著者のプロフィール

久保 明(くぼ・あきら)
医学博士。医療法人財団百葉の会 銀座医院 院長補佐・抗加齢センター長。東海大学医学部医学科客員教授。元厚生労働省 薬事・食品衛生審議会専門委員。
1979年慶應義塾大学医学部卒業。1988年米国ワシントン州立大学医学部動脈硬化研究部門に留学。帰国後、一貫して生活習慣病診療、予防医療とアンチエイジング医学に取り組む。「高輪メディカルクリニック」を設立し16年間院長を務め、東海大学医学部付属東京病院で「抗加齢ドック」を立ち上げ、現在は医療法人財団百葉の会 銀座医院など都内で診療を行う。『名医が教える!週に1度食べないだけで体の不調はリセットできる』(日東書院本社)、『人気の「これだけ健康法」が寿命を縮める 老化指標を改善する28のステップ』(講談社)など著書・監修書多数。
▼銀座医院(公式サイト)
▼学歴・職歴(久保明事務所)
▼専門分野と研究論文(CiNii)
本稿は『最新医学でわかった新健康常識 カラダに良いこと 悪いこと』(永岡書店)から一部を抜粋して掲載しています。
クイズ
うつ病を引き起こしやすい
労働時間はどのくらい?
A 7時間
B 8時間
C 9時間
D 10時間以上
1日11時間以上働くと
うつ病リスクが2倍以上に!
日本において労働時間は労働基準法によって「1日8時間、週40時間を超えてはいけない」と決められていますが、長時間労働による心身への影響を示す画期的なデータがあります。
イギリスの公務員を対象にした調査(※)で、うつの病歴がなく、心理的なリスク要因のない男女2123人を対象に約6年にわたって調査したところ、労働時間が10時間を超えるとうつ病になりやすく、11時間に達すると7~8時間(イギリス公務員の標準:残業なし)の人の2倍以上に跳ね上がるという結果が出ています。
飲酒や業務負担、社会的サポートの有無などの要因を考慮してもうつ病の発症リスクは変わらず、長時間労働による精神的ストレスでストレスホルモンの濃度が高くなり、さらにストレス発散の場がないことも重なって発症にいたるとされています。
時には残業も必要でしょうが、毎日10時間を超える労働は心身へのダメージが大きいと心得ましょう。昨今、長時間労働の解消を目指す「働き方改革」が話題ですが、こうした結果を社会全体で受け止め、働き方を早急に見直す必要がありそうです。
労働時間と
うつ病リスクの関係
1日の労働時間7~8時間群のうつ病の発症リスクを1としたとき、労働時間が11~12時間の群では2.4倍にもなる。


イラスト/cycledesign
※出典 Marianna, et al.(2012)
クイズの答え
D
うつは脳のエネルギー切れで起こる。長時間労働にはくれぐれも注意を!
※クイズの回答は、今後の研究等により変更になる可能性があります。
※出典 Marianna V, et al. Overtime Work as a Predictor of Major Depressive Episode: A 5-Year Follow-Up of the Whitehall II Study. PLoS ONE. 2012;7(1): e30719.
なお、本稿は『最新医学でわかった新健康常識 カラダに良いこと 悪いこと』(永岡書店)から一部を抜粋して掲載しています。詳しくは下記のリンクからご覧ください。
※㉑「サウナと健康効果の関係」はこちら