著者のプロフィール

久保 明(くぼ・あきら)
医学博士。医療法人財団百葉の会 銀座医院 院長補佐・抗加齢センター長。東海大学医学部医学科客員教授。元厚生労働省 薬事・食品衛生審議会専門委員。
1979年慶應義塾大学医学部卒業。1988年米国ワシントン州立大学医学部動脈硬化研究部門に留学。帰国後、一貫して生活習慣病診療、予防医療とアンチエイジング医学に取り組む。「高輪メディカルクリニック」を設立し16年間院長を務め、東海大学医学部付属東京病院で「抗加齢ドック」を立ち上げ、現在は医療法人財団百葉の会 銀座医院など都内で診療を行う。『名医が教える!週に1度食べないだけで体の不調はリセットできる』(日東書院本社)、『人気の「これだけ健康法」が寿命を縮める 老化指標を改善する28のステップ』(講談社)など著書・監修書多数。
▼銀座医院(公式サイト)
▼学歴・職歴(久保明事務所)
▼専門分野と研究論文(CiNii)
本稿は『最新医学でわかった新健康常識 カラダに良いこと 悪いこと』(永岡書店)から一部を抜粋して掲載しています。
クイズ
運動習慣によって
発症リスクが下がる
がんはどれ?
A 食道腺がん
B 大腸がん
C 白血病
D 悪性黒色腫
運動を習慣化することで
多くのがん発症リスクが減少
運動とがんの関係も気になるところ。余暇に運動を行うことで、がんの発症リスクが低下したという調査報告があります。
スティーブン・C・ムーア博士らが行った調査は、アメリカとヨーロッパで19歳から98歳までの144万人もの人々の自己報告をもとにした非常に大規模なものです。
26種類のがんについて調べたところ、余暇にウォーキングなどの運動を行うことで食道腺がん、肝臓がん、肺がん、胃がん、腎臓がん、骨髄性白血病などのがんの発症リスクが大きく低下し、骨髄腫、大腸(直腸・結腸)がん、膀胱がん、乳がんなど計13種類のがんでも低下が認められました。
ただし、悪性黒色腫(メラノーマ)と前立腺がんでは、反対に発症リスクが上がるという結果に。悪性黒色腫は外での運動習慣によって紫外線を浴びる機会が増えることが影響している可能性がありますが、前立腺がんは運動習慣と有意に関係するものではないと推察されます。
この調査では適正体重かどうかに関係なく、運動はあらゆる体格の人にメリットがあることも示されています。改めて運動の大切さが浮き彫りになったと言えそうです。
運動で発症リスクが
減らせるがん
ウォーキングなどの運動を週に5日以上行う人は、運動しない人よりもがんの発症リスクが20%低下する。


イラスト/cycledesign
※出典 Steven CM, et al.(2016)
クイズの答え
A・B・C
がん予防の観点からも、ぜひ運動習慣を積極的に取り入れて!
※クイズの回答は、今後の研究等により変更になる可能性があります。
※出典 Steven CM, et al. Association of Leisure-Time Physical Activity With Risk of 26 Types of Cancer in 1.44 Million Adults. JAMA Intern Med. 2016;176(6):816-25.
なお、本稿は『最新医学でわかった新健康常識 カラダに良いこと 悪いこと』(永岡書店)から一部を抜粋して掲載しています。詳しくは下記のリンクからご覧ください。
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