著者のプロフィール

久保 明(くぼ・あきら)
医学博士。医療法人財団百葉の会 銀座医院 院長補佐・抗加齢センター長。東海大学医学部医学科客員教授。元厚生労働省 薬事・食品衛生審議会専門委員。
1979年慶應義塾大学医学部卒業。1988年米国ワシントン州立大学医学部動脈硬化研究部門に留学。帰国後、一貫して生活習慣病診療、予防医療とアンチエイジング医学に取り組む。「高輪メディカルクリニック」を設立し16年間院長を務め、東海大学医学部付属東京病院で「抗加齢ドック」を立ち上げ、現在は医療法人財団百葉の会 銀座医院など都内で診療を行う。『名医が教える!週に1度食べないだけで体の不調はリセットできる』(日東書院本社)、『人気の「これだけ健康法」が寿命を縮める 老化指標を改善する28のステップ』(講談社)など著書・監修書多数。
▼銀座医院(公式サイト)
▼学歴・職歴(久保明事務所)
▼専門分野と研究論文(CiNii)
本稿は『最新医学でわかった新健康常識 カラダに良いこと 悪いこと』(永岡書店)から一部を抜粋して掲載しています。
クイズ
オーガニック食品が
一般食品より優れている
健康効果とは?
A がん予防
B 乳幼児の湿疹の発症リスク低下
C ダイエット効果
D アレルギー予防
乳幼児の湿疹の発症リスクが
低下した報告はあるが……
「有機野菜などのオーガニック食品は栄養価が高く、体に良いはずだ」と多くの人が思っていることでしょう。有機野菜は、日本であれば農林水産省のJAS(日本農林規格)の定めにより「認可外の農薬や科学肥料を3年以上使っていない」などの条件をクリアすることで認定されます。
本当に体に良いのかという疑問を解消すべく、オーガニックを謳う食品に健康効果があるかを調べたのが『アメリカン・ジャーナル・オブ・クリニカル・ニュートリション』(2010年)の報告です。
過去50年間に発表された学術論文や専門家への調査、約9万8、000件にも及ぶ記事の中から12件の関連研究を特定。その中から最大の研究成果が確認できたのは、「オーガニック乳製品の使用によって乳幼児の湿疹の発症リスクが低下した」という報告のみ。それ以外に栄養学の観点で違いや有用性を認めることはできませんでした。
客観的な研究データがないからといって、すべてのオーガニック食品に意味がないとは言えません。しかし、オーガニックかどうかよりも、日常的に野菜不足になってはいないかを気にしてほしいところです。
有機野菜(有機JAS)の
定義
●種まき、または植え付けする2年以上前からほ場(田畑)の土に禁止された農薬や化学肥料を使用していないこと
●栽培中も禁止された農薬や化学肥料を使用していないこと
●使用する肥料や農薬は天然物質、または化学的処理を行っていない天然物質に由来するもののみ
●ほ場や施設、用具などに農薬や化学肥料の飛散・混入がないこと
●遺伝子組換えの種を使わないこと
●病害虫を防除するのに農薬に頼らないこと

イラスト/cycledesign
店頭で「有機野菜」「有機栽培」「オーガニック」と表示できるのは、JAS法に基づき「有機JAS規格」の検査認証を受けた農産物のみ。
クイズの答え
B
効果がないとは言えないけれど、あるとも言えないのが現状の見解!
※クイズの回答は、今後の研究等により変更になる可能性があります。
※出典 Alan DD, et al. Nutrition-related health effects of organic foods: a systematic review. Am J Clin Nutr. 2010;92(1):203-10.
なお、本稿は『最新医学でわかった新健康常識 カラダに良いこと 悪いこと』(永岡書店)から一部を抜粋して掲載しています。詳しくは下記のリンクからご覧ください。
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