高血圧の改善に役立つのが、「ショウガ紅茶」と「下半身の運動」です。ショウガと紅茶の相乗作用で血中の塩分と水分を減らすのに役立ち、短時間で手軽にできる簡単な運動でも、毎日続けていると、げっそりしていた下半身の筋肉に張りが出てきて、改善を実感できるはずです。【解説】石原結實(イシハラクリニック院長)

解説者のプロフィール

画像: 解説者のプロフィール

石原結實(いしはら・ゆうみ)

イシハラクリニック院長。1948年、長崎県生まれ。長崎大学医学部卒業。医学博士。同大学院博士課程修了後、スイス、モスクワ、コーカサス地方などで自然療法や断食療法、長寿食などの研究を行う。1982年、イシハラクリニックを開院。テレビ、ラジオ、雑誌などへの出演も多い。『ショウガを食べるとキレイにやせる』『石原結實の「体温を上げて超健康になる」CDブック』(ともにマキノ出版)など著書・監修書は300冊を超える。

血液の量と血管の状態が重要

血圧が高くなる理由は、大きく分けて三つあります(高血圧の大部分を占める、他の病気の影響などのない本態性高血圧の場合)。

①血液の量が増える。
②血管が細くなる・硬くなる。
③血液が流れる血管が少なくなる。

一つずつ見ていきましょう。

血液の量が増える。

塩分をとり過ぎると、血液中の塩分が増え、その塩分が周囲から水を引き寄せるので、血液量が増えて、血圧が上がります。「高血圧には減塩」と言われるのはこのためです。

また、水分のとり過ぎで体全体がむくんだようになると、血液量も水膨れしますから、血圧が上がります。

このとき有効なのが「尿を増やす」ことです。治療では「利尿薬」がよく使われます。塩分と水分を含む尿を多く出せば、血中の塩分と水分を減らして血圧を下げられるからです。

血管が細くなる・硬くなる。

血管の内壁にコレステロールなどが沈着して、血管内が狭くなり弾力性が失われるのが、動脈硬化です。

血管が細くなれば、血液の流れをよくするために圧力は高まります。水が通っているホースの口をつぶして細くすると、水が出る勢いが強まりますね。

また、柔軟な血管は、圧をある程度吸収してくれますが、血管が硬くなれば、その余裕がなくなり、圧力が強くなります。

血管が細くなる原因は、動脈硬化だけではありません。

高血圧が冬に悪化しやすいのは、寒冷刺激によって血管が縮み、血液が流れにくくなる分、心臓がポンプの力を強めて血圧を上げるからです。

ストレスも、血管を収縮させる一因です。

筋肉が衰えると血管が消失する

血液が流れる血管が少なくなる。

高血圧のもう一つの大きな原因が「筋肉の衰え」です。

筋肉の中には、血管と毛細血管が張り巡らされています。筋肉の発達とともに、こうした血管も成長し、流れる血液の量も増えていきます。

その反対に、筋肉が衰えると、そこにあった血管・毛細血管も消失していきます。最近、話題の「ゴースト血管(血流が途絶えて消えた毛細血管)」になってしまうのです。

支流が埋め立てられて途絶えた川は、その分、本流を流れる水量が増します。

つまり、毛細血管が張り巡らされ、「血液を吸い込むスポンジ」のような筋肉が衰えて、行き場を失った血液が増えることで、血圧が上がるのです。

人間の体重の4割は筋肉で、その7割は下半身にあります。中でも大きいのが、お尻の「大臀筋」と、太ももの「大腿四頭筋」ですが、ここは特に、加齢とともに筋肉が落ちやすいところでもあります。

漢方医学では、頭が冷たく、足が温かい「頭寒足熱」が良好な状態とされます。これは言い換えれば、下半身の大きな筋肉に張り巡らされた毛細血管に、血液が十分に巡っている状態ということです。

下半身の筋肉が減ると、下半身の血液の行き場所が少なくなる分、上半身に血が昇り「頭熱足寒」という悪い状態になります。そして、上半身に片寄った血液を押し上げるために、血圧が上昇します。

