降圧ふりかけは、パウダー状のニンニクとショウガ、粉唐辛子、カツオ節を混ぜて作ります。降圧ふりかけで期待できる健康効果の筆頭に挙げられるのが、高血圧の改善です。また、ニンニクには血糖値を下げるインスリンというホルモンの分泌量を増やす作用があり、ショウガにはインスリンの働きを高める作用があるため、糖尿病の改善にも役立ちます。【解説】平柳要(元日本大学医学部准教授・食品医学研究所所長)

解説者のプロフィール

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平柳要(ひらやなぎ・かなめ)

元日本大学医学部准教授・食品医学研究所所長。医学博士。東京大学大学院医学研究科修了後、イタリア・パルマ大学客員研究員、ハーバード大学客員研究員などを経て、日本大学医学部准教授となる。現在、㈱食品医学研究所の代表兼所長。著書に『医学博士が考案した長生きふりかけ』(サンマーク出版)など多数。

論文でも明らかなダブルの降圧パワー

私は20年以上にわたりショウガを研究してきたことから、世間ではよく「ショウガ博士」と呼ばれますが、実は以前からニンニクにも注目してきました。

というのも、私は研究のために国内外の医学論文を年間300本以上読んでいますが、ここ数年、ショウガに加えニンニクに関する信頼できる健康効果が続々と報告されているからです。

肥満、高血圧、高血糖、脂質異常症から脳卒中、心筋梗塞、ガン、認知症など、ほぼすべての生活習慣病に効果が期待できることが明らかになっています。

そんなニンニクとショウガをとても手軽においしく、しかも効果絶大にとれる方法を発見しました。それが「降圧ふりかけ」です。

降圧ふりかけは、パウダー状のニンニクとショウガ、粉唐辛子、カツオ節を混ぜて作ります。降圧ふりかけで期待できる健康効果は多岐にわたりますが、筆頭に挙げられるのが、高血圧の改善です。

ニンニクの細胞を壊すと生成されるにおい成分のアリシンは、加熱するとスルフィド類という成分に変化します。スルフィド類には、血管の平滑筋を弛緩させる作用や、血管を収縮させるACE(アンジオテンシン変換酵素)の働きを妨げる作用があり、血圧を下げます。

また、ニンニクを食べると体内で微量の硫化水素が発生し、これによって血管内で一酸化窒素が産生され、血管が拡張して血圧が下がります。

2020年にオーストラリアの国立統合医学研究所が行った、12編の論文の総合評価を見ても、降圧効果は明らかです。ニンニクをとったグループは、とらないグループに比べ、最大血圧が8.3mmHg、最小血圧が5.5mmHgも低かったのです。

ショウガもニンニクと同じく、ACEの働きを妨げて血圧を下げる作用のほか、血管のカルシウムイオンが流入する穴をブロックし、血管の収縮を抑え血圧を下げる働きがあります。

2019年にイランのテヘラン医科大学が行った、6編の論文の総合評価で、ショウガをとったグループは、とらないグループに比べ、最大血圧が6.4mmHg、最小血圧が2.1mmHg低くなりました。

唐辛子の辛み成分であるカプサイシンには、体脂肪の蓄積を防ぎ、体脂肪の燃焼を促すダイエット作用が有名ですが、高血圧を改善する作用もあります。

パウダー状というのも特筆すべき点です。加熱してパウダー状にすると、ニンニクはスルフィド類、ショウガはショウガオールという成分が増え、より健康効果がアップするのです。

そのほか、ニンニクには血糖値を下げるインスリンというホルモンの分泌量を増やす作用があり、ショウガにはインスリンの働きを高める作用があるため、糖尿病の改善にも役立ちます。

また、中性脂肪や悪玉コレステロールを下げ、善玉コレステロールを高める作用があるため、血液や血管の状態を改善して、動脈硬化をはじめとする心血管病を防ぐ効果が期待できます。

さらに、ダイエットにも効果大。降圧ふりかけは、メタボが気になる人にうってつけのご飯のお供といえます。

旨み成分たっぷりで塩分を減らせる

降圧ふりかけの作り方は、下記をご参照ください。ポイントは、毎日少しずつ食べ続けること。人間の体は、短期間で急激に変化しません。

食べ物の有効成分は薬とは違い、継続してとり続けることで、少しずつ体質が改善されていきます。1日3食、毎食大さじ1杯ずつとるのが理想ですが、1日1食、忘れた日があってもかまいません。あせらず気長に続けてください。

好みに合わせて、材料の配合を変えてもいいですし、子供や妊娠初期の人、90歳を超えるような超高齢の人などは、唐辛子を控えて赤パプリカを加えたほうがよいでしょう。赤パプリカのカプサンチンという色素成分には、唐辛子とほぼ同じ健康効果があります。

カツオ節による旨み成分たっぷりの降圧ふりかけの食べ方は、実に豊富で多彩です。ご飯のほか、おひたしや酢の物、炒め物などにかけたり、麺類の薬味にしたりしてもおいしくいただけます。

また、塩分の摂取量を減らす効果も期待できます。スーパー健康食材を手軽にとれる降圧ふりかけを、ぜひ試してください。

降圧ふりかけの作り方

●毎食大さじ1杯ずつとるとよい。
食材にアレルギーのある人や、同様のサプリメントをとっている人は控える。
高血圧や糖尿病の薬を服用している人は医師と相談する。

画像1: 降圧ふりかけの作り方

【材料】(2人分×1週間)
・ニンニクパウダー…14g
・ショウガパウダー…14g
・唐辛子パウダー…7g
 または 赤パプリカパウダー…28g
・カツオ節…70g
※分量は好みで変えてもよい

画像2: 降圧ふりかけの作り方

【作り方】
ファスナー付き保存袋に材料を入れ、保存袋の中の空気を抜いてしっかりと口を閉じる。
両手のひらで袋をはさみ、こするようにもみながら混ぜる。

画像: この記事は『壮快』2020年12月号に掲載されています。 www.makino-g.jp

この記事は『壮快』2020年12月号に掲載されています。

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