

画像: この記事は『安心』2020年12月号に掲載されています。 www.makino-g.jp

この記事は『安心』2020年12月号に掲載されています。

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