「1日30品目」を食べるのが健康的な食生活だと思い込んでいませんか? 「多品目の食品を摂取することが適正な体重維持につながるとは限らない」という発表もあります。【解説】久保 明(医学博士)

著者のプロフィール

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久保 明(くぼ・あきら)

医学博士。医療法人財団百葉の会 銀座医院 院長補佐・抗加齢センター長。東海大学医学部医学科客員教授。元厚生労働省 薬事・食品衛生審議会専門委員。
1979年慶應義塾大学医学部卒業。1988年米国ワシントン州立大学医学部動脈硬化研究部門に留学。帰国後、一貫して生活習慣病診療、予防医療とアンチエイジング医学に取り組む。「高輪メディカルクリニック」を設立し16年間院長を務め、東海大学医学部付属東京病院で「抗加齢ドック」を立ち上げ、現在は医療法人財団百葉の会 銀座医院など都内で診療を行う。『名医が教える!週に1度食べないだけで体の不調はリセットできる』(日東書院本社)、『人気の「これだけ健康法」が寿命を縮める 老化指標を改善する28のステップ』(講談社)など著書・監修書多数。
▼銀座医院(公式サイト)
▼学歴・職歴(久保明事務所)
▼専門分野と研究論文(CiNii)

本稿は『最新医学でわかった新健康常識 カラダに良いこと 悪いこと』(永岡書店)から一部を抜粋して掲載しています。

クイズ
1日30品目の食品を
摂取することで
発症リスクが上がるのは?

A 糖尿病
B 認知症
C 肥満
D 脂質異常症

多品目にこだわると
栄養バランスが乱れやすい!?

「1日30品目」を食べるのが健康的な食生活だと思い込んでいませんか?

食の偏りを避け、多様な食事をとることが望ましいという報告がある一方で、「多品目の食品を摂取することが適正な体重維持につながるとは限らない」という発表もあります。

テキサス大学のオットー氏らが手がけ、学術誌『サーキュレーション』(2018年)に発表したアメリカ心臓協会(AHA)の報告では、ただ食品数を増やそうとすると総摂取カロリーが増えて肥満の引き金になると警告しています。

また、多品目といっても野菜や果実、豆、全粒穀物、低脂肪の乳製品や植物油、鶏肉などは積極的にとると良いですが、加工食品や精製食品、甘い飲み物などは減らすべきとしているのです。

そもそも1985年に厚生省(当時)が提唱した食生活指針「1日30品目」にはエビデンスがなく、2000年の指針からは「主食、主菜、副菜を基本に、食事のバランスを」という目標に変わっています。ただし、バランス良く食べることは大切ですが、食べすぎにはくれぐれもご注意を。

1日30品目で
健康になれるとは限らない

1985年
当時の厚生省(現:厚生労働省)が作成した食生活指針で、「1日30品目」をとることを提唱。

2000年
食生活指針から「1日30品目」という言葉が削除され、「主食、主菜、副菜を基本に、食事のバランスを」という新しい食生活指針に。

多品目にこだわった食生活の落とし穴

1品目当たりの量が少ないと満腹感が得られにくい
食べすぎて摂取カロリーが増えてしまう
栄養バランスが乱れて、肥満や生活習慣病のリスクが高まる可能性も

画像: イラスト/cycledesign

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クイズの答え

C
品数を多くすれば良いわけではなく、必要なものを選びとる力をつけて!

※クイズの回答は、今後の研究等により変更になる可能性があります。

※出典 Marcia C de Oliveira Otto, et al. Dietary Diversity: Implications for Obesity Prevention in Adult Populations: A Science Advisory From the American Heart Association. Circulation. 2018;138(11):e160-8.

なお、本稿は『最新医学でわかった新健康常識 カラダに良いこと 悪いこと』(永岡書店)から一部を抜粋して掲載しています。詳しくは下記のリンクからご覧ください。

画像: 【健康情報クイズ】30品目と肥満の関係 多品目にこだわると栄養バランスが乱れやすい!? 最新医学のエビデンスをもとに解説
最新医学でわかった新健康常識 カラダに良いこと 悪いこと
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2020-12-08 14:39

※⑤「高齢者と低血圧の関係」はこちら

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