近年、睡眠不足が積み重なり、まるで借金のように健康を脅かす様子を称して「睡眠負債」と呼ぶこともあります。睡眠不足はやはり体に良くないのでしょうか。【解説】久保 明(医学博士)

著者のプロフィール

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久保 明(くぼ・あきら)

医学博士。医療法人財団百葉の会 銀座医院 院長補佐・抗加齢センター長。東海大学医学部医学科客員教授。元厚生労働省 薬事・食品衛生審議会専門委員。
1979年慶應義塾大学医学部卒業。1988年米国ワシントン州立大学医学部動脈硬化研究部門に留学。帰国後、一貫して生活習慣病診療、予防医療とアンチエイジング医学に取り組む。「高輪メディカルクリニック」を設立し16年間院長を務め、東海大学医学部付属東京病院で「抗加齢ドック」を立ち上げ、現在は医療法人財団百葉の会 銀座医院など都内で診療を行う。『名医が教える!週に1度食べないだけで体の不調はリセットできる』(日東書院本社)、『人気の「これだけ健康法」が寿命を縮める 老化指標を改善する28のステップ』(講談社)など著書・監修書多数。
▼銀座医院(公式サイト)
▼学歴・職歴(久保明事務所)
▼専門分野と研究論文(CiNii)

本稿は『最新医学でわかった新健康常識 カラダに良いこと 悪いこと』(永岡書店)から一部を抜粋して掲載しています。

クイズ
睡眠不足が原因で
発症リスクが高まる
病気とは?

A 糖尿病
B 認知症
C 心血管疾患
D うつ病

睡眠不足が心血管疾患や
数々の健康被害をもたらす

日本人の平均睡眠時間は6~7時間という人が最も多いですが、「睡眠で休養が十分にとれているか」を尋ねると、20代から60代までのすべての層で「とれていない」との回答(※1)が増加しています。

近年、睡眠不足が積み重なり、まるで借金のように健康を脅かす様子を称して「睡眠負債」と呼ぶこともあります。睡眠不足はやはり体に良くないのでしょうか。

『ネイチャー』の心臓病レビュー誌(2019年)に発表されたのが、短時間睡眠と心血管疾患の発症リスクの関係です。睡眠障害などで意図せず睡眠時間が少なくなってしまう場合も含めて、短時間睡眠の人は心血管疾患の発症率が高いことがわかっています。

そのほか睡眠不足の弊害として、神経過敏、認知機能や記憶力の低下、糖尿病やメタボリックシンドローム、時には感染症にかかりやすくなるなど、さまざまなトラブルにつながることが報告(※2)されています。

日本人の約3割が不眠症を患っていると言われます。睡眠時間を適切に確保するには意識的に生活時間を見直し、眠れない日が続くときには医療機関に相談を。

睡眠不足が引き起こす
健康トラブル

睡眠不足は生活習慣病をはじめ、うつ病や認知症などの罹患リスクを高める元凶に。たかが睡眠不足とあなどることなかれ!

画像: イラスト/cycledesign

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クイズの答え

A・B・C・D
寝だめによる睡眠貯金はできないので、普段の生活の見直しで調整を!

※クイズの回答は、今後の研究等により変更になる可能性があります。

※出典 ※1)厚生労働省「平成30年国民健康・栄養調査報告」/※2)Eleonora T, et al. Short sleep duration and cardiometabolic risk: from pathophysiology to clinical evidence. Nat Rev Cardiol. 2019;16(4):213-24.

なお、本稿は『最新医学でわかった新健康常識 カラダに良いこと 悪いこと』(永岡書店)から一部を抜粋して掲載しています。詳しくは下記のリンクからご覧ください。

画像: 【健康情報クイズ】睡眠不足と病気の関係 うつ病や認知症などの罹患リスクを高める たかが睡眠不足とあなどることなかれ!
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2020-12-09 12:22

※⑯「運動サイクルと健康の関係」はこちら

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