著者のプロフィール

久保 明(くぼ・あきら)
医学博士。医療法人財団百葉の会 銀座医院 院長補佐・抗加齢センター長。東海大学医学部医学科客員教授。元厚生労働省 薬事・食品衛生審議会専門委員。
1979年慶應義塾大学医学部卒業。1988年米国ワシントン州立大学医学部動脈硬化研究部門に留学。帰国後、一貫して生活習慣病診療、予防医療とアンチエイジング医学に取り組む。「高輪メディカルクリニック」を設立し16年間院長を務め、東海大学医学部付属東京病院で「抗加齢ドック」を立ち上げ、現在は医療法人財団百葉の会 銀座医院など都内で診療を行う。『名医が教える!週に1度食べないだけで体の不調はリセットできる』(日東書院本社)、『人気の「これだけ健康法」が寿命を縮める 老化指標を改善する28のステップ』(講談社)など著書・監修書多数。
▼銀座医院(公式サイト)
▼学歴・職歴(久保明事務所)
▼専門分野と研究論文(CiNii)
本稿は『最新医学でわかった新健康常識 カラダに良いこと 悪いこと』(永岡書店)から一部を抜粋して掲載しています。
クイズ
死亡リスクを高めない
お酒の適量って
週にどのくらい?
A 缶ビールを週に5本以下
B 缶ビールを週に6本
C 缶ビールを週に7本
D 缶ビールを週に8本以上
※缶ビールは350㎖缶で、アルコール度数は7%。
安全な飲酒量なんてない!
少量でも死亡率を上げる
「お酒は百薬の長」と言われるように、適量のお酒は体に良いと思っている人が多いかもしれません。本当にそうなのかを検証したのが、医学雑誌『ランセット』(2018年)に発表されたイギリスの研究報告です。注目の結果は、心血管疾患に対しては少量の飲酒であればリスクは多少の増加にとどまりましたが、全死亡率で見ると少量でも数値が下がらず、1週間に200gのアルコール摂取で数値が上がり、飲酒量が増えるほどリスクも高まるというものに。
アルコールのガイドラインが国によって異なるため、死亡率や心血管疾患に関連する目安を定義することも目的でしたが、結論としては死亡リスクを高めないアルコールの摂取量としては、純アルコールで週100gが上限ということに。これは現在、日本の厚生労働省が示している「節度ある適度な飲酒」である1日20g、週140gよりも少ない量です。アルコール度数7%の缶ビール(350㎖)であれば、1缶で19.s6gのアルコール量となります。
なお、米国がん協会のがん予防ガイドライン改訂版(2020年)では、ついに「お酒は飲まないのが最良」と勧告しています。
アルコール量
20gの目安
ビール(アルコール度数7%の場合)
350㎖缶1本
日本酒(アルコール度数15%の場合)
1合(180㎖)
焼酎(アルコール度数25%の場合)
0.6合(約110㎖)
ワイン(アルコール度数14%の場合)
1/4本(約180㎖)
ウイスキー(アルコール度数43%の場合)
ダブル1杯(60㎖)
缶チューハイ(アルコール度数5%の場合)
500㎖缶1本
アルコール量の計算式
お酒を飲むと気が大きくなりがちだが、健康のためには、含まれるアルコール量を考えて1日20gを超えないように。


イラスト/cycledesign
クイズの答え
A
「ビールは1日1本まで&休肝日は2日」というのが健康維持の最低ライン!
※クイズの回答は、今後の研究等により変更になる可能性があります。
※出典 Angela M W, et al. Risk thresholds for alcohol consumption: combined analysis of individual-participant data for 599 912 current drinkers in 83 prospective studies. Lancet. 2018;391(10129):1513-23.
なお、本稿は『最新医学でわかった新健康常識 カラダに良いこと 悪いこと』(永岡書店)から一部を抜粋して掲載しています。詳しくは下記のリンクからご覧ください。
※⑦「卵とコレステロールの関係」はこちら