下半身の筋肉を鍛えて大きくすれば、血液が下半身に降り、毛細血管も復活して、血圧が下がるのです。

また、運動すると筋肉細胞から「マイオカイン」というホルモンが出てきます。このホルモンにも血圧を下げる作用や利尿作用があるといわれています。

さらに、血管内壁から、血管を広げて軟らかくする一酸化窒素(NO)も分泌されます。

ポカポカ足が高血圧改善の秘訣

血圧を上げる3要素の改善に役立つのが、「ショウガ紅茶」と「下半身の運動」です。

ショウガ紅茶とは、ショウガのすりおろしを入れた紅茶(詳しい作り方は下記)です。ショウガと紅茶の相乗作用で保温、免疫力増強、血行促進、健胃、鎮痛、利尿など、非常に幅広い効果を発揮します。

20年ほど前から、私のクリニックの患者さん全員に、必ずお勧めしていて、非常に高い成果が上がっています。もちろん私自身も毎日飲んでいます。

紅茶に含まれるカフェイン、ショウガに含まれるジンゲロンやジンゲロールには、強い利尿作用があり、薬に頼らず血中の塩分と水分を減らすのに役立ちます。加えて、ショウガのショウガオール(ジンゲロールが熱によって変化した成分)や紅茶は、体を温める働きが強いので、血管を広げて血液を流れやすくします。 

一方、下半身の運動としては、お尻、太もも、ふくらはぎの筋肉を大きく動かして、効率よく筋肉と毛細血管を増やせる運動をご紹介します。

誰でも短時間で手軽にできる簡単な運動ですが、効果は抜群です。この程度の運動でも、毎日続けていると、げっそりしていた下半身の筋肉に張りが出てきます。

ショウガ紅茶と降圧エクササイズで、いつでも足がポカポカしてきたらしめたもの。高血圧の改善を実感できるはずです。

ショウガ紅茶の作り方

画像1: ショウガ紅茶の作り方

【材料】
ショウガ…1かけ
紅茶のティーバッグ…1個
黒糖…お好みで

画像2: ショウガ紅茶の作り方

【作り方】
ショウガはよく洗い、皮つきのまますりおろす。
※まとめてすりおろし、小さじ1ずつに分け、冷凍しておくと便利。

画像3: ショウガ紅茶の作り方

紅茶を入れる。

画像4: ショウガ紅茶の作り方

すりおろしショウガを小さじ1程度、お好みで黒糖を紅茶に加えて混ぜる。
※ショウガの繊維が気になる人は搾り汁だけ加えてもよい。

画像5: ショウガ紅茶の作り方

朝と入浴前に飲むのがお勧め。
※それ以外のタイミングに追加して飲んでも構わない。

降圧エクササイズのやり方

もも上げ~フラミンゴ

画像1: もも上げ~フラミンゴ

背すじを伸ばして立ち、太ももが床と水平になるように引き上げる。両足交互に10回行う。

画像2: もも上げ~フラミンゴ

足腰が弱っている人は、いすに浅く腰かけながら、できるだけ太ももを引き上げるようにする。

画像3: もも上げ~フラミンゴ

10回足踏みしたら右足を引き上げた姿勢で1分キープ。左足に変えて同様に1分キープする。
※不安定な人は壁などに手をついて支えてもよい。

万歳体操

画像1: 万歳体操

足を肩幅に開いて立つ。

画像2: 万歳体操

腕を振り上げると同時にかかとを上げてつま先立ちになる。

画像3: 万歳体操

腕を下ろすと同時に、かかとを下ろす。

画像4: 万歳体操

②③をリズミカルに10回くり返し、もう一度腕を振り上げたところで手を組み、つま先立ちで伸びをしながら10秒キープする。

画像: この記事は『安心』2020年12月号に掲載されています。 www.makino-g.jp

この記事は『安心』2020年12月号に掲載されています。

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