かつて「卵は1日に1個まで」とまことしやかに言われていました。しかし、原則として2015年からコレステロール摂取の制限はなくなっています。【解説】久保 明(医学博士)

著者のプロフィール

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久保 明(くぼ・あきら)

医学博士。医療法人財団百葉の会 銀座医院 院長補佐・抗加齢センター長。東海大学医学部医学科客員教授。元厚生労働省 薬事・食品衛生審議会専門委員。
1979年慶應義塾大学医学部卒業。1988年米国ワシントン州立大学医学部動脈硬化研究部門に留学。帰国後、一貫して生活習慣病診療、予防医療とアンチエイジング医学に取り組む。「高輪メディカルクリニック」を設立し16年間院長を務め、東海大学医学部付属東京病院で「抗加齢ドック」を立ち上げ、現在は医療法人財団百葉の会 銀座医院など都内で診療を行う。『名医が教える!週に1度食べないだけで体の不調はリセットできる』(日東書院本社)、『人気の「これだけ健康法」が寿命を縮める 老化指標を改善する28のステップ』(講談社)など著書・監修書多数。
▼銀座医院(公式サイト)
▼学歴・職歴(久保明事務所)
▼専門分野と研究論文(CiNii)

本稿は『最新医学でわかった新健康常識 カラダに良いこと 悪いこと』(永岡書店)から一部を抜粋して掲載しています。

クイズ
卵は1日に
何個まで食べていいの?

A 1個
B 2個まで
C 10個以上
D 人によって異なる

卵の摂取量が心血管に
悪影響を及ぼすことはない!?

かつて「卵は1日に1個まで」とまことしやかに言われていました。しかし、コレステロールを含む食品をとることが体内のコレステロール値に直結するわけではないという考えから、日本では原則として2015年からコレステロール摂取の制限はなくなっています。

アメリカで心血管疾患をもつ1万4806人を対象にした調査で、〝中程度の卵消費量(1日当たり最大1個)では心血管疾患リスクに関連しない〟としています。

それなら栄養も豊富な卵を積極的にとりたい! と思いますが、実際にどれだけ食べるべきかを定めたものはありません。というのも、卵の摂取がコレステロール値に影響する人とそうでない人がいるため、一律に制限することはできないのです。

日本の食事摂取基準2020年版では、引き続き摂取量の制限はないものの、「脂質異常症の重症化予防の観点としてコレステロールの摂取は1日200㎎未満が望ましい」との補足があります。卵1個のコレステロール量は200~250㎎なので、1個でも微妙なところ。持病のある人は主治医に相談するのがベストです。

中高年こそとりたい!
卵のおもな栄養成分

ビタミン

卵黄はビタミンA、B1、D、E、Kを多く含み、卵白にはビタミンB2が豊富に含まれる。

ミネラル

卵黄には鉄や亜鉛、リン、カルシウム、卵白にはマグネシウムが豊富に含まれる。

必須アミノ酸

必須アミノ酸がすべて含まれる。とくに肝臓でアルコールを分解するときに必要なメチオニンが豊富。

リゾチーム

卵白に含まれる酵素で、体に有害なウイルスを溶かすといった抗菌効果を発揮する。

コリン

卵黄に含まれ、体内で神経伝達物質アセチルコリンに変わる。脳を活性化する成分として注目。

卵は「完全栄養食品」とも呼ばれる栄養価の高い食品。ビタミンCと食物繊維は含まないので、野菜と一緒に食べるのがおすすめ。

画像: イラスト/cycledesign

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※参考 一般社団法人日本養鶏協会

クイズの答え

D
脂質異常症や動脈硬化、心臓に持病のある方はとりすぎに注意を!

※クイズの回答は、今後の研究等により変更になる可能性があります。

※出典 Jean-Philippe DC, et al. Egg consumption and risk of cardiovascular disease: three large prospective US cohort studies, systematic review, and updated meta-analysis. BMJ. 2020; 368:m513.

なお、本稿は『最新医学でわかった新健康常識 カラダに良いこと 悪いこと』(永岡書店)から一部を抜粋して掲載しています。詳しくは下記のリンクからご覧ください。

画像: 【健康情報クイズ】卵とコレステロールの関係 卵の摂取量が心血管に悪影響を及ぼすことはない!? 最新医学で判明した新常識
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2020-12-09 10:10

※⑥「30品目と肥満の関係」はこちら

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